夏とホッキョクグマ
夏とホッキョクグマ
作者 @sa0201
https://kakuyomu.jp/works/16818093083390374480
冬が好きで夏が嫌いなアリスタは、ウェイドが夏好きになり喧嘩し、ホッキョクグマになる。動物園で過ごすも友達のアナスタシアに気づいてもらえず動物園を抜け出す。暖房のない冬は寒く服も入れず夏が恋しくなって、流れ星に願うと人間に戻れた。ウェイドと仲直りし、夏が楽しめるようになった話。
文章の書き方云々は気にしない。
現代ファンタジー。
夏が嫌いだからとホッキョクグマになる発想が面白い。
主人公はアリスタ。一人称、私で書かれた文体。自分語りの実況中継で綴られている。たまに三人称、アナスタシア視点で書かれたところがある。
アリスタは冬が好きで夏が嫌いな少女。
友達のアナスタシアと、そろそろ熱中症で死にそうな季節だと思った時、友人のウェイドに会った。彼は夏が大好きになっていた。前までは自分と同じだったのに敵になったと喧嘩し。悲しみまくってベットに飛び込み爆睡。目が覚めると、彼女はホッキョクグマに変身してしまい、動物園に入り込んで生活を始める。
友達のアナスタシアとその兄ルフウが彼女を探し、二人は動物園にやってきた。アリスタは手を振るも、二人はホッキョクグマになっていることに気づかない。
悲しくなり人間に戻りたくなった。
三日間考え動物園から抜け出して人間に戻る方法をみつけ、アナスタシアとともに夏の太陽と戦うことを決めた。
日本語が話せたのでアナスタシアを呼び止める。アナスタシアと話せるのは人がいない夜だけ。居場所がなく、公園で一人、ずっと人間に戻る方法を考える。ホッキョクグマの姿では人間社会での生活が難しく、次第に人間らしさを失っていく。
流星群が現れた時、流れ星を見つけては人間に戻れるように願い続けた。神社に行き神様に願い続け、流れ星を見つけては願い続けた。しかし戻ることはなかった。
秋。冬眠の方法もわからず、ホッキョクグマとしての冬は寒かった。服も着れない、暖房はなく、今までの冬とは比べ物にならないほど寒く、少し夏が恋しくなった。
流れ星を見て人間に戻れるようにと願い、アナスタシアは、またアリスタと会えるように願った。
朝起きると、ベッドで寝ていた。人間に戻れたアリスタことに成功する。季節は冬になっていた。
アナスタシアに会いに行き、これまでの話をする。彼女は夏が前よりも嫌いではなくなっていた。ウェイドにも会いに行き、夏が好きになっただけでウェイドに酷いことを言ったことを謝ると彼は許してくれた。
友達と和解し、アナスタシアと楽しい冬を過ごし、また憂鬱な夏が来るも、夏も少し楽しめるようになった。
四つの構造で書かれている。
導入はアリスタの夏嫌いとホッキョクグマへの変身。
展開は動物園での生活とアナスタシアたちの捜索。
クライマックスはアリスタの脱出計画とアナスタシアとの再会。
結末は人間に戻り、夏に対する見方が変わる。
冬が好きで夏が大嫌いな謎と、主人公に起こる様々な出来事の謎が、どう関わり、どのような結末に至るのか気になる。
自己紹介からはじまる書き出しはわかりやすい。
遠景で、冬好き夏嫌いのアリスタの紹介、近景で、蕩けそうな夏が来たと説明し、心情で「私の敵は太陽だ」言い切る。
なかなか直情的な性格の持ち主である。
それでも、たしかに暑過ぎるのは誰もが嫌だと思うので、共感する。
主人公と同じように、夏が嫌いだった、友達のウェイド。
でも、夏が好きになったと知り喧嘩してしまう。
「私の敵になってしまった」と、かなり挑戦的なものの考え方である。裏切られた、と感じているのかもしれない。それだけ仲が良く、信頼関係にあったと考えられる。恋人かもしれない。
「私は悲しみまくってベットに飛び込み爆睡した」
泣きつかれてネてしまったのではなさそう。
