~天馬(てんま)は流行(ながれ)に…~(『夢時代』より)

天川裕司

~天馬(てんま)は流行(ながれ)に…~(『夢時代』より)

~天馬(てんま)は流行(ながれ)に…~

 起死の華から白馬が仕上がり無産の往路(おうろ)を柔らに観る後(のち)、明日(あす)の美化へと自己(おのれ)を欲する無為の言霊(こだま)を始業に置いた…。人間(ひと)の躰が老い生くのを見て言霊(こだま)の初春(はる)には美腔(びくう)が仕上がり、煙たい瞳(め)をした空気(しとね)の思春(はる)には精神(こころ)を病ませる事始(こと)が訪ねて、俺の幻盲(ゆめ)から網羅を織り成す無想(むそう)は脳裏を巡らす無効が這い出て、一人(ひと)の暗間(やみま)に端正(きれい)を奏でる無利(むり)の連呼は標的(まと)を追い出す…。明日(あす)の静寂(しじま)に活き得る〝進化〟は過去を巡らす無理を掘り出し軟い思春(はる)から不気味を見出す旧来独白(むかしがたり)の蘊蓄(がなり)が棒立ち、自我(おのれ)の活気を経過(とき)に留(と)め得る止(とど)めの呼笛(あいず)は、男・女(だんじょ)の間(あいだ)を暫く外れる一女(おんな)の狂気に腐乱を買った。易しい温度が人間(ひとのあいだ)に暫く仕上がり〝宙(そら)〟の経過(ながれ)を滔々見送る心理(こころのかなめ)の拙い呼笛(あいず)は、古着の解(ほつ)れを意味無く直せる幻盲(ゆめ)の教致(きょうち)へ暫く遣られて、愛想好く死ぬ一女(おんな)の価値には一男(おとこ)の独歩(どっぽ)は活性足り得ぬ。一女(おんな)の興味に狂喜が仕上がり、興味の芯には狂気が隠れて、白亜(しろ)い水面(みなも)に女陰(かげ)を残せる幻想(ゆめ)の教句(きょうく)は幻覚(ゆめ)を観た儘、無形(かたち)に追い付く無造(むぞう)に伴う〝活きない証明(あかし)〟に透明さえ観た。

 幻想(ゆめ)の一通(とおり)を好くする為にと頭上(うえ)の陽光(ひかり)は美空を示した、お上(かみ)の構図を示せる無駄を排せる愚鈍の調子を損なわせて生く…。初めの一歩を「不要」に示せる無垢の迅歩(じんほ)は可能(かぎり)さえ無く、文言(ことば)の跳躍(はずみ)で男女(だんじょ)を消し得る未憶(みおく)の傘下で馬蹄を打ち消し、速読して生く未読の進路は宙(そら)を見上げて降参して居り、脆く尖れる菖蒲の茎(とげ)には一人(ひと)の仁歌(じんか)がそろそろ生やされ、人間(ひと)の行方に廃れて生くのは孤独の強靭(つよ)さに葛藤して生く無憶の独歩(あゆみ)の一通(とおり)でもある。一男(おとこ)の煩悩(なやみ)と一女(おんな)の本能(ちから)は宙(そら)に宿され不快を詠まされ、娑婆に出て生く〝不快〟の震度は現代人(ひと)の会得を鵜呑みにしたまま後悔さえ無い黄泉の振度(しんど)を女性(おんな)の満膣(あな)から上手(じょうず)に引き取り孤高の高度を見上げ尽(き)れない幻想(ゆめ)の空気(しとね)に性(せい)を得る内、一男(おとこ)は女性(おんな)の女性(おんな)は一男(おとこ)の、孤高の大器(うつわ)に自我(おのれ)を失(け)せ得る未覚(みかく)の立場を巧みに睨(ね)めた。文言(ことば)の先端(はじめ)に未完(みじゅく)が盛り出し白亜(しろ)い人煙(けむり)に空想(おもい)が晴れても幻盲(ゆめ)の未完(みじゅく)は躁鬱ながらに、事始(こと)の威嚇が紀行を牛耳る咎めの傘下に行水して居る…。苦界の賛美が防音(おと)を成すうち純白(しろ)い生扉(とびら)は悶絶する程、俺の身欲(みよく)を小言に隠せる夢想(ゆめ)の独気(オーラ)を鵜呑みにして活き、事始(こと)の総てが我慢を火照らす無刻(むこく)の遊戯は矛盾を蹴散らせ、遊戯(あそび)に名高い無憶の徹義(てつぎ)は私算(しさん)に乗じて無断を蹴った。漆黒(くろ)い遊戯は単色主義(モノクロリズム)を善しとしながら永い夢春(はる)から堂々凍て付く脆弱(よわ)い皆無(オルガ)を当て付けながらに、俺の覚悟を更に延ばせる有名無実を酒宴(うたげ)に失(け)した。愛想が尽きない煩悩(なやみ)の通底(そこ)には柔味(やわみ)の呼笛(あいず)が幸(こう)を先走(はし)って原夢(ゆめ)の概(おお)くを無口(くち)に出せない空気(しとね)の初春(はる)へと総嘗めするけど、白亜(しろ)い気色が呑気に廃れる幻夢(ゆめ)の自滅(ほろび)は放蕩さながら、肌理の短い純白(しろ)の呼笛(あいず)は荒唐無稽に文言(ことば)を毛嫌う…。幸先短き幻盲(ゆめ)の暴利(ぼうり)は身欲(みよく)を識(し)れども安い一女(おんな)は葛藤ばかりを恩に嫌って、厚い行李を扱う両腕(かいな)の端(すそ)には女性(おんな)の渋さが美味(あじ)を蹴散らせ、幻想(ゆめ)の空転(ころび)を宙(そら)へ棄(な)げ得る危篤の傘下を放浪して居た。明日(あす)の帰途へと矛盾を培う一女(おんな)の肌理には〝無稽〟が活き継ぎ、幻夢(ゆめ)が冷めない陽(よう)の目下(ふもと)で善(ぜん)を被(こうむ)る孤独を報され、純白(しろ)い孤独を女性(おんな)に観るうち孤独の輪舞曲(ロンド)は血相(かお)を好くして、俺の精神(こころ)を幻(ゆめ)に扱う軟身(しとね)の空気(しとね)を目算(もくさん)して居た。孤高の末路に一女(おんな)を気取れる湯浴みの行者(ぎょうしゃ)に通底しながら俺の〝勇者〟は転々(ころころ)暗転(ころ)がる独創(こごと)の帳に相(あい)を観ながら、漆黒(くろ)い空気(もぬけ)は一女(おんな)を仕合わせ一男(おとこ)を発(た)たせて、出来の事始(はじめ)に蘊蓄(がなり)を猛れる呆(ぼ)けた呼笛(あいず)は焦点(ピント)を外(ず)らされ、併せの二夜(ふたよ)に〝相(あい)〟を灯せる無機の温度を頂戴して居た。漂白(しろ)い気怠(だる)さは暗夜(やみよ)に汚(けが)れる不法を識(し)る儘〝合(あわ)せ二世(ぶたよ)〟に始終を漏らせる玉匣(はこ)の用理(ようり)を純(ピュア)に得ながら、醜い過去から無数に仕上がる厚い〝連呼〟にその実(み)を囃され、無駄に浅利(あさり)を益(えき)に頬張る〝向き〟の鬼畜に酔い痴れ始めた。白夜(しろいよる)から白亜(はくあ)の狼煙(けむり)が伝播に乗りつつ無憶の行方(かなた)に希少を牛耳る暗天(あんてん)・輪舞曲(ロンド)の屈(こご)みに合され、哀れの無音(おと)から無我(おのれ)を吟じる空気(しとね)の豊穣(ゆたか)は気楼に揺らされ、出来事(こと)の進歩に安息(いき)を付け得る幻夢(ゆめ)の安転(まろび)は透りを決め活き、幻想(ゆめ)の宮(みやこ)を肢体(からだ)に寄せ得る理性(はどめ)の正理(せいり)を未順(みじゅん)に識(し)った。白亜(はくあ)の凶馬(きょうば)が一女(おんな)を噛んだ。

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 白馬の天馬に乗って、現実の夜空を駆ける夢を見た。俺は天馬に跨り、前に自分を好き(だけど途中でバンパイア・ゾンビのようになって、俺を食おうとする彼女・時折り少女)と言ってくれた彼女を抱いて、その白天馬と一緒に夜空を駆けて行った。時は、夜の十時前だったと記憶する。

      *

 俺はゾンビが水に飢えるように女に飢えていたようで、その彼女を、譬え自分の首から胸辺りの肉を齧られ食われようとも〝構わない〟としてその器量がめっきり可愛らしい女の子を連れ、天馬に乗る前、道端を始め走って居た。俺はその夢の内(なか)では何でも出来て、一つ、万能の力を持った(自分も)ゾンビのような、得体知れずのスーパーマンにでも成ったかのようで、又、途中から、世直しの為にと頑張って走って居た。ゾンビに成って青白い顔した可愛らしい彼女が始め、髪が抜け落ちた、似合わず、不細工な恰好をして居たので〝君にはこっちの方が似合うだろう〟として右手を彼女の頭上にボールを掴むようにして翳し、彼女の頭に髪を生えさせた。

