高速


-正午-ポムの街-近くの街道-



 暑い陽が射す。ギムとマーガレットは道中の街で必需品を買い、その街からポムの街まで行ける乗り合い馬車に乗っていた。


「…ふぅ…暑いですの…」 


 マーガレットはキツキツなシャツの胸元のボタンを解いて豊かな谷間を解き放つ。


「こんな所で胸元を開けるな。野郎共が凝視してくるぞ」


「ふーんっ、ですのっ!それならその大きな身体で私を不躾な視線から守ってくださるかしらッ!」


 ギムが不満気にマーガレットに問い掛けるが、狂わしい程愛おしいスキンヘッドの恋人から激しい嫉妬の感情を一身に受けたマーガレットは軽く穿いている縞々パンツに染みを作りながらクスクスとギムを揶揄う。

 否、揶揄ってはいない、本心である。


「分かった」


 言葉を発した瞬間にそれまで隣に座っていた巨大な体躯をしたギムがバッとマーガレットに覆い被さる。


 「…んっ!」



 体重は掛けられていないが、巨大な身体で視界を覆われたマーガレットはその強大な圧によって更に股を濡らし、喘ぎ声を出す。


 「………」

 

 一方のギムは自分の上半身を見て、場所を構わずに発情していたマーガレット対策の為に街で買った紳士用の白シャツを羽織っている。


 マーガレットは何故か顔を僅かに火照らせ、涎を垂らしながら此方の上半身を舐め回す様に見ているが、ギムはそれを気にしない事にした。


-馬車の端-


「チッ、男がぃんのかよ」 


馬車に座るチンピラ風の男が苛立ちを隠さずに言葉を吐く。


「くそっ…タマンねぇな。あの豊満な身体を揉みくちゃにしてやりてェ…」


その隣に座る相棒らしき男が欲望を垂れ流し、言葉を吐く。


「はっ!お前ら嫌がる女を裏路地に連れ込んでから無理矢理手を出して股が解れてない状態でヤってそうだな?愛の言葉を囁き、自ら腰を振ってくる。愛し、愛される女とのの行為を知らねぇとは哀れで哀れで仕方無ぇな」


 それを聞いていたハゲはイライラしながら、ついこの間まで童貞であった癖して偉そうに言う。


「んだとコラァ!?」


「え?やるか?お前はこの『バスター兄弟』に喧嘩売ってるって事で良いのかなあ?」


 安い挑発に乗ったチンピラと相棒は腰からナイフを取り出し、刃身をぺろっと舐めてギムに威嚇する。


「…婦女子にしか力を振えない様なヤツが何を馬鹿な事言ってんだァ?コラ?二度とヤれないようにお前らクソの包茎息子を潰してやるぞ?あァん?」


 ギムはドスの効いた声でバスター兄弟を脅す。


「ひぇっ…ま、まあ、いい。ま、街で会ったら、お、覚えとけや。おいぃ、ガジー、行くぞっ」


「ひっ、お、おうよ」


 すっかり萎縮したバスター兄弟は捨て台詞を残して馬車から飛び降り、去って往った。


「はぁ…胸糞悪いヤツらだったな」


 ギムは溜息を吐きマーガレットの方に向き直す。


「っ…!?」


 するとマーガレットは白目を剥き、涎を垂らすと云う絶頂顔を晒していた。


「マ、マーガレット?…」


「ヒュッ…ハァハァ…息を吹き返しましたわ、、

あまりの威圧に絶頂していましたの…あんなにカッコよく私を守ってくれるなんて…んっほぉお」


「はぁ?」


 ギムはどうしたものかとマーガレットの名前を呼ぶが、予備動作も無く、次に行われた事に対して驚きのあまりに目をカッと見開いてしまう。

 

 まさかのマーガレットが痙攣しながらも、高速で服の上から胸と股を弄っていたのであった。

 

 股は謎の水分によって見てわかるほど濡れていた。


  ……


  (え…?こんなとこでやるん?…マーガレットって思ってた以上にヤバいんか…)と、ギムは心の中で驚いた。
















マーガレットはスキル『高速』を手に入れた










________



こんばんは。黑兔です。


マーガレットのヤバさが今回から魔界の瘴気並みに溢れ出していきます。


果たして読者は耐えられるのかッ!





作者から一言



今回マーガレットが手に入れたスキル、『高速』はめちゃくちゃ強いです。足がめちゃくちゃ早くなります。それだけじゃなく、思考が加速されます。下位スキルに『加速』というスキルがあるのですが、それの100倍強いです。ぶっちゃけ下位の『加速』は雑魚スキルです。南無~


バスター兄弟はポムの街で名の知れた元冒険者で、三流です。弱いです。小さいです。の3拍子揃ったブロンズ冒険者だった方々です。


今後登場するかは分かりませんが、彼らには絶対に地獄を見せると決めていますので苦しめよ!

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