魔法少女誕生!の巻 パート3

「あれから幾分の時が過ぎたのだろう。

二時間?三時間…?いや、確認してみればもう9時間ほどは経っている。流石にもうそろ目を覚ましても良い頃合いだと思うんだがなぁ。

…あっ!目覚めそうだぞ!」


「んぁあ〜あ。よく寝た~。」


説明役:

どうやら今度は深い眠り…でなかった。

深い眠りっていうほどにはまだ足りんよなぁ。

それでは改めて。どうやら今度は十分な眠りの世へと誘われていたようである。


「…あれ?ここは…。アタシ、何をして…。」


陽華:

(アタシ、さっきまで何やってたんだっけ。

確か会社に行ってる途中で…それで…。

なんだっけ?もう少しで思いも出せそうなんだけども。…それにしてもなんだか子供じみた部屋ね。薄桃色の壁紙に、可愛らしく飾られた小さなお人形。全面的になんだかピンクピンクしててまるでパワーパフガールズの部屋みたい。

昔見てたわね、カートゥーンネットワークで。

…そにしても、何かがおかしいような?アタシってこんな背が低かったっけ…。

…!!まって!それだけじゃない!!手のサイズ感もおかしいし、声だってなんだかアニメみたいじゃなかったかしら??思えば今着てるパジャマ?も子供用みたいだし。)


「なにがあったんだっけ?どうなってんのよアタシの姿。ええっと、鏡、鏡っと…。」


「ん。えっ?…うそっ!?」


説明役:

小さな手鏡に映る彼女の姿は、ロリータと形容するのにふさわしい姿であった。ぺったんこでそこらの男児とそう変わらない成熟してない小さな胸。大きなつぶらな瞳。長く綺麗にまとまったぱっつんヘアーのツインテール。幼いながらもかわゆい顔立ち。これを少女と言わずして何と呼ぶのであろうか。…いや、トランスエイジだっていんだから、該当しない例だって探せばあるのだろうが。まあ、中身があれという時点で台無しなんですがね。


陽華:

(それにしても、なんだかハーフみたいな顔立ちね、今のアタシ。アメリカ人って感じではないけど少し堀が深い。赤毛のカーリーなツインテールの日本人なんて、中々いないわよ。

いや、アニメの中ならこんな人間沢山いるけども。なんていうかスラヴ人みたいね。)


「あれ…?そういえばそういえば、今日はまだ平日じゃ?…ええっと、時計時計…。あっ、あった。えぇ、今の時刻は…現在8時36分…8時36分。…え?朝の8時36分…?」


「ヤバい!!遅刻!遅刻!遅刻しすぎ…!!

はやく着替えて本社に電話しなきゃ!えぇ…っと、電話番号は…。って。スマホ、あれ?何処やっちゃったかしら…。あれ…?…待って。そういえばアタシってもう死んじゃってて。それで…。」


「目覚めたフツかぁー?」


「キャッ!!化け物ッ!!」


ボコォッッ!


「ギャッ!」 SmaaaasH!!


「いや!なんなのよコイツ!烏の人形?みたいだけどなんだか足が三本足だし、それに人の言葉なんて…。人語を操る不気味な三本足の烏の人形なんて、みんな普通気味悪がるじゃない。

…それにしてもついびっくりして枕で思い切りぶっちゃったけど、大丈夫かしら…。」


「あのー、ごめん。大丈夫?ぶっちゃったとこわるいけど。」


「ヒドイフツ!初対面の相手を打つとは何事か!」


「アタシが悪かったわ。ごめんなさい。

ああん。ごめん、ごめんったら!

あまりにも気色悪くて。つい、ね?

それにしても誰がつくったのかしらね?こんな悪趣味なおもちゃ。」


「イラ!!気色悪いとは何フツか!!

己はこうみても最新型の…。

じゃなかったなかった。そもそも玩具じゃないフツ!己は八咫烏という高貴な鳥でフツねぇ。

かつて古代ギリシア、エジプト、中国、そして日本。様々な国の人間と密接に関わってきた実績が己にゃあるフツ!」


「ふーん。そんな薄気味悪いブルスコファーもどきなルックスなのに?…あっ!ごめんなさい、ついまた本音が…。」


「ムキーッ!ルッキズムの権化が!ほんと許可が降りるんなら今すぐぶっ殺したいくらいのクソガキフツ!いや、魂は大人だからガキではなく糞女か???まあ、そんなことはどうてもいい!終始苛つかせるやつだなお前。稲妻で最後撃ち抜かれたアスクレピオスの如く丸焦げにしてやろうかッッ!!」


「あー、わーた。わーた。ごめんってば!