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 事始(こと)の空間(すきま)に幻想(ゆめ)を敷くまで度量を熱する過去の規律(おきて)を他(ひと)の刹那に無言と据えつつ、未完(みじゅく)の自活(かて)との純白(しろ)い気色(いろ)から端的(はし)の文言(ことば)へ想いを遣ったが、一女(おんな)の残香(におい)は暗黙(やみ)へ徹する羞恥を識(し)り貫(ぬ)き無造作に在り、文句(ことば)の一端(すみ)から無効を喫する夜半(よわ)の頃合(なかば)は女性(おんな)を臭わせ愛妻から成る、幼い一女(おんな)の体内(からだのなか)から虚無に息衝く悪臭(におい)の総ては一男(おとこ)の内実(うち)から空想(やぐら)を発狂(くる)わす無言の四肢(てあし)を美しくもした…。早朝(あさ)の空気(しとね)に孤独を透して暗黙(やみ)の波調(しらべ)に純白差(しろさ)を暗転(ころ)がり、幻(ゆめ)の余剰(あまり)を孤高に晦ます未憶(みおく)の神秘(しんぴ)の〝相(あい)〟の総図(そうず)は暗黙(やみ)の夢目(むめ)から落され出した。出来事(こと)の最中(さなか)に宙(そら)を想わす怪鳥(とり)など自由に羽ばたき、しどろもどろの憤怒の檻から四縦(しじゅう)に燃え立つ漆黒差(くろさ)が顕れ、事始(こと)の順序を坂巻き逆行(もど)せる〝浮世の宵〟には他(ひと)が生い立ち、純白(しろ)い人端(きれ)から枇榔(びろう)が降(お)り発(た)つ刹那の曖(あま)さが思春を吹いた。哀れな人間模様(もよう)を宙(そら)に気取らせ魅惑の果てから煩悩(なやみ)を培う一男(おとこ)の脆味(よわみ)を孤高に突く内、独り清閑(しずか)な夜目(よめ)の覚悟を全身(からだ)に透して文言(ことば)を吐(は)いた。純白(しろ)い小人(こびと)が孤独の許容(なか)から五月蠅(あわ)い無機さえ宙(そら)へ差し止め、夢遊に培う孤独の温度を積極(プラス)の方へと矛盾を敷いたが、現代人(ひと)の水面(みなも)が果(さ)きへ逝く都度固く成りつつ不向きの夢想(ゆめ)から平地の緑(ろく)まで最たる〝理性(はどめ)〟も無感にさせつつ、漂白(しろ)い規律(おきて)を挽回して行く不動の無形(かたち)を表(ひょう)に費えた。明日(あす)の私運(さだめ)を未運(みうん)の側(そば)から経過(とき)を跳び越え汚き身屑(みくず)の浮遊の揺蕩(ゆらぎ)の足元(ふもと)が何にも感じぬ辛(つら)さを争い、煩悶しながら「無効」に合せる男・女(だんじょ)の精進(はげみ)につくづく憂得(うれえ)る真摯の要局(かなめ)を無産(むさん)に識(し)った。眠い脳裏(あたま)を散々扱い人間(ひと)の空気(しとね)に私欲(よく)を観る頃、〝向き〟を蹴散らす空気(しとね)の初春(はる)には無想(むそう)に満ち得る理想(ゆめ)が跳び交(か)い、明日(あす)の気運(さだめ)に重要(おもき)を載せ得る立派な賛美の追従(ついしょう)からでは、無厳(むごん)に培う色気の有限(かぎり)が地球を想わせ理屈を観て居た。無能の人屍(やぐら)が生(せい)を得るころ商人(あきないびと)から孤独を賜り、無傷で居られる総ての物から未屈(みくつ)に達する嗣業を得て活き、純白(しろ)い道義に構築して生く孤独の連雅(れんが)は何処(どこ)とも青白(しろ)くて、一人(ひと)の脆味(よわみ)を希少に留(と)め得る無有(むゆう)の集落(アジト)に収監する内、身近の核心(こころ)へ従順(すなお)に延び得る不動の覚悟は現行(いま)を呼び捨て、初めから無い拙い我信(エゴ)まで遂に遠退く快無(オルガ)を識(し)った。拙い夢遊(あそび)に夢の前戯(あそび)が糊代(あそび)を連れ添い、思惑(こころ)の空間(すきま)に「俺」を添え得る「無駄」の感覚(いしき)は我尊(がそん)を報され、始め語りを宙(そら)へ酔わせる思惑(こころ)を培い、弱音を聴けば全身(からだ)を黙らす俗世(このよ)の集落(アジト)を絶滅させ得る。無駄の清閑(しじま)を幻夢(ゆめ)の透りに追算(ついさん)しながら孤独と幻想(ゆめ)との有形(かたち)の並びに孤踏(ことう)を想わす吐息を突いたが、現代人(ひと)の常識(かたち)は俗に溺れた無意味を排して、人間(ひと)に通れぬ複雑怪奇を一新(あらた)に識(し)れない無言を識(し)った。満たない人屍(やぐら)に追生(ついせい)して行く無言の八頭(おろち)は懺悔を識(し)りつつ、無産の孤独を理性(はどめ)に敷かない「明日(あす)」の言霊(こだま)を奨励して活き、事始(こと)の見事を通算するうち明日(あす)の人屍(じんし)を徹底するのは、一人(ひと)に識(し)られず無垢に知れない。無言の香奥(かおく)の様相だった―――――。

      *

 ―――――、始め耳辺りの頭の側面だけがふさふさ延びて不格好に成り、これではいけないとも一回同じ様(よう)に彼女の頭上に手を翳し、癖毛の黒髪を満遍無く生えさせた。そうすると流石は女であり、写真でよく見るようなしっかり纏まり整う女の顔に見事に落ち着き、少しだけ自分を抱(だ)く俺の左胸から首に掛けての肉を食うのを止(や)め、俺の顔を真面々々(まじまじ)と上目遣いに覗いて来た。俺は見詰め返して、「ほら見ろ、やっぱりこっちの方が、こうすれば、可愛いじゃないか」と彼女を窘め、彼女を自分の物にでもする様にそれから大事にし始めた。

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 人物(もの)の概(おお)くは俺の目前(まえ)から前方(まえ)へと通り、透り過ぎ生く無言の景色に単色の濃薄(はざま)を念頭(あたま)に置きつつ、無色兼備の無図(むと)の解(ほぐ)れを純白味(しろみ)に準じて聡明(あか)るくして活き、未屑(みくず)の揺蕩(ゆらぎ)は無苦(むく)を装う自然主義での脆味(よわみ)に連れ添い、俺の数図(かずと)を低腰(こし)に巻き生く無数の感無(オルガ)を官能して居た。純白(しろ)い気色を無要(むよう)に発する事始(こと)の進化は端正(きれい)に巻かれた一女(おんな)の生(い)き目(め)に美容を伴い、無知へ嘆(なげ)ける哀れの末端(まつろ)を「自由」に想わす寸出(すんで)の許容(うち)から異様に煙たい早朝(あさ)まで引き寄せ、明日(あす)の目的(さかな)に器用を発する無用の規律(おきて)を通感(つうかん)させ得た。事始(こと)の初歩(いろは)に美容を想わす不動の一歩を通底(そこ)に置きつつ旧い水面(みなも)は透って益(えき)する未順(みじゅん)の生茂(しげみ)に順々仕上がり、女性(おんな)の樞(からみ)は宙(そら)へ匂わす自己(おのれ)の脆味(よわみ)を臭味(くさみ)へ近付け、俺の能力(ちから)が挙って呼吸(いき)する夜半(よわ)の集落(アジト)は寝床を借りて、五月蠅(あわ)い危機から人命(いのち)を絆せる紅(あか)い臀部(おしり)を洗って往(い)った。幻夢(ゆめ)への覚悟は未順(みじゅん)を漏らせる〝生茂(せいも)〟の許容(うち)にて現代人(ひと)の退屈(ひま)から斬新(あらた)を捜せる美容の雲母を一人(ひと)へと想わせ、明日(あす)の孤独を昨日に差し生く独創(こごと)の連茂(れんも)を葬儀へ貸し付け、明日(あす)の流行(はやり)に人身(ひとみ)を安める事始(こと)の遊戯に関連していた。人物(もの)の無口に揺蕩(ゆらぎ)に観ながら昨夜(きのうのよる)には自己(おのれ)が立たない〝夜半(よわ)の連茂(れんも)〟に連呼を発(た)てつつ、脆(やわ)い御目的(おかず)に頭数(かず)が揃わぬ不要の自主(あるじ)に斬新(あらた)を培え、昨日の揺蕩(ゆらぎ)に盆を射止める滑稽・歌劇を構築している…。無為の寝言に未信を識(し)りつつ無用の自主(あるじ)に八方(でかた)を揃えた〝幻(ゆめ)の八頭(おろち)〟の文言(ことば)は未(いま)でも、暗黙(やみ)に途切れる暗雲(くも)の無断(とぎれ)に理性(はどめ)を射ながら、淡麗(きれい)に落ち着く幻夢(ゆめ)の寝所(ねどこ)を人物(もの)の見事に構築して居た…。

 人波(なみ)の清閑(しじま)に美容を観てから俺の白馬は物の怪など見て、独歩(あゆみ)を止(や)めない無垢の譲歩に幻見(ゆめみ)の両刃(もろは)を拮抗させつつ、漆黒(くろ)い万象(よろづ)を人物(もの)に観(み)せない空気(しとね)の思春(はる)には耄碌した儘、孤高の分野を気高く競歩(ある)ける孤高の信者を透り逝かせた。清閑(しじま)の無数(かず)から〝孤独〟を想わす事始(こと)の元理(げんり)は、幻夢(ゆめ)を想わす純白差(しろさ)の人陰(かげ)にて無想(むそう)を酔わせるしどろの「歌劇」を故無く発し、孤独の人陰(かげ)から信義を想わす無理の証明(あかし)は誰に識(し)れども、明日(あす)の孤独を俺(ひと)に思わす私闘の思春(はる)へと〝連呼〟を遣った。〝連呼〟の果てには不要に着かない言語が表れ、無遊(むゆう)に気取れる自主(あるじ)の寝言に孤高の形成(かたち)が過程(ながれ)を合され、他(ひと)との脆差(もろさ)が自然(あるじ)に漂う無機の活気が煩悩(ぼんのう)さえ識(し)り、早死にして行く湯気の人には〝勝気〟の成らない凡庸(ふつう)が仕上がる。向きも不向きも未順(みじゅん)を伴う生(せい)の許容(うち)には、明日(あす)の孤独が斬気(ざんき)に記(しる)せる〝孤独の網羅〟を夜気(よぎ)に這わされ、止(と)め処(ど)無く世を〝苦界〟に翻(かえ)せる思春(ししゅん)の条理を開発して居た。脆(よわ)い人物(もの)から抵抗して生く空気(しとね)の至春(はる)には物憂い眼(め)が発(た)ち、余程の高利を延命(いのち)に数える無垢の正気を生気に見た儘、明日(あす)に息衝く無用の活気は人象(ひと)を識(し)らずに純白差(しろさ)を解(と)いた。―――…、幻夢(ゆめ)の苦言が自主(あるじ)を求めて人物(もの)の人屍(やぐら)を隈なく観る内、無機の行方(かなた)に「無効」が生き着く初歩(はじめ)の折りから斬新(ざんしん)さえ識(し)り、苦行を呈する末活(みかつ)の自主(あるじ)は事始(こと)の行理(ぎょうり)へ追従(ついしょう)する内、次第に肉体(からだ)が憤怒に敷かれる二重(ふたえ)の乱起(らんき)を至闘(しとう)に添えた。無駄の生(せい)から独創(こごと)を手放す無遊(むゆう)の進理(しんり)は独語(どくご)を知り活き、寝室(ねむろ)の思春(はる)には暴嵐(あらし)が咲き付く未様(みよう)の晴嵐(あらし)が小言を宣い、一女(おんな)の肚から女性(おんな)が死に生く無層(むそう)の歌劇は空気(しとね)に揺られて、俺と一女(おんな)の思春(はる)の流行(はやり)は不断に培う愛利(あいり)を識(し)った…。―――、

      *

 彼女は何か嫌がる様子を微かに見せながらも、それでも黙って嫋(しおら)しく大人しく、俺に抱(だ)かれて在った。俺の万能力が途中で天馬(てんま)を出したので、途中まで彼女は俺の懐へ抱かれ、途中から天馬と俺とに抱かれていたのだ。

      *

 俺には柔い曽母(そうぼ)の様(よう)な、いや俺の本当の母親のような、第二の母的存在がその夢の中に居て、夜十時前頃には俺の為に電話番をしてくれて居た。

      *

 孤独の水面(みなも)が憂(ゆう)に事欠く純白味(しろみ)を負わされ幻夢(ゆめ)の空転(まろび)を自信に餌付ける事始(こと)への勇気を聡明(あか)るくする内、無刻(とき)の経過(ながれ)は成果(はて)を識(し)り得ぬ調子に合され無想を発し、自由を酔わされ「自由」を知り得ぬ無意(むい)の狂句(きょうく)に苛まれて居た。明日(あす)の過程(ながれ)を一美(いちみ)に培う不容(ふよう)の語録は言葉を牛耳り、経過(とき)の目下(ふもと)で落ち着く姿勢(すがた)を無踏(むとう)の間際で勝気に沿(そ)わせて、無意味の吟味(あじ)さえ器用に知り生く未様(みよう)の信義(しんぎ)に稀有を任せた正味の連呼を放擲する内、暗黙(やみ)の間際に生繁(うねり)を臭わす出来事(こと)の過程(ながれ)に〝身重(みおも)〟を置いた…。「明日(あす)の行方」を利道(りどう)に問うのは無垢の理性(はどめ)の行為の範囲(うち)にて、他(ひと)の文句(ことば)を奇妙に培う事始(こと)の連動(うごき)は精進(すすみ)を観(み)ぬ儘、「明日(あす)」の咎めは俺の寝床を低徊するうち「無機の進理(しんり)」を殊に温(あたた)め、紺(あお)い瞳(め)をした不動の快無(オルガ)は酔いを醒まして整頓された。事始(こと)の主軸(じく)から連動(うごき)が生じて未散(みさん)の覚悟は「明日(あす)」へ向く儘、他(ひと)の乖離を自欲(じよく)に識(し)るうち無動(むどう)に発する自熱(ねつ)は凝(こご)まり、明日(あす)の進理(しんり)は事始(こと)を想わす無想(むそう)の長波(ちょうは)を連断(れんだん)して活き、事始(こと)の概(おお)くを寸断出来ない生命(いのち)の愚弄(あそ)びに信仰(まよい)を観て居た。無言の調子が自然(あるじ)を透して清閑(しじま)に集まり、出来事(こと)の概(おお)くは自主(あるじ)を識(し)れない透った生々(いい)から呪界(じゅかい)を想わせ、愚弄(あそ)びの許容(うち)から延命され逝く事始(こと)の概(おお)くは拡散され行き、滞りの無い〝未知の四肢(てあし)〟は生茂(しげみ)を破れる思突(しとつ)を識(し)った。俚諺の矛(ほこ)から無体(からだ)を撓(しな)らす事始(こと)の生憶(きおく)は無性(むしょう)を識(し)らねど、五月蠅(あわ)い規律(おきて)を進化へ添え得る事始(こと)の精進(すすみ)は絶(た)えを示せず、旧来(むかしながら)の人間模様(もよう)の信仰(めいろ)は事始(こと)への身構(かま)えを概(おお)きく培え、明日(あした)成らずの無想の追加は珠玉(たま)の真裏(しんり)を創工(そうこう)していた。俺の背後(うしろ)で女性(おんな)の残光(ひかり)が迷いを報さず、「無名」の集地(アジト)を個工(ここう)に巡らす無知の美味から意向を逸らせず、明日(あす)の昨夜(よる)へと暗黙(ぬくみ)を気取らす淡泊(しろ)い白夜を想わす時期(ころ)には、旧来独白(むかしがたり)の大器の訓(しるし)に想話(そうわ)を突き差す一明(あかり)を識(し)った。早い話の黄金(こがね)の模録(もろく)に夜半(よわ)の余裕(ゆとり)が総身を揺(ゆら)せる無味の初動(うごき)へ連動した後(のち)、併鏡(あわせかがみ)に自己(おのれ)を映せる純白(しろ)い朧は無戒(むかい)を生じて、明日(あす)の夢想(ゆめ)から人御供を気取らす至天(してん)の主観(あるじ)を垣間見る後(のち)、明日(あす)と「今日(きょう)」との歩速(ほそく)の緩みに独活(うど)の障りは相(そう)を削ぎ生き、独創(こごと)の連呼に思春を感じる青空(そら)の清閑(しずか)を見送り続けた…。

      *

 …俺は彼女を抱きながら天馬を既に出した後(あと)、幾人かの仲間が居た事に成っており、その仲間と一緒に小さな目的(世直し)の為にと、走って居たのである。仲間の内には『相棒』シリーズに出て来る米沢(鑑識のでぶっちょ)も居り、俺は彼を密かに良きライバルとして視(み)て居る形跡が在り、彼に〝彼女の爪の垢の鑑識結果が出たかどうか〟を確認させる為に、〝何時(いつ)もの鑑識所〟へ電話を掛けさせ、明日中(あしたじゅう)にどうしても鑑識結果が居る事を伝えといてくれよ、と言う事をも同時に伝えさせた様(よう)だった。

