日向食堂 小日向真司~人生の旅
昭真
第1話 小日向真司0歳
小日向家に赤ちゃんが誕生した。
体重は3000g、元気な男の子だった。
素直に真っ直ぐ育ってほしいと両親が願いを込めて、その子は真司と名付けられた。
母の文枝に抱かれた真司は、まだ見えないはずの目で父・誠司を見つめていた。
看護師にまだ小さい真司を抱かせてもらった誠司は、涙を流して喜んだ。
誠司は鉄工所で働くどこにでもいるサラリーマン。
文枝は優しいが芯の強い女性だ。
二人は誠司が働く工場で出会って結婚し、床がきしむようなボロアパートで慎ましく暮らしていた。
1960年代、高度成長期の真っ最中だった。
第二次世界大戦の敗戦後、日本は目覚ましい発展を遂げ、日本人の生活は豊かになろうとしていた。
そんな時代にどこにでもあるごく普通の家庭に生まれた真司は、これからどんな人生を歩んでいくのだろうか。
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