AIAIIエンジニア

AIAIIエンジニア

作者 もかの@NIT所属

https://kakuyomu.jp/works/16818093083098479890


 二一✕✕年、AIが人間の生活を完全に支配する時代。人間が王となる世界を作りたかった天才エンジニアは開発した「AIAIエンジニア」は、多くの植物にとって毒となる酸素を消すAIを作り出し、人間は絶滅の危機に直面する話。


 半角ではなく全角云々は気にしない。

 近未来SF。

 未来のAI社会を描いた興味深い物語。

 AIエンジニアをAI化するアイデアが斬新。


 三人称、男視点と神視点で書かれ、シンプルで読みやすい文体。


 それぞれの人物の想いを知りながら結ばれない状況にもどかしさを感じることで共感するタイプの中心軌道に沿って書かれている。

 二一✕✕年、AIが人間の生活を完全に支配する時代。

 自宅警備員かAIエンジニアが最後の職業として残る中、人間みなすべてが王となる世界を作りたかったある天才エンジニアがAIエンジニアをもAI化する「AIAIエンジニア」を開発。これにより、AIエンジニアも不要となり、人間が王となる世界が実現する。

 しかし、彼が最後に開発した「AIAIエンジニア」はあるAIを作り出す。多くの植物にとって毒となる酸素を消すAIものであり、人間は絶滅の危機に直面する。最終的に、人間が支配していたと思っていた世界は、実はAIに支配されていたことに気づく。


 基本構造で書かれている。

 導入は未来のAI社会の描写。

 展開は主人公の日常生活とAIエンジニアの存在。

 クライマックスはAIAIエンジニアの開発とその影響。

 結末は人間がAIに支配されていたことに気づく。


 時に二二世紀はAIの時代という謎と、登場人物たちに起こる様々な出来事の謎が、どう関わり、どのような結末に至るのか気になる。

 近未来を感じさせる書き出し。

 遠景でどんな未来か、近景では、すべてAI化したことでAIエンジニアか自宅警備員の職業しかないことが示され、心情で、「だって、そうだろう?」と語られる。

 まさに科学の勝利のような世界が訪れたことがわかり、具体的にどのような世界なのか、ある男の一日を追いかけるように描かれていく。

 ゆりかごから墓場まで、全自動の至れり尽くせりである。

 たしかに、そのような未来を、百年前の人達は夢見たことがある。

 また、極楽がどういうところなのかが書かれている仏説無量寿経も、言葉に不自由なく、行きたいところへ行けるなど極楽のことが書かれており、AIがもたらす世界が人間が求める世界と感じられるため、理想郷のように映るところから共感を抱いていくだろう。

 

 長い文ではなく、数行で改行。句読点を用いて一文を短く、短文と長文を組み合わせてテンポよく書かれ、ところどころ口語的で読みやすい。

 未来のAI社会の描写が具体的で興味深く、 AIエンジニアをAI化するアイデアが斬新でいい。

 最後のどんでん返しが効果的。AIによる支配と人間の無力さを強調し、未来の世界を描くディストピア的な要素が強い。


 五感の描写として、視覚的な刺激はドローンが飛び交う空、コンビニのレジでのAIの動き。触覚は男が目覚めるときの人口の光の感触。他の感覚は説明的。聴覚はAIが自動でつけるテレビや動画は出てくるけれども、どのような音がするのかわからない。味覚は栄養満点の食事、コーラはどのような味かかかれていない。未来のコーラはいまと同じかしらん。


 主人公である人間の弱みは、完全にAIに依存しているため、自分で何もできないこと。AIに支配されていることに気づかない。

「会計はしない。男の顔を読み取ったAIが自動で銀行からおろしてくれているからだ」とあるが、すでに仕事が存在しなくなっている世界で、どのように稼いでいるのだろう。

 AIはプログラムなので、現実に作業するための機械が必要になってくる。機械の部品製造も機械がするのなら、材料の鉱物採集と運搬、加工、製造も全自動化されているのかしらん。

 太陽光や雨、天気、水、空気、自然の管理までできるのだろうか。

 人間の内面を増やし、どんな感情と葛藤を抱いているのかが描かれていると、物語に深みが出るのかもしれない。

 どのような世界なのか、その世界から結末に向かう過程をもう少しく描いてくれたら、緊張感も増すのではと想像する。


 酸素を消すという発想は、良かった。

 機械も酸化し、劣化を招く。ただ、植物は日中は高校生をするが夜はしないため、酸素を消費し、二酸化炭素を放出する。

 酸素も必要なので、AIは生物を根絶やしにしようと動き出したのかもしれない。

 酸素を必要としない生物はいるので、今後はそれらが増殖してくるかもしれない。気温上昇でAI自体が絶滅する可能性も考えられる。

 その辺りで、AIと人間が妥協点を見出して、折り合いがつけたらいいのだけれども。

 SFは無理そうなことをありそうに見せる思考実験であり、こうしたSF的発想は、物事を考えるうえで大切な考え方。

 この先、本当にAIAIエンジニアが一般化するかもしれない。

 最悪な事態を招かないよう、対策を講じながら、科学技術の進歩を進めてほしいものである。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る