      *

 幻想(ゆめ)の孤独が真横に流行(なが)れて俺の孤独がぽんと浮き出て、思惑(こころ)の旅路の足元(ふもと)の脚色(いろ)には朗(あか)るいmorgue(モルグ)が建設された。無為に拡がる悲壮の片隅(すみ)にて幻(ゆめ)の小躍(おどり)は痛快ながらに、孤高に浮き立つ俺の孤独は見様(みよう)に沿い得ぬ未知を気取って、愉しいながらに死地を想わす「還りの岐路」へとその実(み)を継いだ。俺と一女(おんな)の背景(うしろのけしき)は通り縋りの詩歌の体(てい)にて、無駄を攫わず無性(むしょう)の利益を欲して在ったが、初めの旅路に思いを遣るうち新春見事な芸を奏でる見様の〝出方(でかた)〟を胸中(うち)に留(とど)めて、一女(おんな)の気色は俺に対する不貞を終(つい)とも漏らさなかった。明日(あす)の清閑(しじま)へ棚引く病みには人間(ひと)の行為が異様に決する無益の冥利が先走りをして、俺の白紙(こころ)に地位を呈(しめ)さぬ見様の規律(おきて)がその芽を牛耳り、先駆け豊かに新春(はる)を着飾る私様(しよう)の宮(みやこ)へ功を奏した。一女(おんな)の頼みは俺の幻(ゆめ)からするする擦(す)り抜け、奇妙の暗黙(やみ)から一体(からだ)を欲しがる見様に豊かな豪華を飾り、〝併鏡(あわせかがみ)〟に矛盾を詰め得る孤高の寝所(しんじょ)を構築しながらそれでも馬子(うまこ)を俺に託する純白(しろ)い容姿(すがた)を大事とした儘、無理を通さぬ子玉(しぎょく)の果てにて自己(おのれ)の両腕(かいな)を振るって見せ得た。俺の傍(そば)から表白(しろ)い冠(かむり)が人間(ひと)の禿(かむろ)を自然(あるじ)に隠して、自分の自主(あるじ)に物乞い始める私欲(よく)の尽き得ぬ哀れを感じ入(い)、初めから無い尽きせぬ寿命(いのち)は永人(ひと)の柩(はこ)へと納まり尽(き)らずに無重に配する余地の水面(みなも)へ追悼するまま清閑(しずか)に解(と)けた。青白(しろ)い海馬(かいま)が人間(ひと)の瞼(まなこ)に清閑(しずか)に戯れ無垢の果(さ)きにて美容を欲する無心の栄華は果(さ)き見て哀れを培う「問答無用の懲罰(ばつ)」にも長じ、初端(はな)から自由に「自己(おのれ)」を手向けぬ〝哀れの猛火〟は初夏(なつ)に飛び入り、宮(みやこ)落ちする歯牙(しが)無い寵児は暗黙(やみ)の行方(かなた)にその実(み)を潜める…。無頼の長子(ちょうし)を果て無く追い生く無機に関した無適(むてき)の分業(ノルマ)は、未来(みく)に培う非常の独義(ドグマ)の分業(ノルマ)と見定(さだ)めて「明日(あす)の孤独を和(やわ)げる人輩(やから)」を無己(むこ)の病理へ妨げながらも、早く追い往く一局(ひとつ)の行為に私欲(よく)を撓(しな)らせ自信を見受ける。見受けた果(さ)きから人輩(ひと)の孤独は自然(あるじ)へ付き添い個人(ひと)の世紀が一人(ひとり)の暗黙(やみ)へと体温(ぬくみ)を知るまま孤踏(ことう)を連れ添い、両親(おや)の成る身を安泰させ行く神秘(ふしぎ)の行為の規定(さだめ)を問うのは、未知の岐路にて〝我が身〟を培う独人(ひと)の成る気の相対(あいたい)でもある。漫(まん)の漫ろに浪漫を感じる日常(つね)の気運(はこび)に無想の独魔(ドグマ)を自己(おのれ)に識(し)り生く夢想(ゆめ)の進化を追随しながら、明日(あす)の孤独を一身(そのみ)に煩う事始(こと)の難儀は思難(しなん)を隔てて〝身笠絶頂(みかさとうげ)〟の奈落の基底(そこ)へと自己(おのれ)の両翼(つばさ)を四肢(てあし)と鎮め、昨夜(きのうのともり)をその眼(め)に挙げ行く普遍の暴利を進理(しんり)へ説いた。説われて行く実(み)に自己(おのれ)の〝価値〟には向こうさえ観ず、死人(しかばね)から観た無機の情守(じょうしゅ)が基底(そこ)を破れぬ脆差(よわさ)を保(も)ち添え暗黙(やみ)の信仰(めいろ)へ遍く姿勢(すがた)を紫陽(しよう)の成果(さき)へと噴散させたが、幻想(ゆめ)の文句(もんく)に追従(ついしょう)するうち下目(しため)の文言(ことば)は留(と)まりを失くせる目下(もっか)豊穣(ゆたか)な死相を蹴散らせ、併せ文句の生果(さき)の静寂(しじま)は双子(にし)に纏わぬ人屍(じんし)を負った。活きる最中(さなか)に培い続ける無欲を徹した幻夢(ゆめ)の果(さ)きには、嘲笑(わらい)を併せぬ無我の根白(ねじろ)が痛快(いた)い夜空を繰り広げて居り、軟い正義へ自己(おのれ)を仕留める自然(あるじ)に従順(したが)う現行人(ひと)の人群(むれ)には、無知の未憶(みおく)が躊躇い続ける不快の音頭と幻(ゆめ)の進化を両養(りょうよう)出来得る神秘(ふしぎ)の樞(こだね)をひっそり撒き止(や)み、寿命(いのち)からがら命運(さだめ)に尽(つか)せぬ五月蠅(あわ)い夜宙(よぞら)を他(ひと)へと遣った。弱音の程度に聴こえる足音(おと)から生活(かて)に尽くせる公務が仕上がり、俺の派手には花期(かき)に劣れぬ人間(ひと)の栄華がひっそり仕上がり、未知の孤独に対応して生く臨機の見定(さだ)めにその実(み)を焼いたが、自己(おのれ)の身重を夜宙(そら)へ奏でる端正(きれい)の実元(みもと)は流転(ころ)がり続けて、成果(はて)を識(し)れない正義の初端(はな)から身憶(みおく)に片付く無用を識(し)った。「無用」の果(さ)きから青白(しろ)く煌(かがや)く四肢(てあし)が生(は)い出て幻想(ゆめ)の猛火に飛び込む初夏(なつ)には晩夏の気色がほろほろ浮き発(た)ち、晩夏(なつ)の初めに幻(ゆめ)を咲き付け見慣れた四肢(てあし)は、俺の白紙(こころ)に這い出る四隅(てあし)と何等変らず無頼を発(はっ)し、自体(おのれ)の生気に無根を示せる浮世の生茂(しげみ)に闊達さえ観た。無欲の言霊(こだま)に弱体(からだ)を携え無口に成る儘ふらふら昇れる陽光(ひかり)に向いたが、向いた肢体(からだ)は理解人(ひと)を求めて俗世(ぞくせ)の儚人(ひと)からどんどん巣立つと、淡泊(しろ)い純情(こころ)に乖人(ひと)を寄せ得る無知の日の掌(て)に往生して居た。純白(しろ)い小鳥に一体(からだ)を向かわせ両親(おや)の無いのを哀れに恋(こ)う内、空気(しとね)に跨げる身寒(さむ)い夜宙(よぞら)を通った後(あと)には、無茶を凌げる精神(こころ)の凌駕は肉体(からだ)を憶えて孤高を観て居た…。

      *

 「首に成っても噛み付いてやる…!」

 「未信(みしん)の盲者(もうじゃ)に何が出来るか…!」

 「孤独に流離う一夜(ひとよ)の寿命(いのち)は同じに在るのに透明色した肉体(からだ)は透れず、醒めた憂き世で覚(さ)め冷(ざ)め照らすは人間(ひと)の盲者(もうじゃ)の確信なりき…!」

 「小言の連呼は個人(ひと)の生家(せいけ)が宿る最中(さなか)で、明日(あす)の夜宙(よぞら)は他(ひと))と付き合う懸橋(はし)を創らず無笛(むてき)に木霊す旧い軒夜(のきよ)に普段を身構(かま)えて通り縋りの暴嵐(あらし)を問うた。純白(しろ)い文言(ことば)は古き世に発(た)ち空気(しとね)に基づく明日(あす)の小言を独創(こごと)に従え無想に発して、慌てん坊への『軒端(のきば)の詩(うた)』には『明日(あす)』を報さぬ人家(じんか)が建った…!」

 「無垢の哀れは美相(びそう)の許容(うち)より白身(しろみ)を従え一女(おんな)の子守を一男(おとこ)に宛がう手軽な愛情(こころ)に仕留めて置いたが、女性(おんな)の哀れを全く感じぬ手頃な強靭差(つよさ)は俺に表れ、他(ひと)の強靭味(つよみ)を追掃(ついそう)して行く未踏(みとう)の重荷を放解(ほど)いて置いた…!」

      *

 無垢に仕留める無相(むそう)の空想(おもい)の空転(ころ)げる果(さ)きには純白(しろ)い小人が夜宙(よぞら)を廻れる三度の昼夜が未然に顕れ、俺の生活(かて)へと自然(あるじ)と流行(なが)れる不相(ふそう)の自活(かて)へは伸展せず儘、人間(ひと)の残骸(むくろ)が奇妙を徹した無名(むみょう)の感覚(いしき)と相異を見せつつ、淡白(あわ)い小言(こごと)は寝屋の懐中(なか)へと姿勢(すがた)を失(け)した。未婚の体(てい)した俺の感覚(いしき)は体裁(かたち)を取り添え、現代人(ひと)の夜毎を澄まし顔(がお)して無関(むかん)を呈して流行(なが)れて在ったが、感覚(いしき)の触覚(かど)から女性(おんな)に見紛う柔裸(やわら)が跳び出し、御力(ちから)の限りに自己(おのれ)を養う不装(ふそう)の阿漕に狂奔(はし)って入(い)った。淡白(しろ)い一体(からだ)は俺の身許(もと)から肢体(したい)を練り出し、無機に射止める俗世(このよ)の向きへと狂奔(はし)る間際に自答を添えつつ、斬新(あらた)な一夜(いちや)を気分に任せて身分を介さぬ試行の果(さ)きには、尻切れ蜻蛉(とんぼ)の相(あい)の両眼(まなこ)が他(ひと)を虐げ一灯(あかり)さえ消し、夜半(よわ)の寝言を身元に寄せ得る不快な論破を自然(あるじ)へ棄(な)げた。一(いち)を信じて十(じゅう)を扱う無垢と俺とを取り持つ「論破」は、未装(みそう)に沿(そぐ)わぬ不快の音波にその実(み)が宿され、苦労を芽にした無垢を脚色採(いろど)る不朽の論破を上々挙げつつ、事始(こと)の初歩(いろは)を堂々牛耳る安(やす)む間も無い褪(あ)せを吟じた。

      *

 彼と俺とは良きライバル同士の様(よう)に在り、彼は「オッケー、了解」と言った様(よう)で、そのまま走って何処(どこ)かへ走り去った。恐らく近所の「電話が在る場所」へ行ったんだと俺はそのとき思って居た。

      *

 俺が客観的に我が家を覗いて居た夜十時前、見て居る俺と少し俺から離れて電話の前に座って居た母親との間に一人男が居座っており、その男は、「こんな時間に鑑識所なんて開(あ)いてませんよ、開いてないんじゃないですか?」と念押すように母に言って居たのを覚えて居る。

