第2話 小日向真司1歳
真司は寝返りが打てるようになった。
この頃は、現代と違って使い捨ての紙おむつなどなかった。
真司がウンチをするたびに、布のおむつを洗っては乾かし、洗っては乾かす。
子育て以外の家事は、真司が生まれる前と何ら変わらない。
それに真司のお守りが加算された。
一体何回洗濯をし続けなければならいのだろうか。
文枝は気が遠くなる思いがした。
誠司は真司の夜泣きに悩まされた。
朝は6時に起きて出勤し、夜は遅くまで残業する。
アパートには寝るために帰るような生活だった。
少しでも睡眠時間を確保したいのだが、真司の夜泣きで叩き起こされる。
誠司のイライラは少しずつ溜まっていった。
ある日曜日のことだった。
布団で昼寝をしているはずの真司がいない。
誠司は辺りを見回すと、タンスの角を頼りに真司が立ち上がっていた。
台所からやって来た文枝も真司のその姿を目の当たりにした。
二人は抱き合って喜んだ。
この一瞬で誠司と文枝のイライラは吹き飛ばされた。
親も子に育てられるというが、そんなものなのだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます