もう一度あの頃に
もう一度あの頃に
作者 夜空 叶ト
https://kakuyomu.jp/works/16818093083752278620
真冬の公園で死に際の秋宮秀人は、高校時代に幼馴染の天道理奈を振って金持ちの令嬢を選んだことを後悔している。目が覚めると高校生になっており過去の過ちを正し、幼馴染と結ばれる話。
疑問符感嘆符のあとはひとマス開ける等は気にしない。
現代ファンタジー。
タイムリープ、やり直しもの。
大切なものはなくさないように。変わりなどいないのだから。
主人公は、秋宮秀人。一人称、俺で書かれた文体。自分語りの実況中継で綴られている。
絡め取り話法で書かれている。
主人公の秋宮秀人は、真冬の公園で段ボールにくるまりながら、自分の人生の選択を後悔している。高校時代に大金持ちの令嬢を選んだことで、彼の人生は転落してしまった。そんな彼が、死の間際に幼馴染の天道理奈への後悔を抱えながら眠りにつく。しかし、目を覚ますと高校時代に戻っており、理奈と再び出会う。
今度こそ間違えないと決意し、理奈との関係を大切にしながら、過去の過ちを修正していく。登校途中、手をつなぎながら告白し、結ばれる。
高校三年生の二学期の終業式。大金持ちの令嬢に告白されるも、断る。抱きついてくる理奈を受け止めながら、奇跡的にやり直せた現状に感謝するのだった。
四つの構造で書かれている
序章は主人公の後悔と絶望。
展開はタイムリープ後の再会と新たな決意。
クリマックスは過去の選択を修正し、理奈との関係を築く。
結末は主人公が金持ちの令嬢の告白を断り、理奈との幸せな未来を築く。
間違えた謎と、主人公に起こる様々な出来事の謎が、どう関わり、どのような結末に至るのか気になる。
問いかけの書き出し。
遠景で自問し、近景でどこでどのよな状態かを描き、心情で考えても仕方ないけど考えずにいられないと語る。
人生の選択に落胆している。
二人に告白され、金に目がくらんだ結果、真冬の公園で段ボールにくるまっている。はたして、彼になにが遭ったのかしらん。
とにかく、かわいそうな状況に共感していく。
幼馴染で産まれたときから一緒、というのはなかなかない気がする。兄弟や双子なら、産まれたときから一緒だけれども、生まれた病院が同じとか、隣近所に住んでいて誕生日が同じとか。そういう関係なのかもしれない。
お金に目がくらみ、そんな彼女を振った人生。
最後に謝りたかったとつぶやいて目を閉じていく。
長い文ではなく、こまめに改行。句読点を用いた一文は長くない。
短文と長文を組み合わせテンポよく、感情を揺さぶってくる。ところどころ口語的。同情人物の性格のわかる自然な会話文は多く、シンプルで読みやすい。主人公の内面描写が多く、感情の変化が丁寧に描かれていて、感情移入しやすい。
タイムリープという設定を活かし、過去の過ちを修正するストーリーが展開。やり直すという努力の過程が描かれているので、読み手にわかりやすく伝わるところが良い。主人公の成長や変化が描かれている。ストーリーに緊張感がある。
理奈との関係が温かく描かれており、読み手に安心感を与えてくれているところがいい。
五感の描写として、視覚は雪が降る公園、理奈の金髪と緑色の瞳、学校の風景などが詳細に描かれている。
聴覚は理奈の声や、周囲の音が描写されている。
触覚は寒さや暖かさの対比が感じられる。
嗅覚、味覚は特にない。
五感の描写をさらに増やすと、物語に没入できるようになるのではと考える。
主人公の弱みは、過去の選択を後悔していること。金に目がくらんで大切な人を裏切ってしまったこと。自分の弱さや過ちを認めることができるが、それを修正する機会がなかったこと。
「金に目がくらんであんな腹黒女を選んじまった時点で俺の人生は詰んでいたのか」のちに「最後の最後には性犯罪者に仕立て上げられて退学になる。勿論大学の合格も取り消しになる」とあるので、高校時代に、彼女の腹黒さが露呈したことがわかる。
もともと性格が悪かったのか、それとも性格の不一致から喧嘩になったのかしらん。
「一応つけておいたスマホのボイスレコーダーを切ってから一息つく」とあるので、以前のとき彼女は、ありもしないことを言って、主人公を陥れたのかもしれない。
主人公の過去の選択やその影響について、もう少し具体的なエピソードを追加すると、物語の説得力が増して来るのではと考える。
告白される前に、幼馴染に告白して恋人関係になっているところは大きな改変になっている。
「断ったよ。俺は理奈が好きだからな」
「よかった~秀君大好き!」
ハッピーエンド。
良かったねと思えるラストだった。
読後。人生を後悔している人にとって、もう一度あの頃に、と考える。人の手が持てるものは多くない。しかも、一度手を離せば二度とは戻らないものばかり。だからこそ、大切なものは手放さないようにしよう。そんなことを教えてくれる作品だった。
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