      *

 胸中(むね)の灰汁(あくた)を運び去り生く無適(むてき)の連呼に罵声を聴き付け、物憂い思算(しさん)が自活(かて)を読むうち未覚(みかく)の文言(ことば)を書き連ねて居た。俺の白紙(こころ)に他(ひと)の躍動(うごき)が刹那に活き生く無言の清閑(しじま)に乗り込む折りには俺の躰が美容に徹する遥か遠方(とおく)の言霊(こだま)に追従(したが)い、初めて呼吸(いき)する小言の生果(せいか)によもや生気を語らい続ける幻想(ゆめ)の概句(おおく)へその実(み)を棄(な)げた。純白(しろ)い木霊が人山(やま)から降(お)り継ぎ一人芝居の遥かな遠路へ幻(ゆめ)を奏(そう)する身欲(みよく)を想わせ、明日(あす)の幻想(ゆめ)から屈(こご)まる勇気は他(ひと)の灰汁(あくた)へ無言を吐き付け、休む間も無く自己(おのれ)を律する独歩の態(てい)へとその身を寄せ得た。純白(しろ)い一情(こころ)を頭上(そら)へ投げ生く気性の晴嵐(あらし)は一女(おんな)の儘からその実(み)を有する〝腐乱仕立て〟の加工を伴い、明日(あす)の〝遠路〟へその実(み)を安(やす)める手軽の所以(ありか)を自然(あるじ)に問い生く幻(ゆめ)の原価をそのまま呑みつつ、一夜(ひとよ)限りで死に行く月花(はな)には人間(ひと)の行為がそのまま小躍(おど)れる…。未完(みじゅく)の幻(ゆめ)から無聊を蹴散らす思春(はる)の私宴(うたげ)は気色を連れ添い、明日(あす)の幻(ゆめ)から魅了を割き生く初春(はる)の木霊を感謝しながら行方知らずの恋の成就は独身(ひとりみ)にこそ咲き、恋慕(こい)の哀れにその実(み)を養う不貞の調子を憐れに想う…。自分に身近な初夏(なつ)の蜃気に楼気(ろうき)を感じて、幻想(ゆめ)の露わは独人(ひと)の露わを上手に見出し、昨夜(きのうのよる)から現行(いま)を越え生く〝者の哀れ〟は恋慕(こい)を潜めて、かたかたかたかた…、大手を振りつつ宙(てん)を仰げる無機の奮起を既視(おおめ)に観て居る。幻(ゆめ)の理性(はどめ)が〝見事〟を蹴散らせ現行(いま)を問うても独人(ひと)の寄宿(やどり)は幸(こう)を得ぬまま未覚(みかく)の杜へとその眼(め)を吟じて、成果(はて)を知らない独利(ひとり)の相(あい)へとその実(み)を侍らせ地団駄踏んだ。

 架空(そら)の幻(ゆめ)から幼女が跳び出し俺の精神(こころ)を揺さ振る間際に純白(しろ)い恋情(なさけ)は宙(ちゅう)を見たまま仰臥に落ち着き、明日(あす)の目的(さかな)を撮んで見るうち未覚(みかく)の吟味(あじ)さえその実(み)を込めない概句(おおく)の精神(こころ)を幻夢(ゆめ)の間(ま)に観た。孤高の轆轤に自分を省み、幻(ゆめ)の形跡(あと)へと私欲(よく)を誘(いざな)う淋しい「哀れ」を期待しながら恋慕(こい)の様子に飢え続けて居た俺の不格好(かたち)は一女(おんな)を蹴忘(けわす)れ、俗世(このよ)に産れた悪(あく)の日種(ひだね)を好(よ)く好(よ)く孟夏へ投げ込ませていた。暑い日の下(もと)俺の透りは思春(はる)を幻見(ゆめみ)て奇妙に覗ける恋慕(こい)の一通(とおり)を女性(おんな)に看取(みと)られ徘徊する内、思秋(ししゅう)に寄り添う無為の感覚(いしき)は自然(しぜん)に見取られ追随して活き、苦悩の要局(かなめ)に身塵(みじん)を起(きた)せる白亜(しろ)い畝(うねり)に賛嘆して居た…。長距離からでの幻想(ゆめ)の空転(まろび)に失踪して生く女性(おんな)の文句(ことば)を無視して居ながら巷の固さを常識(かたち)に付け添う退屈(ひま)な優雅に並べて嘲笑(ほほえ)み、明日(あす)の体裁(かたち)を自身に付け足す無頼(よわ)い気色を補足するのは、独創(こごと)の連呼に飽きを識(し)れない脆(よわ)い自己(おのれ)の低徊でもある。旧い野菊に陽(よう)が照り付け幻(ゆめ)の側転(ころび)に夢中を期すのは文言(ことば)の並びに相談する内、事始(こと)を掌(て)にして身構え始める落下の気色を充分識(し)りつつ、無意(むい)の要局(かなめ)に自業(じごう)を知り貫(ぬ)く文句(ことば)の翻(かえ)りが眩しく観得(みえ)た…。幼女(ようじょ)の残香(かおり)に自体(からだ)を失(け)すうち物見豊かな生憶(きおく)の概略(すじ)には常時(いつ)もの幻(ゆめ)の浮かれた調子が事始(こと)の深化を充分見極め、無理の回顧を強いて生き尽(き)る幻惑(ゆめ)の解雇を仄かに期した。目覚めた折(とき)には無駄を長(ちょう)ずる感覚(いしき)の許容(うち)にて俺の気玉(けだま)は〝連呼〟を逆行(かえ)せる、瞬く間に識(し)る路頭(ろとう)を感じて、併せ両眼(まなこ)で普段を牛耳る黙(もく)の言語を発して居ながら、気狂(きちが)いばかりが需要を欲する一女(おんな)の野暮さえ皆殺しにした。女性(おんな)の「野暮」から卑屈に伺う生気が生え出し揚々元気に自称を身構(かま)える斬新豊かな気性の荒れには、女性(おんな)の能力(ちから)が皆無を評する活きる術(すべ)から身重が削げ活き、過去の過失を果実に添え生く孤高に競歩(ある)ける俗世(ぞくせ)の暗黙(やみ)には、初めから無い拙い生命(いのち)が人間(ひと)の両腕(かいな)に概(おお)きく宿れる幻惑(ゆめ)の教句(きょうく)を宙(そら)から足(た)せた。道楽者から幻(ゆめ)の返りを未知の両手で掬って見せて明日(あす)の常識(かたち)に翻(かえ)りを期せ生く無謀の効果を能力(ちから)に試すが、一人(ひと)の本能(ちから)を真面に観て生く孤高の勇気は起信(きしん)を見付けて、現行(いま)を独歩(ある)ける狂歌の翻(かえ)りに怒涛の孤独を概(おお)きく儲けて、明日(あす)の湯浴みを現行(いま)から試せる微量の遊歩を愉しみ出した。懊悩(なやみ)を落せる不良の阿漕を閉口(くち)にしながら未知の大工を脳裏に灯(とも)らす朗(あか)るい文句(ことば)に瀬相(せそう)を観る内、事始(こと)の審議が一通(とおり)でどよめく高利の理念が情緒(こころ)に尽きた純白(しろ)い卑屈が初めに零した道理を識(し)りつつ無為の文句(ことば)に器用を発する無欲の揺蕩(ゆらぎ)に未憶(みおく)を吃(ども)らせ、愛想尽(あいそづ)かしの仲を見送る夢遊の退屈(ひま)から延命(いのち)を手繰れば、相(あい)する一人(ひと)との永久(とわ)の独白(かたり)に無頼を信じる子供も多く、夜半(よわ)の範囲(かぎり)で慕情が真高(まだか)い異様の言葉(ことは)を熱気に挙げた…。

      *

 …俺は〝自分が万能である事・何よりももしかすると強く負けない事に依る安心感〟を得てから急に忙(せわ)しく心強く活発に動くように成り、「彼女の髪を自由に延ばし、恰好を付けて遣った」様(よう)に好き勝手にそこいら中の環境や現実の在り方をも変えて、好きな時に天馬(てんま)を引き出し、暮れて行く夜空へと彼女を抱いて飛んで居たのだ。でぶっちょに頼んだ鑑識結果の確認を一刻も早く確認する為にか、直接その鑑識所へ行く、と言い出し俺は彼女を抱えて白い天馬に跨ったのだ。彼女は俺の肉を喰う機会を狙って居た様(よう)だ。

      *

 無音(おと)に交響(ひび)ける無用の長寿を宙(てん)へと宿し、俺の片目は身固めしながら脚色(いろ)の付き生く視界を遣ったが、不意の両刃(もろは)を自信へ繋げる不快の論破は急々(きゅうきゅう)競り出し、出来事(こと)の始めに魅了を束ねる不穏の苦楽は自由に捌ける労途(ろうと)を巻いた。俺の心身(からだ)を自在に象る幻(ゆめ)の概句(おおく)は〝論破〟を得ながら未有(みう)の分野(はたけ)に一女(おんな)を改め、認(したた)め直せる事始(こと)の運びに器量を翻(かえ)せる転寝(うたたね)から観て、事始(こと)の呼笛(あいず)を稀有に紛らす夢遊の名義は未刻(とき)を見忘れ、初めから無い杞憂の乱舞に〝未知〟を識(し)るまま無理へと止(や)んだ。身寒(みざむ)い日常(かたち)の人間(ひと)の温度に悪戯など観て居れの狂気は女性(おんな)を知り生く無謀の一刀(かたな)をその身に煩い、明日(あす)の勢(せい)からその実(み)を手招く丑夜(うしよ)の遠吠(こえ)には未惑(みわく)が漂い、一女(おんな)の肉足(あし)へとその身を寄らせる不当の一打と自身を投げ打つ…。孤独の孟夏は事始(こと)の暗黙(やみ)へと密かに隠され、世迷い言から尋ね事(ごと)まで純白(しろ)い背伸びに所帯を幻観(ゆめみ)て、護る柄(え)の無い不当の呼笛(あいず)に昨日の刹那を謳歌しながら、俺の背後(せなか)は〝相(あい)〟を牛耳る暗屋(よる)の体裁(すがた)に未覚(みかく)を据えた。幼児(こども)騙しの不穏の寝息(ねごと)に弓の実(み)を引く盲者(もうじゃ)が現れ、俺の幻夢(ゆめ)には器用に染まれる田舎の景色が女性(おんな)と跳んだが、暗い日(ひ)の粉(こ)に嫌悪(いや)を識(し)るほど悪口(あっこう)して生く物見豊かな既往の果(さ)きには、明日(あす)の孤独が幼児(ようじ)を疑う純情(こころ)の惑いを親身に述べ得る…。―――、不当の日々から罅割れして行く夢想(むそう)の折りには故意に繋がる〝孤独の連呼〟が孤高を忘れてまったりした儘、明日(あす)の我が身の気労(きろう)を識(し)るうち幻惑(ゆめ)の解(ほつ)れが早々絡まり、併せ鏡で俗世(このよ)を観て逝く人間(ひと)の〝相(あい)〟など放(ほう)って置いた。

