第31話 またね

『僕は、私は、吾輩は、猫である。名前は3つある。』


 一人目のお婆さんも、二人目のとんがり帽子も、三人目の子供さんも、みんなとても良くしてくれた。いつの間にか随分と長生きしてしまったし、しっぽだって3つに増えたし。夏は彼らのことをよく思い出す。思い出に残る日が多かったせいかもしれないし、見送った日が揃って夏だったせいかもしれない。ただの猫ができることなんて限られてるけど、こんな時には声に出したくもなる。

 以前ほど身軽ではないが、屋根に登ることぐらいはまだできる。随分と細くなった月に向かって、彼らを想いながら『にゃん』と泣いた。また会えると良いな。

 「あら、とらちゃんも夜更かし?ふふ、あたしもよ。今夜は随分と細い月ね。あのくらい細くなってもいいから、お互いう〜んと長生きしましょうね」

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ねこまたラプソディ @wacpre

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