三途の川って、知ってますか? 死んだら行くと言われる。 その川‥‥ この前、初めて見てきました。
三途の川って、知ってますか? 死んだら行くと言われる。 その川‥‥ この前、初めて見てきました。
作者 国語力 レー点
https://kakuyomu.jp/works/16817330651580904668
予知夢を見る主人公の母は脳腫瘍で倒れ、危機的な状況にあるなか夢の中で三途の川の手間にいる母と話す。その夢は手術を成功させ、回復することを予知していた話。
文章の書き方等は気にしない。
ファンタジーよりな現代ドラマ。
むしろ、この書き方、表現だからこそ、より深く伝わるのだろう。
主人公は女性。一人称、私で書かれた文体。ですます調で、自分語りの実況中継で綴られている。現在、過去、未来の順に書かれている。
男性神話の中心軌道に沿って書かれている。
主人公は、予知夢を見る能力を持っている。はじめはデジャブかと思っていたけれど、高校の友達に「予知夢じゃない?」と言われてから意識するようになる。
姉が車に惹かれる夢を見て伝えると、姉の車に自分がひかれた。
また、親戚のお姉さんが子供ができないと悩んでいる相談を受ける。一年か一年半後、子供ができた夢を見たので伝えると、お姉さんは半信半疑。でも一か月後、検査すると妊娠していることがわかった。
昨年十一月下旬、母が脳腫瘍で倒れ緊急手術を行う。一週間毎に急変し、十二月中旬、手の施しようがないと大学病院へ移送され、手術をしなければならないのに日程に空きがない状況。
主人公は何もできず、お参りをしてお守りを届けてもらうよう、看護師に渡す。その夜の夢で、三途の川の橋前で、病院のベットに腰を掛けて座る母を見た。話しかけると、いつも通りの口調で他愛もない会話をした。主人公は帰るけれど母はどうするのか訪ねると、しばらくお風呂に入っていないからシャワーを浴びて寝て待ってるよと返事。母はベッドの上に座りながら、大きく手を振っていた。
目が覚めて、間違いない母は三途の川の淵にいると考える。
予知夢の回避方法は、人に言わないこと。言わなくとも起きるときは起きるが、言葉にすると現実になる可能性が高くなる。
二日後、車に乗っているときに母の話題が出る。その時、三途の川の手前にいたこと、この世側のベッドで待っていると言っていたことを思い出し、母は渡らないと思った。
帰宅後、父の携帯に母の手術日が明日に決まったと連絡が入る。
八時間の手術が終わり、「凄く綺麗に腫瘍海馬を取り除く事が、出来ました」「記憶は大丈夫だと思います」と先生が教えてくれた。
一週間後、痩せこけた母は目を覚まし、主人公の名前を呼んだ。そのときの動画を撮っていたので、家族親戚に送ると、みんなは驚き喜んだ。もっと母が元気になるように、みんなに読んでもらおうと主人公はこの話を書いた。同じ境遇の人、大丈夫。きっと治ります、母は元気です、と最後に綴られている。
怖い話ではないという謎と、主人公に起こる様々な出来事の謎が、どんな関わりがあり、どういった結末にたどり着くのか、気になる。
主人公は、予知夢を見るという特異な力を持っており、その力を持って姉を心配したり、親戚を喜ばせようと伝えるといた人間味があり、だからといって彼女自身にすごい能力があるわけではなく、姉が事故に合うかと思ったら自分だったという、ちょっとドジなところがあって、可愛らしいというか可哀想というか、そんな印象を持つキャラクターに共感を抱ける。
物語は、ネットの掲示板のような、口語的な言葉で主人公の視点で語られている。主人公の心情や思考を直接的に描写されているので、主人公の感情を直接感じられる、
本作は、予知夢という特異な能力を持つ主人公と、その能力がもたらす困難と主人公の感情の変化を丁寧に描くことで、読み手に新鮮な驚きと主人公の成長を感じさせてくれている。
一文は短く、行変えもしてあって、非常に読みやすい。
また、主人公が見る夢の描写に五感が活用されており、特に、三途の川の描写や、母が病院のベットに座っている様子など、視覚的な描写が印象的。
他の感覚刺激の描写はなく、視覚描写のみなのは、主人公が予知夢を見るという特異な話をするためだと考える。
主人公の弱みとしては、予知夢を見る能力を持っているが、それが現実に影響を及ぼすことに対する恐怖と無力感だろう。
人とはちがう能力を持っているからといって、手軽に助けられるわけではない。どちらかといえば、知ってしまったことでトラブルを招くこともあり得る。
そんな主人公の弱さと葛藤が、面白いドラマにし、主人公の成長へとつながることで、読み手に深い共感を呼び起こしてくれている。そこがよかった。
なにより、たどたどしい文章だからこそ、より伝わったのだと考える。
姉に連絡しなければ、自身がはねられることはなかったかもしれない。親戚のお姉さんに連絡しなくても、妊娠したかもしれない。
主人公は予知夢といっているけれども、本人がそう思い込んでいるだけで、そんな能力はないのではと考えられる。
姉が事故に遭う夢を読み間違えたように、占いと同じく夢の解釈も人それぞれ。
でも、たとえそうだったとしても、姉を思い、親戚に気遣い、母を心配した主人公の気持ちには嘘偽りもなく、間違ってもいない。
そうした真っ直ぐな気持ちを持っている主人公だからこそ、予知夢というあやふやだけど特異な夢をみることができたのかもしれない。
タイトルは、内容をそのまま表すもので、実にわかりやすい。
幅四メートル、奥行き六メートルくらいの橋が、三途の川にかかっている橋なんだ。意外と、川幅がないことに驚いた。確かめようがないのでなんともいえないけれど、たしかにショボいなと思った。
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