スキンヘッド傭兵は変人美女と〜『絶倫』、そして『圧倒的な力』を持ったガチ無知傭兵は、変人美女達に翻弄されるようです〜
黑兔
第一章-ハジ王国編-
第一話 貴方は傭兵
――夕刻のハジ王国、モノー伯爵領にある城塞都市へ続く街道と森の間に、黒塗りの馬車が車輪を破壊され、無惨な姿で横転していた。
更に、その周りには胴体を袈裟斬りにされた騎士らしき死体が転がっており、凄惨な惨状が広がっている。
...だが、そんな凄惨な現場には、似合わぬ程美しい、一人の女性が居たのだ。
彼女はお尻を地面につけた状態で必死に後ずさっており、とても苦々しげな顔をしている。
そんな彼女の周りを複数の男達が囲んでいた。
「――くっ、賊ごときが、この私に触れたらただじゃおきませんことよ...!」
そう、この薄汚れた男達は金品を奪い、女を攫う、穢らわしき賊達であったのだ。
ぺろりと刃物を舐め、自分の体を舐める様に見ている賊を、彼女は強気な瞳でキッ、と睨みつけ、言った。
「クク...この絶望的な状況でなかなかに反抗的な目をしやがるじゃねぇか...ま、下は正直みたいだがなぁ?」
賊の頭領の目線は、彼女の下半身に向けられており、恐怖からか、彼女が座っている地面には黄色い水溜まりが出来ていた。
「ハハッ!お頭ァ…早くヤっちまいやしょうぜ!」
手下が今にでも襲いそうな程、情欲に汚れた視線を彼女に向ける。
「待てや、お前は俺の次な?おらよッ!」
「いやあああッ――」
――ビリッ
賊の頭領は乱暴な手つきで彼女の着ている服、赤いドレスの胸元を破り、裂いていく。
「おぉ...こりゃあすげぇ、澄ました顔の下にとんでもねえモノが隠れていたじゃねぇか」
「美しいなぁ...」
3人目の賊が呼吸を乱し、胸元を凝視していた。
「いやぁ、見るなぁ!」
「さぁて、さっさとヤっちまうかぁ。なぁに、直ぐに自分から腰を振るようになるさ」
「いやああああああ」
既に自らを抑えきれぬ賊の頭領が、女の豊かな乳房に自分のブツを出して襲いかかろうとした――
が
――ガサッ
「よぉ、やっと見つけたぜぇ...おい。なんで、こんな街の近くに居やがんだ...俺ぁ、わざわざお前らのアジトまで歩きで行ったんだぞ?ふざけんなよ!あァ?余計な手間かけさせやがって...」
「...あ?誰だ?てめ――」
――グシャ
賊の一人が言葉を発しようとした瞬間――奥の薮から現れたスキンヘッドの巨漢によって、彼女を取り囲んでいた複数の賊の頭が潰された。
「な!?、、お、お頭ァ…?ん…?あ、あ、あ、俺の腕があァ」
直後、唯一の生き残りである賊は絶叫していた。
どうやら、賊の右肩から先はその衝撃波で無くなってしまったらしい。
「うるせぇな...」
――唯一生き残った賊は、スキンヘッドの拳によって、肉塊となってしまった。
♢♦︎
(ッ、どうやらここまでですわね――――?なんですの?)
来たる絶望の瞬間から逃れたく、目を閉じていた彼女、名はマーガレットと云うが、マーガレットは聞こえてきた生々しい音と、頭に降りかかってきた温かい物によって目を開いてしまった。
目を開いてしまったのだ。
「――え?あ」
マーガレットは、目の前に仁王立ちで立っていた上半身裸の男の姿を見た瞬間、意識を手放した。
♦︎♢
「んっ...なんですの?此処は何処、ですか...」
気絶から覚めたマーガレットは、記憶が曖昧であった為、此処は何処なんだ、と辺りを見回した。
されど、誰の気配も無く...
そして、次に自分の体を見た。
すると、軽い毛布がかけられていた。
そして、再度前を見ると、
!??
寂しい表情をした、スキンヘッドの大男が燃え上がる焚き火の前で、魚を炙っていたのであった――
「...よぉ、起きたか」
スキンヘッドの大男がマーガレットへと、優しく語りかける。
「あー...私寝てる間に汚されたのですわね」
マーガレットは小さく呟いた。
「あ?何を寝ぼけた事言ってやがる。他人の、しかもそんな汚物まみれの体なんか絶対触りたくねぇぞ。おれは...」
マーガレットがそう言うと、スキンヘッド男はすぐに寂しげな表情を消し、顔をしかめてしまった。
「汚物まみれで悪かったですわねッ!まぁ、私が汚されて無いのはその反応で分かりましたけど...」
――ドクンッ、ドクンッ
スキンヘッド男と喋っている時、何故かマーガレットの心臓は強く跳ねていた。寒いところで寝ていたからなのだろうか、それとも見ず知らずの男の隣にいる事に対する恐怖からなのか。
否、彼女の視線は先程から、スキンヘッド男の体の一部分、それこそ、先ほどまで彼女を襲おうとしていた賊のように大男の上半身をねっとりとした視線で見つめていたのであった。
「え、あ....」(男の人の筋肉ってこんなに艶めかしかったかしら...いえ――違いますわよ、私。この筋肉だからこそ、ですの...ああ///頬の方が灼けるように熱くなってきましたわ...)