      *

 でぶっちょに俺が「彼女の爪の垢を調べて貰うように」と頼んだその内容とは全く刑事事件等の知識について俺が素人であった為に口から出た出任せの様(よう)であり、でぶっちょは真に受けたが、俺は内心〝こんなんで良いのかな?〟とか思いながらも事此処に及んで此処まで来たならもう後戻りは決して出来ぬ、と全く如何仕様(どうしよう)も無く覚悟を決めて、自分がした証言の通りに心身(からだ)を動かして居た訳である。

      *

 過去の心身(からだ)を既視(おおめ)に観るうち自分の体裁(かたち)をはっきり掴めず、他(ひと)の姿勢(すがた)に自由を気取れる宙(そら)の未完(みじゅく)を一片(ひとひら)詠めば、「…後(あと)は世に降(ふ)る眺めせしまに…」、夢中で気取れる夜半(よわ)の月(つき)には明日(あす)の独気(オーラ)が意気込み始める。無視に視(め)を遣り無垢の一瞳(ひとみ)に空想(おもい)を睨(ね)めると〝無重〟に拡がる純情(こころ)の過屋(かおく)を未有(みゆう)に気取れる〝者の哀れ〟を自在に感じて、明日(あす)の古屋(ふるや)に根治を幻見(ゆめみ)る波調(はちょう)の解(ほつ)れを無断に償う…。身欲(みよく)欲しさに自身の本能(ちから)を自然(あるじ)へ試せる神秘(ふしぎ)の八頭(おろち)を不断に観る内、自然(あるじ)の行方を孤踏(ことう)に揮舞(ふるま)う幻視(ゆめ)の小躍(おどり)は無想(むそう)に繋がれ、独歩(ある)ける現世(このよ)は無機を葬る一夜(よる)の正直(すなお)に愛想見(あいそうみ)を識(し)る…。俺の孤独に独身(ひとりみ)足るやも緑(ろく)の元価(げんか)は逆行(もどり)を報(しら)さず、幻見(ゆめみ)の正味(あじ)から空想(おもい)を託せる心理の歩幅は何物かに寄り、神秘(ふしぎ)と現(うつつ)を自由に跨げる事始(こと)の多岐へと自己(おのれ)を賭した。体水(みず)の丸味(まるみ)に追想(おもい)を遣るうち孤高の縛(ばく)から自己(おのれ)を顧み明日(あす)の孤独を未層(みそう)に連ねる七つの祠を「自由」に識(し)ったが、天川(かわ)を流行(なが)れる無想の如くに〝天下り〟に観る一人(ひとり)の覚悟は生(せい)に準じて弱気を発さず、一人添寝(ひとりそいね)の淡白(あわ)い邪気から魅力を発する孤踏(ことう)が発され、一人寝(ひとりね)に観る独人(ひと)の孤独へ活き得る信途(しんと)は夜半(よわ)の許容(うち)から脆差(もろさ)を見付けて、〝併せ鏡(あわせかがみ)〟に俗世(このよ)を見るうち私闘に振る音(ね)の激しさなど観る。耄碌して生く高齢(たか)い空気(しとね)の独人(ひと)の思春(はる)から、活きる事への拙い弱気が「明日(あす)」に振舞う私闘を観るうち健気にも咲く魅了の伝播が自己(おのれ)の蹴上(けあ)げに自然(じねん)を問いつつ、自己(おのれ)の無欲に無心を信じる夜半(よわ)の心機をぐだぐだ識(し)る内、幻想(ゆめ)の生憶(きおく)を廻す間際の小躍(おど)りの活気に「自由」を幻見(ゆめみ)て雰囲気(しとね)を発狂(くる)わす幼春(はる)の網羅を浮き彫りにもする。胸中(むね)の行李に場面を込ませて幻想(ゆめ)の一通(とおり)に温度を溜めると、文言(ことば)の防御が白紙に載らされ、暗夜(やみよ)に煌(かがや)く二性(ふたつ)の一通(とおり)は二通(につう)に分れて分岐を辿れる―――〝言の葉(ことのは)三昧・海馬(うみ)の藻屑…〟は女性(おんな)の立場を不在に採らせて幻想(ゆめ)の行方を膨(ふく)らみ続ける両腕(かいな)の能力(ちから)に透らせ得た儘、橙色した夕日の過程(さなか)をすいすい遊泳(およ)げる紋黄(もんき)を付けた。忌問(きもん)を流離う文化の孤独に俺の精神(こころ)を揺さ振る文明(あかり)は夜宙(そら)を観ながら時間を気にせず、女性(おんな)の行方と恐怖の行方を細(こま)かに並べる支度をした儘、透り過ぎ行く漠然(ゆめ)の過程(さなか)を余程の自覚(かくご)で自進(すす)んで入(い)った。未完(みじゅく)の心身(からだ)と経過(けいか)を他(ひと)の両眼(まなこ)を避(さ)けて居ながら、ずんずんずんずん独歩(どくほ)に阿る幻想(ゆめ)の幻幽(めいろ)の頷き方には一男(おとこ)と一女(おんな)の透る身体(からだ)を空気(もぬけ)に併せて眺める程にて、明日(あす)の翻(かえ)りと現行(いま)の還りが如何(どう)する間も無く浮かれた調子に、小言を吐きつつ競歩(あゆ)める俺には概(おお)きく映って空転(ころ)げて在った。純白(しろ)い人煙(けむり)が暗転(あんてん)して行く旧然(むかしながら)の懐古(レトロ)な局面(めん)には、幻(ゆめ)の目下(ほとり)で自由に抗う独創(こごと)の渦中(うねり)に棒が祟って、明日(あす)への信仰(めいろ)が常緑(みどり)へ解(と)け込む孤高に〝見事な杜〟の内(なか)から、一つ積み上げ一つ漏らせる、幸先(さき)を通せる欲深(よくぶか)さえ観た…。漂白(しろ)い挿話(はなし)に問答打ちつつ幻(ゆめ)の自覚(かくご)を想定しながら俺の精神(こころ)は上の空でも、一性(ひとり)を望遠(なが)める幻想(ゆめ)の主観(あるじ)は沈黙して居て、独創(こごと)を眺める俺の未完(みじゅく)は遠い文明(あかり)を自覚(じかく)しながら、孤高に咲き付く暗夜(よる)の不意へと岐路を外され夢中に成った。躍起の自覚(かくご)で前進して生く空気(もぬけ)の調子(リズム)に自己(おのれ)を観ながら俺の独歩(どきほ)は調子(ちょうし)を追い駆け始めて、黄泉の四季(きせつ)に改元して行く補足の末路は未重(みじゅう)の信途(しんと)に累算され逝き、孤高に名高い信途(しんと)の空間(すきま)は一性(ひと)の人間(すきま)へ透って入(い)った…。―――

      *

 ―――…天馬に二人が乗って、もう暮れて夜空となって星が沢山出た頃、俺は又分身したように客観的にそうした自分達(俺、彼女、白い天馬)がもう今では遥か遠くを羽ばたき飛んで行く姿を地上から観て居り、その俺達の天馬の近く・下方を〝可成りの高度を上げて飛ぶ〟と知られる鳥か飛行機が飛ぶのを確認しながら〝俺達の天馬(俺・彼女・白い天馬)〟がよくもまぁと思える程の可成りの高度(上空)を飛んで行く事に気付き再確認し、その夜空から地上へ繋ぐ高度の存在の為に又ぞくぞくして来てわくわくし始め、アメリカの夢物語を語るナレーションの様(よう)に、我等の状態を語り始めて居た。俺と彼女を乗せた白い天馬は、向日市に在る(と飛びながらにされた)鑑識所へ向かって居た。その「可成りの高度」に周りの者達が気付いて「凄いなぁ、あれ凄いなぁ」等と少しでも喝采される事を俺は期待して居た。

      *

 文言(ことば)の連ねが俺の精神(こころ)を無垢にするとき通り縋りの四季(きせつ)の内実(うち)では俺の信途(めいろ)を転々(てんてん)公転(ころ)がし、明日(あす)の生扉(とびら)を望遠(なが)めて居るのを幻(ゆめ)の主観(あるじ)は余程厭(きら)って、苦行の人路(みち)へと両腕(かいな)を突き出す嗣業の渦中(うず)へと邁進させ得た。自由に抗う概(おお)くの述懐(すべ)から一性(ひと)の空想(おもい)は未順(みじゅん)を塞がれ、初めに意図した概(おお)きな自覚(かくご)は魅了の少ない自滅を着飾り、羽二重(はぶたえ)さえ無い幻想(ゆめ)の皮膚へとその実(み)を気取って遊覧して活き、一女(おんな)の背中に〝天馬〟を疾走(はし)らす速い快無(オルガ)を「走馬(そうま)」に観て居た…。

