第9話 ラキアスの決断

⭐︎ ⭐︎ ⭐︎

「ジン。そうか。精霊を召喚しようとしたのか」

 ラキアスは、血を流して倒れているジンに駆け寄ると眉をしかめた。

 体が冷たくなりかけていた。

 この子は自分の「暇つぶし」のために連れてきた。将来的には自分を憎み、その「凍れる力」で自分を倒そうとする存在のはずだ。もちろん、自分は負けたりはしない。ただ、暇つぶしの材料になると思って、この「叡智の図書館」に連れてきて育成していた。

 こんな子が愛おしくてたまらないとは、火山の女神の名前が泣くではないか。

「土の上位精霊、ドリアーデよ! 出でよ」

 ラキアスは高らかにうたう。現れた土の精霊は、

「あらまあ。ひどい怪我をしたエルフですこと」とあたふたして、ジンの「治療」を始めた。

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