「あれ、滅茶苦茶面白かったよな」

 「うん。毎回ハラハラだったよねぇ。塚野美羽華がまたいい味出すんだよねぇ」


 「ああ、強盗のお母さんか」

 「いや、それは諏訪田詩子。塚野美羽華はあれだよ、銀行員の人」


 「あっ、最後、強盗と結ばれる」

 「そう」


 「あの主役ポジションの」

 「そうそう」


 「あのポニーテールの」

 「そうそうそう」


 「あの人か。確かに演技上手いな、あの女優」

 「最終回泣けたよねぇ」


 「あの最終回はヤバいな」

 「あとなんかあったかな、刈谷倫斗の代表作。あっ、あれだ。〝星空メモリー〟」


 「あっ、喫茶店のマスターの人か」

 「そう」


 「あの、もじゃもじゃ頭で丸眼鏡掛けた」

 「そうそう」


 「あの、最終回で結婚した」

 「そうそうそう」


 「あのドラマも名作だったよな」

 「うん。あれは良かった。ホント、何回観ても面白かった」


 「お前、毎回リアルタイムで観つつ録画してたもんな」

 「結果、三周はしたかな。ホント、あのドラマは中毒性あるよね」


 「引き込まれるよな、あれは」

 「あっ、そうだ。〝真夜中の天使〟とか」

 「あっ、あの、うさぎのぬいぐるみが好きな人か」

 「そう」


 「あの、風呂上りはピンクのパジャマ着てる」

 「そうそう」


 「あの、花に詳しい」

 「そうそうそう」


 「ケンスケだっけ」

 「いや、違うよ、シュンタロウだよ」


 「あっ、そっちがシュンタロウか」

 「うん。刈谷倫斗がシュンタロウで、ケンスケは紫芝祥吾」


 「そうだったか」

 「あのドラマは色んな場面にあるあるが散りばめられてたよね」


 「お前もよく俺の服パクッてたし」

 「まぁね。あと、部屋借りるのに苦労してたトコとか。僕等も借りようとしてた時あんな感じだったよね」


 「あと、お前も猫飼いたいってずっと云ってたもんな」

 「不動産屋とペットショップはよく行ってたよねぇ。あのドラマ作った人、ホントよく解ってるよねぇ、こっちの世界の事。ケンスケが周りにバレないように奮闘する感じとか」


 「お前はケンスケタイプだよな。基本隠してるけど、信頼してる人にはオープンに話すし」

 「確かに。漆原さんにはよく相談に乗ってもらってたからね」


 「毎日の様に三人で飲みに行ってたもんな」

 「ホント、よく行ったよね」

 「最初は相談に乗ってもらってる感じだけど、漆原さんの酒が進むのに比例して漆原さんの愚痴が増えてったよな」

 「そうそう」


 「で、その後はよくカラオケに付き合わされてたよな」

 「そうそう。漆原さん、演歌ばっかり歌ってたもんね」


 「マイク離さなかったもんな」

 「そうそう。最後の方、全然呂律回ってなかったしね」


 



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