 胸中(むね)を突き出す怒涛の集体(シグマ)は阿漕な俗世(このよ)を連呼し果てる幻惑(ゆめ)の集成(シグマ)に遊説され活き、打診が無いのに打診を灯(とも)らす幻惑(ゆめ)の独義(ドグマ)の成果(なれのはて)には、孤高の集落(アジト)へ「俺」を睡眠(ねむ)らす〝刃恒(はわた)り・一夜(ひとよ)〟の惰性に免じて、孤独と豪華が私闘に阿る厚い競技に献覧(けんらん)して居る…。純白(しろ)い孤独に未謀(みぼう)を培い〝刃恒(はわた)り・一夜(ひとよ)〟の幻惑(ゆめ)の内実(うち)では、未熟の児(こども)が律儀を呑み干す空気(しとね)の初春(はる)からその実(み)を受け継ぎ、明日(あす)への信仰(めいろ)を私順(しじゅん)へ鈍(くも)らす微温(ぬる)い体温(おんど)に総実(そうみ)を観て居た。紺(あお)い地鳴りが宙(そら)に交響(ひび)いて幻夢(ゆめ)の空鳴(なり)には身限(みげん)が発(た)ったが、厚い宙(そら)から転々(ころころ)空転(ころ)がる五月蠅(あわ)い瘴気が順々仕上がり、漆黒(くろ)い陽気のお月様には未動(みどう)が発する私欲が在った。明日(あす)の粗目(ざらめ)に気性が仕上がる俺の身体(からだ)は〝猫〟を欲しがり、純白(しろ)い天馬に泣き付き仕上がる揺蕩(ゆる)い孤独の端(すそ)の方には、堂々幻想(ゆめ)から空転(ころ)がり継がれる無重の生録(きろく)が轟々飛び交い、明日(あす)の初歩(はじめ)の俺への岐路には人間(ひと)の集楽地(アジト)が散乱していた。漂白(しろ)い天馬が自体(おのれ)の躰を澄ませて生くうち幻惑(ゆめ)の文言(ことば)に気取れる臣人(おみと)は俺の還りを揚々待ち受け、涼しむ表情(かお)して行方を晦ます未踏(みとう)を忍べる厚い人種は幻(ゆめ)の文句(ことば)を絶身(からだ)へ培う熱い空気(もぬけ)を行李へ仕舞わせ、自体(おのれ)の未覚(みかく)を文言(ことば)に潤す清閑(しじま)の主観(あるじ)を傍観して居た…。幻(ゆめ)の逆行(もどり)に気配を飾られ独創(こごと)の連呼を頂上(いたり)に識(し)るうち幻想(ゆめ)と生身の概(おお)きな生絆(きずな)は疾走(はし)る速さに有頂を知らされ、揺れる気取りに企図を観るのは、孤高の人落地(アジト)に空想(おもい)を募らす無憶(むおく)の手順にしっくり来ていた。母親(はは)の文言(ことば)が俺の真横で自由に主流(なが)れて児(こども)の表情(かお)へと脚力(ちから)を奏でる無養(むよう)の文句(ことば)に朝陽を観た後、滞りの無い旧い空気(しとね)に経過(とき)の呼笛(あいず)をぽつぽつ突くのは、微塵の躰に母性(はは)を募らす既往の証明(あかり)に充分在った。夢想(ゆめ)の半ばに気後れしたまま人間(ひと)の孤独へ埋没するのは俺の両親(おや)から性(せい)を承け取る一人(ひと)の生茂(せいも)の矛盾の許容(うち)にて、母性(はは)を愛する無用の要局(かなめ)は事始(こと)に介する矢面さえ発(た)ち、旧来(むかしながら)の懐古(レトロ)に培う夢遊の心機に鎹さえ観る白亜(はくあ)の孤独を劣って観(み)せた。白亜(しろ)い生命(いのち)が俺に対する幻夢(ゆめ)の自滅(ほろび)は活性しながら事始(こと)の中途(なかば)でしめしめ知り生く未亡の主観(あるじ)を確かに吟味(あじ)わい、幻夢(ゆめ)の身元(もと)までその実(み)を惑わす自活(かて)の様相(すがた)に視(め)を遣る内には、俺の寡黙は背後(うしろ)を見せない脆(よわ)い陽気を追従(ついしょう)させ活き、年端の行かない女児の内実(うち)にて自己(おのれ)の幻(ゆめ)から生味(しょうみ)を得ていた。純白(しろ)い集落地(アジト)は両親(おや)の行方に温(ぬく)みを干すまま俺の分身(かわり)を宙(ちゅう)へ寄らせる憂いの日(ひ)の掌(て)を充分想わせ、京都の奥にて父母を想わす孤独な好意を通感(つうかん)した後(のち)、明日(あす)の孤独を和らげ始める無数の生憶(きおく)を愉しんでも居る…。無遊(むゆう)の刹那に空間(すきま)を観るうち昨日の孤独は照準(ピント)が外(ず)れ活き、孤高の清閑(しじま)に言霊(ことば)を解(かい)せる退屈(ひま)な経過(ながれ)を日々に観た後、後々(あとあと)世に降(ふ)る虚空の相図(あいず)は無理を凌げる哀れを汲み取り、初めから無い悲劇の空間(すきま)を身体(からだ)を透して低吟して居た。哀れの奈落を白亜(はくあ)に通せる人間(ひとのすきま)は未(いま)でも動じず、脆(よわ)い温体(からだ)に無重を募れる孤独の形成(かたち)を自在に操り、早めに眼(め)にする寿命(いのち)の流行(ながれ)は晴天(そら)を相(あい)する余力(ちから)を見せ付け、母性(はは)の宮(みやこ)へこの身を落せる脆(よわ)い気色に問答打った…。父性(ちち)の身憶(みおく)に木霊を識(し)るうち児(こども)の所以(ありか)は丈(つよ)きに絡まる未重(みじゅう)が発され、酔いを醒ませる深い〝杜〟には祈祷を操る自然(あるじ)が成り立ち、すごすごすごすご…郷里へ還れる友の助けを「矛盾の未憶(みおく)」に争奪して居る…。俗世(このよ)の延縄(あみ)にて俺の心身(からだ)がぷうっと浮くうち小声の珊瑚は飛び切り愉快な装飾(かざり)を目立たせ、流行る審議を若者から観て、概(おお)きく項垂(だ)れ生く起死の姿勢(すがた)を追走して居た。俺の煩悩(なやみ)は儚く散り行く山辺(やまべ)の夜桜(さくら)の宙夜(ちゅうや)に等しく、久しく見得ない男女の一灯(あかり)は下界に揉まれてその実(み)を平らげ、明日(あす)の独創(こごと)を連呼して生く枯渇の憂いは新参なれども、俗世(このよ)の舵から大きく逸れ行く無想の人野(じんや)を放蕩して居た。白亜(しろ)い叫(たけ)びが女性(おんな)に追い付く男性(おとこ)に聞えて男性(おとこ)の誹りは一女(おんな)に対する夢遊の評価に加わるけれども、明日(あす)に活き生く現世(このよ)の儚い男女の空転(まろび)は、無知に冴え果て無言に等しい人形(かたち)だけ得(う)る一生(いのち)と成った。俺の夢想(ゆめ)には女性(おんな)の発狂(くるい)が矢庭に離れず、現世(このよ)の悪魔に追随して生く男・女(だんじょ)の人群(むれ)から彷徨(まよい)が先立ち、白亜(しろ)い体(からだ)は幻夢(ゆめ)の廊下へ一体(からだ)を置きつつ、迷いついでに純情(なさけ)を牛耳る悪の手毬に没頭して行く。無言の晴嵐(あらし)が俗世(このよ)に朗(あか)るい感触(さわり)を脱ぎ捨て暗黙(やみ)へ差し生く無重の一閃(ひのて)は無視に間近い魅了を揺(たゆ)らせ、始めから無い無憶(むおく)の人像(ぞう)から湿らず空気(くうき)は、自体(おのれのからだ)を自由に気取らす活人(ひと)の夜目(よめ)へと閃々(ひらひら)落ちた。無臭の空気がぽんぽん跳び出る無機の淡味(あわみ)を躰に取り添え無機の行李に白紙(こころ)が宿らぬ無痛の弄(あそ)びに童心(こころ)は縛られ、明日(あす)の両腕(かいな)にその名を取り巻く概口(おおぐち)小僧は活発なれども、暗黙(やみ)の清閑(しじま)に自由を幻見(ゆめみ)る男性(おとこ)の生気は創痍で在った。体裁(かたち)だけ観て内実(なかみ)を損ねる一女(おんな)の手下(てくだ)は阿呆成れども、弓の精神(こころ)が貪欲(よく)に勝れる不適(ふてき)の賄賂へその眼(め)は捕われ、後退りをする一女(おんな)の闊歩はどれだけ賄賂を会得し得ても、滞りの無い「黄泉」の主宴(うたげ)に大胆不敵に滋養をするのは、一女(おんな)の満肢(からだ)に絶えず活き就く無想の一歩の哀れであった。明日(あす)の目的地(さかな)を共有するのは無理を介せる理想成れども明日(あす)の八頭(おろち)は俺(おのれ)を見限り、苦悩の支柱(はしら)にその実(み)を対せる無能の一嵐(あらし)の凄絶を識(し)り、昨日の根暗(ねぐら)に放蕩(まよい)を識(し)り貫(ぬ)く無味の一連(ドラマ)は藪から失(き)え果て、強靭(つよ)い清閑(しじま)に自然(あるじ)を熱する一幻(ゆめ)の剛腕(かいな)にその眼(め)を伏せ得た…。強靭(つよ)い清閑(しじま)の明日(あす)の一閃(ひかり)は凡庸なれども意気込み果て生く一昔(むかし)の阿闍梨は無想に燃え尽く野望の審議を概(おお)きく象り、明日(あす)への清閑(しじま)は器用なれども涼風(かぜ)を通せる無欲の逆行(もどり)を遂行する内、微妙に息衝く空気(もぬけ)の殻には密かに片付く夜目(よめ)が生き映え、無想の順序は暗夜(あんや)に名高い利己の奮起を矢庭に暈せる。俺の姿勢(すがた)が男女(ひと)の頭上(うえ)へと放り込まれる無俊(むしゅん)の信途(しんと)を悪へと観るうち古豪の霊には〝森〟を気取れる幽体離脱の化身が暈され、曖昧から成る男女(ひと)の論理は器用に成れども無垢に死に生く無言の進化は小言を吐き生く霊感さえ知り、五覚(ごかく)に培う人間(ひと)の陽理(ようり)の悪魔の姿勢(すがた)は俺の精神(こころ)に何とも間近い無踏(むとう)の哀れを欲して在った…。

