風の神様、ウインザー

俺がいるところは、まるで某ネコ型ロボットのアニメで出てきそうな空き地だった。

周囲には塀が立ち、奥の方には一本の木と土管が三つ置かれている。


そんな事はどうでもいいのだが、問題は相手だ……っ!

これはいったいどんな神様だと言うんだ……っ!?


『拓海さん、気を付けてくださいっ!相手は風の神様、ウインザーですっ!風のスキルを使ってきますっ!』


風の神様……?そうか、だから浮いているのか……っ!

しかもよく見ると、凧から伸びる凧糸が土管の方へと繋がっている。

あれで凧を固定しているようだ。


『初戦の相手はお前か、レーニア。万年一回戦負けのお前がこのウインザーに勝てるかな?』


凧から男のような声が聞こえてくる。

風の神様だから女性かと思ったら男らしい……。

なんか知りたくなかった……。


『黙りなさいウインザー!今年は簡単にはいきませんよっ!必ずあなたをギャフンと言わせてみせますっ!この拓海さんがっ!!』


うおーーいっ!!レーニア!神様同士の言い合いに俺を引っ張り出すなっ!!


『ん……?その体に入っているのは人間の魂か……。自分自身では勝ち目がないと踏んだのか人間を使うとはな……。おもちゃの神も地に落ちたものだ。』


『むっきぃぃーーーっ!!言わせておけば……っ!!拓海さんっ!さっさとあんなの倒しちゃいましょうっ!!』


こいつ、自分が戦わないものだから好き勝手言ってるな……。

まあ、優勝すれば生き返らせてもらうんだがらあまり文句も言えないが……。

だが、勝たなければ俺はあの世に連れて行かれてしまうっ!


俺は手に持っている剣を構えると、ウインザーという凧へと向かって走り出したっ!

その度に楓の足はカチャカチャとおもちゃのような音を立てる。

なんとなく間抜けな気もするが、まあ、おもちゃだからな……。


「はあっ!」


俺は剣で凧糸を狙うもヒラリと避けられた。


「くそ……っ!」


さらに俺は剣を横に振るうも、それも避けられてしまう。


『はははっ!どうした人間っ!その程度では我は倒せんぞ?さて、では今度はこっちの番だっ!!』


ウインザーは嘲笑いながら凧をくねらせると、俺の体へと凧糸を絡ませてくる……っ!

そして……!


『喰らえっ!神スキル「トルネードバインド」っ!!』


「うわあぁぁぁぁぁぁーーーーー………っ!!!」


ものすごい上昇気流で凧が上昇すると、それに伴って絡まった凧糸が俺の体を物凄い力で締め付ける……っ!

プラスチック製の体がミシミシと軋む音が聞こえてくる……っ!


『拓海さんっ!このままでは危険ですっ!早く脱出してくださいっ!!』


「そ……、そんな事を言ったって……っ!!」


上昇気流による締付は想像以上に強く強く、いくら藻掻いても抜け出せそうな気がしない……!

むしろ藻掻けば藻掻くほど締め付けが強くなる……っ!


『このままお前の体をバラバラにしてくれるわっ!!』


くそ……っ!

このままでは本当にバラバラにされてしまう……っ!

バラバラに……?

そ……、そうか……っ!その手があった……っ!

俺は藻掻き続け、体がバラバラとなったり、各パーツが凧糸からすり抜けて地面へと落ちた。


『ふはははは……っ!遂にバラバラとなったかっ!!レーニア!この勝負は我の勝ちだなっ!』


『拓海さん……っ!?』


待っていたぜこの時をっ!!


「レーニア!リペアだっ!!」


『え……?あ、はいっ!神スキル発動!「リペア」っ!!』


頭だけになった俺がレーニアへと指示を出すと、意味が分からないといった様子でレーニアはリペアを発動させた!


すると、バラバラになった俺の体が元の姿へと組み上がっていく!


