4-3

 波に揺られ朝日を浴びながら起きる。

 波の音だけではない。汽笛の音が聞こえる。

「よぉ、起きたかあ。紅区画に到着したぞお」

 船頭の声で目が覚めた。

 体を起こすと水平線とその上をゆっくりと走る黒く大きい鉄の塊。

 蒸気機関車が見えた。

 紅区画はそのすべてが水没しているため波の上に線路があり、そこを走る蒸気機関車に住民の八割が住んでいる。二割は自分で購入した船に住んでいるが紅区画は非常に広いため見かけることすらないだろう。

「縄をひっかけて中に入れるように手配してやるからまだ寝てていいぞお」

 僕はまた目を瞑る。

 二度寝は気持ち良いのだ。オナニーより気持ち良い時がある。

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