第24話 朝凪
『吾輩は猫である。名前は3つある。』
まだ誰も起きていない時間帯。冷房の効いた部屋を抜け出し、そのまま家も抜け出してみる。まだ日が昇っていないというのに、思っていた以上に暑い。夏とはいえ、どこかで風ぐらいはあるだろうと、涼しげな風を求めてさまよってみる。が、ひげすらピクリとも動かない。さらなるそよ風を求め、木に登ったり、少し高い丘に向かったり。それでもまったく風のない朝。朝から暑い日だというのに、風を見つけられずに落胆しながら家に戻る。
「あ、とらちゃん、みーつけた。お出かけしてたの?」
ちょうどのタイミングで開かれた扉にヒゲが動く。ほんのわずかな風だけど、それが心地よくて嬉しくて、思わず『にゃん』と返事した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。