第5話 叡智の図書館
「ここは、エルフ族の『叡智の図書館』。太古からの魔法の書がたくさん所蔵されておる」
ラキアスはくつくつと笑っていた。
「ここでせいぜい、わらわを倒す魔法でも学ぶことじゃな。そろそろ、魔力も戻ってきたはず。お前なら、ゴーレム三体よりは大きなものが召喚できるぞえ。精霊なぞ、どうじゃ」
「精霊? そんな。畏れ多いよ」
少年は首をぶるぶると振った。
少年が召喚できるゴーレムなどは「聖霊」。同じ発音でありながら、「精霊」とは明確に区別される。「精霊」はより自然に近い存在、もっと言えば自然そのもの。エルフにとって自然は神聖そのものだった。
「火の精霊、風の精霊、土の精霊、水の精霊。わらわは火と土の上位精霊とは『お友達』じゃよ」
ラキアスはどこかつまらなそうに言う。
ジンはその図書館で、エルフの言葉に久しぶりに触れる。この言葉で話せる相手がもういない。涙が出て仕方なかった。
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