【7】
「原口はどうなんだよ。元気にしてんのか」
「うん。多分ね。元気にしてんじゃないかな」
「最近来てないのか、会社に」
「うん。産休中」
「産休っ? 結婚したのかっ!」
「うん。したよ」
「誰とだよっ!」
「ヒデ君」
「英昭っ? 英昭と原口が、結婚したのかよっ!」
「うん」
「お前、何でさっき云わなかったんだよ」
「訊かれなかったし」
「いや、普通訊かねぇだろ、そんな事。あいつ等が付き合ってた事も知らなかったんだし。危うく知らないままになるトコだったじゃねぇか。で、あいつ等はいつ結婚したんだよ」
「五月の頭」
「ふーん。できちゃった婚なのか」
「そう。できちゃった婚。名前はタミオ君とカズヨシ君だって」
「双子なのか。てか、双子なのに名前似せてねぇのかよ」
「二人とも原ぐっちゃんの元カレから取ったんだって」
「マジかよ、おい」
「うん。ヒデ君が云ってた」
「あいつ知ってんのかよ。よく承諾したな」
「ヒデ君の提案で、原ぐっちゃんの歴代の元カレの名前から画数のいいツートップの名前を選んだんだって」
「あいつ発信かよ。いくら画数良くても自分の子供が嫁の元カレと同じ名前なんて普通嫌だろ。可愛いがりにくいだろ。てか、原口の方が可愛がりにくいだろ。いちいち過るだろ、元カレの顔が」
「あっ、違った。カズヨシじゃなかった。カズトシだった」
「そこはいいよ、別に。てか、皆に会いてぇな」
「そうだよねぇ。急な事だったからねぇ。皆も寂しがってるよ」
「てか、今、夏だよな。何であんなの飾ってんだよ」
「あっ、スノードーム? これね、去年誕生日に漆原さんがくれた」
「誕生日?」
「うん。可愛いから今でも飾ってる。オルゴール付きだし。あと、観てたら涼しいかなと思って」
「お前の誕生日の何ヶ月も前から漆原さんにプレゼントの相談されたけど、その割に俺の意見採用しねぇのかよ」
「えっ、漆原さんに相談されてたの? 何て云ったの?」
「云わねぇよ」
「何で?」
「例えば?」
「最近、週末はソロキャンプやってんだって。あと、健康に気遣ってジョギングとかジム通いも始めたみたい。あと、パチスロとか競馬にもハマり始めたらしいし」
「どれも嫁が産休中の時に始める趣味じゃねぇだろ。在宅中に出来る趣味にしろよ。ギャンブルが一番問題じゃねぇか。もともとやってたけど嫁が妊娠してもやめられないならまだしも、何でこのタイミングで始めんだよ。今じゃないだろ、絶対。てか、嫁の産休中に趣味を増やすキャンペーン始めんなよ」
「ホントだよね。しかもいつもぼろ負けなんだって」
「いつもかよ」
「他にも色んな趣味に手出してるけど、どれも三日坊主なんだって。釣り、そば打ち、宝塚、落語、ハブ酒、カバディ、モルック、ウィッフルボール、コンバット、ボッチャとか」
「後半全然解んねぇよ。ポッチャだのコンパットだの、聞いた事ねぇよ。てか、あいつ飲めねぇだろ」
「うん。全然強くないけど飲んでみたんだって」
「ハードル高過ぎるだろ。いきなりハブ酒って。何でハブ酒にハマれると思ったんだよ。ハマれる訳ねぇだろ、酒飲めない奴が。宝塚も落語もハマろうと思って観始めるものじゃねぇし」
「大体、モロヘイヤとほうれん草とチンゲン菜の違いが解んないってなかなかだよね。モロヘイヤとチンゲン菜だったら確かに違いが解んないけど、普通、その中にほうれん草は入らないよね」
「モロヘイヤとチンゲン菜も解るだろ」
「いやいや、解んないでしょ、モロヘイヤとチンゲン菜はぁ。間違い探しレベルでしょ」
「一目瞭然レベルだろ」
「そうかなぁ」
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