『な……っ!?』


その様子にウインザーは驚愕の声を隠せないでいたっ!


「悪いな!プラモは各パーツを取り外す事が出来るんだっ!」


『拓海さん……っ!』


そう!プラモを作ったことがある人ならわかると思うが、プラモは各パーツを簡単に取り外せるっ!

しかし、バラバラに取り外した結果、自分で元に戻れなかったのでレーニアの「リペア」を使って元の姿へと戻ったまでだ!


『小癪な……っ!なら今度は元に戻れないようにバラバラにするまでだ……っ!!』


ウインザーは再び俺へと凧糸を絡ませようとしてきたっ!

だが、甘いっ!!


「俺に同じ技は通用しないっ!!」


俺は剣で凧糸を切断したっ!

俺に同じ技は通用しない!

くぅっ!一度言ってみたかったんだよなーーっ!!


『な……!なにーー……っ!!』


糸を失った凧はそのまま地面へと落ちると、俺は凧へと剣を突き立てたっ!


「どうやら勝負あったようだな……!」


『ぐう……!我の負だ……。』


ウインザーは負けを認めると俺の体はフタタビ光に包まれ、先程いたドームのようなところへと戻っていた。

そして、戻ると先程までたくさんあったおもちゃは半分くらいに減っていた。


辺りを見渡すと、先程戦った凧の姿がない。

どうやら負けたらここには戻れないようだ。


そして、もう一つ気になることがある。

それは勝った時に頭の中に聞こえてきた「1,000スキルポイントを入手しました!」というメッセージだ。


『拓海さん!やりましたよっ!初勝利ですよっ!!』


「あ、ああ……。それはいいのだが、さっき1,000スキルポイントを入手したっていうメッセージが頭の中に聞こえてきたが……。」


一人テンションの高いレーニアに俺は尋ねてみた。


『スキルポイントは、各種ステータスのレベルアップや、その体の固有スキルを解放するのに使いますよ。詳しくはステータスで確認して見てください。』


ステータスを……?


「ステータスオープン。」


ステータス画面を開くと、そこには大きく1,000ポイントと書いてあるが、この楓の固有スキルはどう確認すればいいのだろうか……?


『その体の固有スキルを確認するには②のボタンを押してください。①を押すとステータス画面へと戻れますよ。』


②のボタンを……?

ああ、これか。

俺はそのボタンを押すと、別のウインドウへと切り替わり、そこには楓の使用武器が書かれていたっ!


レーザーソード

1,500Pt


レーザーライフル

1,500Pt


飛行能力

1,500Pt


プラズマナックル

3,000Pt


大口径高エネルギーキャノン

5,000Pt


と、今のスキルポイントでは入手出来ないが、スキルポイントを貯めればこれらの武器や能力の使用が可能になるということなのだろうっ!


だが、ここは慎重にならなければならない……。

なぜなら各種ステータスも伸ばさなければこれからの戦いキツくなるのは容易に想像がつく。


「一先ず、ステータスを上げるか……。」


俺は①を押してステータス画面へと戻ると、攻撃と防御、スピードのステータスをLv3へとそれぞれ上げた。

すると、レベルを二つ上げたからか、ステータスの次のレベルに必要なポイントが200に上がっていた。

どうやらレベルを上げると次のレベルまでに必要なスキルポイントが多く求められるようだ。


『拓海さん、準備はいいですか?良ければ次の対戦に行きますよ!』


「ああ、いいぜっ!」


俺はレーニアの言葉に頷くと、体が光に包まれたのだった!



=======================


残りスキルポイント

1,000→400


ステータス

攻撃 Lv1→Lv3 NEW


防御 Lv1→Lv3 NEW


スピード Lv1→Lv3 NEW


獲得スキル

無し



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


少しでもおもしろいとか、続きが気になるなど、気に入って頂けたら評価をしていただけると今後の励みになります!


また、感想をいただけましたら喜んで返信させていただきます!


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る