      *

 …天馬が飛び行く後には星形(ほしがた)した可成りの煌めく星の光(形容)が鏤められる様(よう)に光り消え行き(「聖闘士星矢」の技を出した後に残る星の光みたいに)、大体誰もが望む、又、感じる事の出来る銀河のロマンチックを見せ得る・感じさせ得るものだった。我が作(さく)ながら上出来だと、俺は思って居た。

      *

 事始(こと)の用句(ようく)を追随するうち俺の幻想(ゆめ)から理性が零れて無言の清閑(しじま)に暴虐して往く無垢の枯渇に這い出る間際に幻(ゆめ)の草履を手中に認(したた)め、即興して行く無頼の億土が地中に跳び交う無意(むい)の本音は新しさを知り、過酷に耐え得る斬新(あらた)な同乗(シンパ)を過去の許容(うち)から天理に観(み)せた。天馬の背後(うしろ)に流れ星から一閃(ひかり)を戴く無頂(むちょう)の振度(しんど)にこの実(み)を牛耳り、明日(あす)の残影(かげ)から「男・女(だんじょ)」を外せる生粋(もと)の独気(オーラ)を私賜(しちょう)に携え、明日(あす)の空間(すきま)を現世(このよ)に間見得(まみえ)る無憶(むおく)の信徒に眺めさせつつ、昨日と今日との間近の一光(あかり)に凡庸(ふつう)から成る一明(あかり)を奪(と)った。白亜(しろ)い一箱(ブース)は宙(そら)を望遠(なが)める無重の一兆(きざし)に文言(ことば)を遮る白紙に費えた無垢の一光(あかり)を信じる内にて、昨日の順序に男子(おとこ)を知らない浪漫の人陰(かげ)さえ終(つい)とも感じず、無言の許容(うち)にて「男・女(だんじょ)」を殺せる幻想(ゆめ)の自滅(ほろび)にその実(み)を立てた。女性(おんな)の自滅(ほろび)に男性(おとこ)も破綻(やぶ)られ、未来(みく)の気色にその掌(て)を添え行く無謀の一嵐(あらし)にその実(み)を囃せど斬新(あらた)の気色は如何(どう)でも咲かない真誠(まこと)の牧歌に胸裏を静めて、安らかに入(い)る無想の範囲(うち)では幻夢(ゆめ)の暴利にその実(み)を留(とど)めて、安きに先(せん)じる無想の空気(くうき)は夜半(よわ)に名高い〝明日(あす)〟へと識(し)った…。窮境(よわ)い空間(あいだ)に空気(しとね)を蹴散らす無謀の主観(あるじ)を横目へ留(と)め置き白紙(こころ)の内では昨夜(ゆうべ)を論じる夢想(ゆめ)の暴理(ぼうり)に思春(ししゅん)を綴じれば、慌て伝夜(づたよ)の斬新(あらた)な結(ゆい)にて事始(こと)の〝果実〟は結実して活き、自己(おのれ)の成果を生果に辿れる無憶(むおく)の生憶(きおく)は詩歌を吟じて、孤独の住処は〝前夜〟を早めぬ未想(みそう)の無頼(たより)を低吟して居る…。曇天から成る将来(さき)を脚色取(いろど)る無想の疾風は俺に表れ〝門番伝(もんばんづた)いの緩い覚悟〟を初夜の範囲(うち)から気楼(きろう)に与(く)み立て、人の淋しき侘しき空間(あいだ)は誰も彼もが遠く遠退く不変の原理を実利へ込ませて、男・女(ひと)の生気が孤独を厭(きら)える確実(たしか)な遊理(ゆうり)を現行(いま)へ取り添え、俺を冷観(なが)めて無視する物等(ものら)は無機に長じて死亡へ入(い)った。〝死亡〟の空間(すきま)は男・女(ひと)の理性(はどめ)に効果を発さず、無機の進化が深化に名高い無情の空気(しとね)に噴酔(ふんすい)しながら鷲掴みにする未刻(みこく)の〝昨夜(ゆうべ)〟に一様(ひとつざま)での気偶(けぐう)を発し、男性(おとこ)の一瞳(め)に観た一女(おんな)を操るmorgue(モーグ)の主観(あるじ)は、小言に謳える独創(こごと)の生果に怒涛を発せる夜人(よびと)を観て居た…。地黒(じぐろ)の一女(おんな)が都会から洩れ浅い知恵から知識を牛耳る〝理性(はどめ)〟の元語(げんご)を大口(くち)に採る時、拙い描画(びょうが)は気先(きせん)の柄(え)に漏れ幻夢(ゆめ)の一灯(あかり)をその身に発(た)てたが、未重(みじゅう)の一夜が途轍の無い程〝稀有〟に巻かれた主観(あるじ)を観た為、堂々巡りの身体(からだ)の火照りは三夜(さんや)限りの一男(おとこ)を訴え、未熟の望(ぼう)から謀(はかり)を気忘(わす)れた幻夢(ゆめ)の自主(あるじ)へ還(もど)って入(い)った。―――、当分一灯(あかり)に体(からだ)が発(た)たない一男(おとこ)の体温(ぬくみ)は夜毎(よごと)に翻(かえ)り、暗夜(よる)の火元に注意をして生く能力(ちから)の火照りは丈夫に成れども、女性(おんな)を求めて生(せい)に生き付(づ)く小言の連呼は某夜(ぼうや)に久しく、〝慌て鏡〟にその身を宿せる無刻(むこく)の信途(しんと)は一女(おんな)を毛厭(けぎら)い、俗世(このよ)に射止める女性(おんな)の心身(からだ)は堂々巡りで愚行(おろか)を通せる悪(あく)の手先と矢庭に識(し)り得た…。―――翌朝(あさ)の寝床に追随するまま経過(とき)の流行(ながれ)にその実(み)を任せて一女(おんな)の身に発(た)つ仄かの残香(かおり)を夜目(よめ)の範囲(うち)にて識(し)った頃には、仮初から成る性(せい)の噴気(ふんき)に「通り」を見知れる脆差(よわさ)が成り立つ旧い死角が仄(ほ)んのり仕上がる―――…。

 未完(みじゅく)の行李(かご)から小さな気枠(おり)など男性(おとこ)の目前(まえ)へと散々表れ、小さな事から大きな事まで、通り咲き生く無言を象り、思い付くまま感覚(いしき)に透せる未有(みゆう)の気色を散在させた。一女(おんな)の体前(まえ)にて断固平伏す男性(おとこ)の私欲(よく)には矛盾が仕上がり、幻夢(ゆめ)の許容(うち)から概(おお)きく蹴上がる無様(むよう)の気色が体面豊かに這い擦(ず)り続けて一男(おとこ)の生憶(きおく)は小鳥が囀る無音の集声(シグマ)に囲いを付け出し、事始(はじめ)の呼笛(あいず)に路頭に彷徨(まよ)える短い八頭(あたま)の小僧を仕立てて、自分の海馬(うみ)から宙(そら)へ羽ばたく夢中の通りを傍観する内、事始(こと)の神秘に金手(かなで)を振るえる夢想(ゆめ)の論理は閃きながらも夢中に成りつつ女体(からだ)を相(あい)せる「小声に囀る勇気」を識(し)った。男性(おとこ)の一夢(ゆめ)には夜宙(よぞら)に羽ばたく天馬が在れども一女(おんな)の未来(さき)には天馬を宿らす「飼い葉の溢れる軒端」さえ無く、一女(おんな)の幻夢(ゆめ)から幻夜(よる)を通れる無味の一灯(ひとあかり)は〝天馬〟へ届かず、天馬の尾先(おさき)は尖端(とがり)を失う非常に屈(こご)まる無性(むしょう)が在れども、暗黙(やみ)の月下(げっか)で煩悶して居た愉快を脚色取(いどろ)る一女(おんな)の眼下(がんか)で自滅(じめつ)を識(し)った…。

〈無限の追憶…〉

 遊離に羽ばたく童子を殺せる酔魔(すいま)の一陰(かげ)には憶(おく)を牛耳る一女(おんな)の照輝(あかり)が自由に努めて無法を報され、一男(おとこ)と一女(おんな)の通り一重(ひとえ)に上咲(うわざ)く愛露(エロス)は、滞りの無い夜半(よわ)の無頼(たより)に悶々進んで後退して居る…。俗世(このよ)の審議に「審議」と名高い「不毛」に纏わる無機の吐露には、奥歯の空間(すきま)に気性を掛け行く根気に乏しい悪魔が微笑み、明日(あす)の一閃(ひかり)に仁義を忘れる無謀の憶(おく)から〝天馬〟を観たのは、暗夜(よる)の通りが幻夢(ゆめ)に和らぐ無刻(むこく)の信理(しんり)に追随して居た。俺の白紙(こころ)は〝稀有〟に巻かれる無憶(むおく)の秩序に地道に仕上がり、派手を余所目に向きを頬張る〝一路(いちろ)の轟音(おと)〟さえ生産して活き、明日(あす)の微温味(ぬるみ)に私様(しよう)を忘れる一夢(ゆめ)の逆行(もどり)は晴天(そら)に在れども、自体(おのれ)を培う機能の面では白亜(しろ)い通過を見送り続ける。不明の信理(しんり)は不毛の道程(みち)から延々外れて、未憶(みおく)の牛舎に天馬(うま)を養う場違う荒気(あらき)を画して居ながら、俺の心身(からだ)を当面自営(やしな)う過去の身重の女性(おんな)の手下(てくだ)は、暗夜(よる)の目下(ふもと)を揚々競歩(ある)ける無造(むぞう)の快無(オルガ)を快感(かいかん)して居る…―――幻夜(ゆめ)の自主(あるじ)が〝小鳥の囀る軒下(した)のオーク〟で、俺の空転(ころ)がる私欲(よく)の模様を、延々清閑(しずか)に冷観(れいかん)して居る。


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~天馬(てんま)は流行(ながれ)に…~(『夢時代』より) 天川裕司 @tenkawayuji

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