一旦機嫌直してよ!」


「ムキーッ!!

心意がまったく感じられん謝り方!!!」


ドタドタドタ


説明役:

ん?ドタバタドタバタドタドタ…etc。

足音の大きさてきには大人でしょうかね?もっと言うなら30代後半くらいの女の足音?髪の色は…金髪頭っぽいですね。足音聞く限りは。

それとは別に男の足音も聞こえるなぁ。こっちは中年っぽいけど。こっちは黒髪髭男爵かな?

私、画面上に表示されている部分しか見えないんですよ。彼らとは別の次元にいるからしょうごないのですがね。


「もう、メグーミ!モーニンからなーにアロ゜ーン騒いでるノ!ラ゜・ネイバーフードに迷惑でしょ。まだきタばかりなのに。」


・ ・ ・ シーン〜。


「えっ…。その、どちら様で?そのメグーミって。そんな人、ここにはいませんけども。」


「もぉ〜、何寝ぼけテ。まタく。貴女はメグーミ、メグミ、それ以外に何があるトいうノヨ?」


「私は、メグーミ…?メグミ…?」


「もう、ダーリン…。」


「いゃ〜、まあまあママ。最近色々忙しかったから、ちょっと疲れてるんだよ、たぶん。

それかまだ半分夢でも見てるとか。

もう少し睡眠でもとったらどうかい?メグミ。」


「モウ、そうやっテまたこの子を甘やかせテ。もう8時30ではないデスカ。」


「まあまあいいじゃないか。」


「もう。。メグミ、そろそろ朝食ができマスから、その寝坊助ヘッドをしっかりウェイクしなさいネ?ドゥー・ユー・アンダースタンド?」


「はっはい…?」


「それじゃあまたあとで。」


バタン。ギーギー…。


「私の名前が、メグミ?それにあの人たちって。」


「知りたいフツか?」


「そりゃあもちろんね。…そうやあ、あんた結局はなんのためにアタシといんの?その神様だか仏様だか神獣だかよくわかんないけども。」


「いやフツ!誰がそんなもん教えてやるかってんだフツ!まずはその生意気な性格を直しな!べぇ〜だ!」


「わかったわかった。さっき勢いあまってそのバタ臭い顔面さらに偏差値下げそうになったことは謝るから〜。このとおぉ〜り!ね?」


「いやフツ!もう自分で考えやがれフツ!」


「ふん、なによコイツ。そもそもそんな見た目で目の前にいきなり人前に現れるのが悪いんじゃない。神様の一種ってんならそんくらい自分でイヂって…ん?って、あれ?なんかパジャマ?のポケットになんか入って…。」


「なにこれ、ペンダント?それとも化粧のコンパクト?どれどれ…。きゃっ!なにこれ…。」


「ふっふっふ。私は冥界エネルギー大臣のヤクタ。そこのマスコット兼お目付け役の魔烏であるヤズがしっかり応答しなかったときに備えて、この取り扱いビデオを残した。是非時間があるなら聞いておいてほしい。」


「冥界エネルギー大臣?ってかあんた、思ったよりも上に信用されてないんじゃないの?

会社でのアタシと同じね。

つまり無能ってことよ。」


「うるさいっ!」


「まずだが、魔法少女にするために一回君の身体を女の子のものへと転生させてもらった。赤ん坊の状態から1から始めるのは流石にきついと思ったのでそこらへんの部分は予めスキップさせてもらっているよ。だから今の君の身体は小学生くらいの身体というわけだな。」


「普通、転生ってんなら赤ん坊からやり直すもんじゃないの?それに最初から赤ん坊に転生させてもらったほうが本来アタシとしては楽じゃなんじゃ。。。あととのことを考えると。」


