動物園の動物たちの生活

動物園の動物たちの生活

作者 ぷりん

https://kakuyomu.jp/works/16818093083271361624


 動物たちの会話を翻訳するイヤホンをつかって働く只野動物園の監視員の話。


 疑問符感嘆符のあとはひとマス下げるは気にしない。

 現代ファンタジー。

 ほのぼのして愉快。

 動物の話は面白い。


 主人公は、只野動物園の監視員。一人称、僕で書かれた文体。自分語りの実況中継で綴られている。


 それぞれの人物の想いを知りながら結ばれない状況にもどかしさを感じることで共感するタイプの中心軌道に沿って書かれている。

主人公は動物園の監視員で、動物たちの会話を翻訳するイヤホンを使って動物たちの会話を聞くことができる。

 動物たちの恋愛話や脱走計画、ふれあいコーナーでのストレスなど、様々な会話を聞きながら、動物たちの生活を監視し、改善に努めている。


 三つの構造で書かれている。

 導入は主人公の仕事とイヤホンの説明。

 展開は動物たちの会話を通じて、動物園の様子や動物たちの本音が描かれる。

 結論は主人公が動物たちの生活を改善しようとする意義を感じる。


 ある道具の謎と、主人公に起こる様々な出来事の謎が、どう関わり、どんな結末に至るか気になる。

 自己紹介からはじまる書き出し。

 遠景で監視員、近景で仕事内容、心情で嫌いではないと語る。

「人間が寝静まった時間」「脱走しないかとかの監視をする仕事」と、大変さが伝わり、夜には就寝する読者からすれば、可愛そうだなと共感する。

 なんでも、ある道具が導入されたおかげだという。「動物が話していることが翻訳されて人間の言葉で聞こえるイヤホン」なんだかとっても楽しそう。興味深く、共感を抱く。


 長い文ではなく、数行で改行。一文も長くない。長めなのは、落ち着きや気分が重いとき、または説明や弱い言葉で、話している登場人物の性格や性格が感じられる。シンプルで読みやすい。動物園の裏側の様子が描かれていて興味深い。動物たちの会話がユーモラスで、たのしませてくれるところがいい。主人公の動物たちへの思いやりが感じられるのもよかった。

 五感の描写として、視覚的な刺激では動物園の夜の様子や動物たちの動きが描かれている。聴覚は動物たちの会話が翻訳されて聞こえるイヤホンの描写が中心。触覚は、ふれあいコーナーでの子供たちの触れ方に対する動物たちの反応が描かれている。


 うさぎの会話に、ギャップを感じて面白い。

 猿が脱走を計画しているのは、最近の住宅街に現れた猿のニュースを思い起こさせる。

 

 主人公の弱みは動物たちの本音を聞いてしまうことで、心苦しく感じること。動物たちのストレスや不満を感じ取り、それを改善しようとする責任感があるため、ふれあいコーナーで子供たちにベタベタ触られての苦情を、上に掛け合って改善されている。

 

 動物たちの会話がもう少し多様であれば、さらに面白さが増すかもしれない。また、主人公の内面描写をもう少し深めることで、感情移入しやすくなるのではと考える。

 そもそも、なぜ監視員なのかしらん。

 飼育員は使わないのだろうか。


 読後。児童もの、童話でも受け入れられるような作品だと思う。

 動物たちの会話がユーモラスで、面白かった。主人公の動物たちへの思いやりも感じられたし、動物園の裏側を垣間見れたのが良かった。他の動物は、どんな話をしているのかしらん。いろいろな動物の話を聞いてみたい、そんな気持ちになった。


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