第9話 その後……
その後、ナオキ・リズ・アラゴの仲裁で、公爵とリバーマーマンの長老との話し合いが行われた。公爵はリバーマーマンの信仰心を深く傷付けたことを正式に謝罪。街の住民たちにもリバーマーマンの信仰について学ぶ機会を設け、再発防止に努めることを約束。また、新しい神殿の建設と新しい水の女神像の作成も約束した。
結果、公爵の真摯な行動に、リバーマーマン側も謝罪を受け入れ、無事和解することができた。
街の住民や街に足止めをされていたひとたちにも公爵自ら謝罪。また原因が自分の息子であったことも正直に告白し、改めて頭を下げた。
これまでも街と誠実に向き合ってきた公爵の姿を見てきている街の住民たちに大きな混乱はなく、足止めされていたひとたちも、問題を解決してくれた公爵に感謝し、渡し船の運行再開をもってこの件はすべて解決となった。
アルフレッドによって建造された豪華客船は、船首の女神像を取り外した上で大河の遊覧船として利用することになり、街の観光振興の一環として活躍が期待されている。もちろん緊急時には、街のひとたちの脱出用大型船として利用されることになっている。
取り外した女神像は、渡し船乗り場に設置することとなり、像には身体を覆い隠す衣が掛けられている。年に一度、女性の手によって衣を交換することになっており、その際に今回の事件を住民たちへ伝承していき、事件の再発防止に努めるらしい。リバーマーマンもこの施策を歓迎し、時折神殿ではなく、こちらの女神像に祈りを捧げる姿が見られるようになった。
家を追い出されたアルフレッドはその後、渡し船乗り場にて異種族に混じりながら荷物の積み下ろしの仕事に従事している。また、毎週水の女神の神殿へ参拝し、神殿の清掃や女神像の
本人は自らの愚かな行動に心から反省しているようだが、アラゴの件を知った街の女性や異種族(特に魔族)、リバーマーマンからの視線はまだまだ冷たい。信頼や信用というものは、積み上げるには長い時間がかかり、崩れるのは一瞬なのである。アルフレッドの贖罪はしばらく続きそうだ。
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