どんどんと、マーガレットの頬が赤く、赤く染まっていく。
周りの声などもはや、聞こえていない。
マーガレットは一種のゾーンに入っていたのだ。
「...なんだ?なんで、俺を見てやがる?なんだか、背筋が寒い...!――まあ、それは良くて。いや、よくないか。...でだ、さっきから話してたんだが、馬車の周りに落ちていた死体の事をあんたは知らねぇか?――身なりからして高位の騎士だと思うんだが、?おい、何でそんなに鼻息が荒い?大丈夫か――って、おい。近寄ってくるな、近すぎだ。離れろ!―頼むからぁ...離れてくれぇ」
マーガレットはスキンヘッド男にじりじりとにじり寄っていく。
スキンヘッド男は太い両手を使って、引き離そうするがそれよりも強い力で自分の体が押し倒される。
「はぁ...はぁ、はぁ、はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁ――」
マーガレットは呼吸が荒くなる
「ぉい?近いぞ!おぉい「はぁ、はぁっ、はぁっ!はぁっっ――」
(な、なんですのおおお!この筋肉はッ!滴る汗が艶めいて見える!)
「ぺろっ」
「ぺろぺろっ」
「んんっ、良いお味でしたわぁ」
・ ・ ・ ・ ・
「――あァあ"!?」
スキンヘッド男は舐められた事に対してショックを隠しきれずに顎が文字通り、だらーんと垂れ下がる。
「...はっ!いやいやいやいやいやいや」
「あんた...やってる事おかしくねぇか...な、なんで初対面の男の体を舐められるんだ...?正気か?」
「ですの?」
「いや、ですの?じゃなくって、答えになってねェ」
スキンヘッド男は恐怖で滝の様に汗が湧き出てきていた。
「更に下を舐めろという事ですの?変態さんですわねぇ〜っw分かりましたわ、誠心誠意貴方の粗末な物を舐めさせていただきますわよッ!」
「なっ、えぇっ!?何処に手をやってぇえ?」
「御開帳ッですわぁあ!おーほっほっほっほっほ――っ?な、なんですこの大きさh」
「はぁ…?」
止める間もなく伸ばされた白く細い腕により、Gパンのチャックを外され、馬よりも遥かにデカいモノが外気に触れた。
そして、マーガレットはあまりの大きさに震え、またもや気絶してしまった。
スキンヘッドは、勝手にやって勝手に自滅していったマーガレットの端正な顔をチラリと見て、ひとり呟く。
「な、なんなんだぁ?一体…」
――スキンヘッドの男、ギムは涙目になりながらも横になる。
そして、ギムはこう見えても18歳である。
顔がイカつく、尚且つ筋骨隆々でスキンヘッドな彼は、とてもじゃないが10代には見えない。
所謂、若ハゲというやつだ。
生まれながらに毛根が薄く、15歳の時には既に禿げ散らかしていた。
しかもその見た目から、街によっては衛兵に即捕縛されてしまうこともある。
まあそれはさておき。
彼、ギムは数ヶ月前、賊によって育ての親を失っている。
その昔、ギムは赤ん坊の時に実の両親をまた違う賊によって奪われていた。
だが、その後に彼は何故か、山村の端に暮らす優しい老夫婦に拾われ、育てられたらしい。
そして彼は、無事に成長した。
だが、街に買い出しに行っている間に、賊の手よって17年育てて貰った、恩ある祖父と祖母を失った。
その後、彼は自らの手で、祖父母を殺した賊を殺めた。
それから色々あった彼は、傭兵ギルドを通して依頼を受け、日々、賊の討伐を行なっている。
そんな彼は、後に『弱者の庇護者』『高貴なる者を堕とす者』として呼ばれるようになる。
だが、そんな未来を今のギムは予想していただろうか...
今はまだ、世界中に多く存在する、
『一人の傭兵』
であった。
_________________________________________
どうも、黑兎です。
改訂版を最後までお読みくださりありがとうございました。
誤字脱字報告、流れがおかしい、言い回しがおかしい、等の忌憚なきご意見、いつでもお待ちしております。
何卒、スキンヘッド傭兵をよろしくお願い致します。
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スキンヘッド傭兵は変人美女と〜『絶倫』、そして『圧倒的な力』を持ったガチ無知傭兵は、変人美女達に翻弄されるようです〜 黑兔 @kuroto1717
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