第26話 深夜二時

『吾輩は猫である。名前は3つある。』


 誰も起きていないこの時間に目が覚めると、昔を思い出して仕方ない。そういう時間帯だと聞いた覚えもある。まだしっぽが1つで話せなかった頃は知らないことがたくさんあって、どれも新鮮で記憶に残っている。2つになって色々とあって話せるようになってからも、毎日が楽しくなっていった。もちろん、しっぽが3つになってからの今の日々も悪くはない。

 「とらちゃんはいつもお気楽で良いよね〜」などと言われることもあるが、吾輩ほど思慮深いねこは他にいないだろう。そう伝えたこともあるが、相手にしてくれなかった。なぜだ?夜中にこんなに考え事にふけるねこなどいるのだろうか。いや、いない。

 そんなことを考えているうちに、時間はだいぶ経ってしまったみたい。昔を思い出す時間帯はどうやらここまで。朝ごはんまでもう一眠り。

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