思い切り泣いて、スッキリして眠れた、そんな印象がある。
ともかく、信じているものい裏切られて可愛そうなとことに共感する。
ホッキョクグマになり、北極へと思うも、警察に囚われそうになり、必死に逃げて、動物園に入り込んだという。
「たくさんのホッキョクグマのお友達がいた。そして私たちはご飯の時間になった。私はずっと食べていなくてお腹がペコペコだった。そしてたくさん食べてまたよく寝た」
行動が短絡的で、子供っぽい感じ。
ホッキョクグマになったら北極に行こう、とどうして思ったのかしらん。ホッキョクグマの本能かな。
アナスタシアはアリスタが消えたことに不審に思い、「きっと暑さに耐えられなくなってどこかで倒れているかどこか遠い山奥や北の国に旅立ったのかもしれないと思っていた」とある。
アリスタの性格をよく把握している。
北極を目指そうとしたのは、夏の暑さから逃げるためだったのだろうと推測できた。
「私は二人がいることに驚くと同時に久しぶりに会えたことに感動してとにかく手を振った。だけど二人はもちろん私がホッキョクグマになって動物園で暮らしていることなんて分からない。二人はただホッキョクグマが元気に手を振っているだけだと思い、私だとは気づいてくれなかった」
気付くのは無理だろう。
それより、このときはまだ日本語が話せたはず。なぜ呼びかけなかったのだろう。
長い文。行変えがない文章の塊。句読点を用いているが、一文は長め。それでも短文と長文を組み合わせてテンポよくし、感情を揺さぶるところがある。
短い文は興奮、早い、強い感情を表し、長文は落ち着きや重々しさ、説明、弱い感情を表している。語尾は「~た」と体言止めしてがかなり続く。アリスタが考えているところでは、そうではない。
見た目の印象は読みにくいが、全体的にシンプルで親しみやすさはある。主人公の一人称視点で進行し、感情の描写が豊かなのが特徴。
アリスタの感情が細かく描かれており、共感しやすい。「季節や友人関係を通じて成長する主人公の姿が描かれているのもいいところ。
五感の描写として視覚は、動物園のホッキョクグマのことが具体的。
聴覚はクマの鳴き声や人々の会話。
触覚は暑さや寒さの感覚。
味覚は動物園での食事の描写。
主人公アリスタの弱みは、夏に対する強い嫌悪感。
夏が好きになったウェイドに裏切られたと感じた結果、ホッキョクグマになってしまったのかもしれない。
また、ホッキョクグマとしての孤独感も弱みとして書かれている。
最初は動物園で楽しく暮らしていたが、たり前だけれど、友達に気づいてもらえない。餌も同じ。脱走しても行くところがないし、戻る方法もみつからない。冬は暖房がないし、服も着られないから寒い。
北極なんていったら、もっと寒いだろう。
流れ星や神社にお願いしても戻れなかった。
アナスタシアも星に願ってくれたからもあるけれど、「少し夏が恋しくなった。ものすごく暑いけれど今よりは全然いいと思った」と、アリスタ自身の考えを改めたことが大きかったのだろう。
夏の太陽が、怒ってホッキョクグマに返させたのかもしれない。
脱走して夏から秋、冬はどこで過ごしていたのだろう。
ずっと公園かしらん。その辺りが今ひとつわからない。もう少し書き加えているとわかりやすくなるかもしれない。
なにより文章の塊なので、行変えを行ったり、体言止めの文章に工夫をしたり、会話を挟んだりしてテンポ良く、読みやすくするとより楽しめるのではと考える。また、一人称よりも、三人称で書いたほうがいいかもしれない。
読後。タイトルからは想像がつかない展開に、驚きとともに楽しめた。主人公の成長と友人関係の描写が魅力的にかかれていたし、ウェイドについても、もう少し知りたいと思った。
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