第10話 ラキアスとの「別れ」

⭐︎ ⭐︎ ⭐︎

 翌週、ジンはラキアスに連れられて、二年ぶりに「外」に出た。

「どこに行くの? ラキアス」

 ジンはラキアスに尋ねる。

「人間の村じゃ。エルフの村に比べたらつまらないかもな。お前には」

 ラキアスは、閉じられた三つ目を今は獣皮のフードで隠していた。

 人間の村に入ると、牛や豚、ニワトリがあちこちで飼育されている。枯れかけた小麦の匂いもたちこめていた。

「こんなところいやだよ。ねえ、ラキ」

 その名を言ってはならないと気づき、ジンは慌てて口を押さえた。村長らしき人がやってきて、ラキアスと何か話をしている。

「旅芸人のラキーナさん。それでは、この子が『あの噴火』から生き残ったエルフ族なのですか。水の力も、その、使えますでしょうか」

 

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