「そういう細かいことはツッコむもんじゃないフツ。」


「まあいいけど。それにしても、アタシに両親ねぇ。なんだか考え深いわ。」


「まず、具体的な君の仕事内容だが、聞いていると思うが魔法少女になってもらう。簡単なもんだ。魔法少女とは端的に言えば人に夢や希望を与える職業…っといってもしっかりしたマニュアルみたいなもんがあるわけでなくてな。そこらへんは本人のやり方に任せてるんだ。ある魔法少女はアイドル活動という形で人に夢を与え、ある魔法少女は人の不安を具現化させ、処理している。そこらへんは君にまかせるよ。

夢や希望を叶えたり作ったりすると、ティンクルと呼ばれる星型の発光体が出現して自動的にこちらへと送られる。それがとりあえず1000個ほど集まれば君の仕事は終わりだ。元の世界に戻してあげるよ。」


「どうせなりゃマニュアルくれりゃいいのに。本人の自主性に任せるってなによ。」


「次に…。そのペンダントだかコンパクトだかよ〜わからん見た目のものは粉餅電話と言ってだな。君がいた世界にあったかどうかは定かでないが、この機械を使えば遠隔通話ができたり、文通なんかもできる。超便利アイテムなのだ。また、市販の粉餅とは異なり、近くの困っている人を瞬時に探せるお困りアラーム機能や地図機能、動画保存もできる超優れもの。

今なら無料!無料でおつけします!

…おほん。そういうわけだ。」


陽華:

(ふーん。

言っちゃえばガラケーみたいなもんね。)


「そ・れ・と。魔法道具に関してはあとで使用するときに、そこにいる八咫烏のヤズに訪ねてくれ。彼が持ってるんでね。」


「へぇ〜、あんたヤズって名前なのね。…ヤスとかじゃなくて。」


「そうフツ!己はヤズ・クレオール!

さっきも言った通り由緒正しき生まれの八咫烏で今日からオノレのお目付け役として働くことになったフツ!」


「由緒正しき…ね。」


「なんか文句あるフツか?」


「いえいえなにも。」


「めぐみ〜、もう降りといで〜。

朝食できたらしいから〜。」


「は〜い!…んじゃとりあえず朝食食べてくるから、魔法道具だかなんだかに関してはまた後で教えてね。そんじゃ、ララバイバイ。」


「こんなガキの相手をするなんて。

あ〜、先が思いやられる…。」


説明役:

全くである。


陽華:

(階段をリズムにのせてイチニノサン。とんとんと下り降りていくと、そこには先程の渋いダンディな、いかにも日本のサラリーマンですという感じの見た目の男の人が一人。それに反し金髪で緑の目をしたキレイな白人風の女の人が一人。この人たちがアタシの新しい両親らしい。)


(それにしても、アタシに両親ねぇ…。

そういえば、反抗期のときに叔父さんを困らせちゃったっけ。できることなら本当の家族と暮らしたかった…って。今思えば本当酷いこと言っちゃったわ。その報いなのかもしれないわね。早くこんな知らない赤の他人…と言っても血は繋がってるらしいけども。そんな人達とこれから暮らしていくなんて。あぁ、はやくこんな生活なんて抜け出して、早くもとの世界に戻りたいな。叔父さんが作ってくれるご飯って基本的にみーんなおいしいのよね。…豚足とかは除いて。だって豚足って、なんだか名前の通りすぎる見た目でグロテクスなんだもん!って、それはアタシの単なる好みか。味自体はおいしいしね。…それにしても、いろいろなんだか実感わかない。魔法少女…。新しい家族…。転生…。うぅ!頭がパンクしちゃいそう…。)


「ん?どうしたんだいメグミ?そんなぼ〜っとした表情でこっちを見つめちゃって。」


「い…いえ、何でもないわ。」


「?」


「ァっ、メグーミ。そこにあるソイソース取ってくれないかしラ?目玉焼きにドバーするから。」


「それじゃあパパはソースでもとってもらおうかな。」


「うっ、うん。」


説明役:

こうして、彼女の新たな魔法少女としての生活の幕が開き始めてきたのであった。次回へと続く!


〜次回予告〜

ついに新学校生活初日に突入した湊陽華ことメグミこと魔法の女神メリーことアタシ。

あ〜ん、名前が3つもあるなんてややこしい!

新しい生活。新しい家族。新しい友人関係…。

こんな環境で、しっかり生きてゆけるのだろうか…。次回!

"アタシ、蔵月メグミです。よろしく!の巻。"

次回もお楽しみにね!

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