第23話 ストロー
『吾輩は猫である。名前は3つある。』
お行儀が悪いと一緒に練習させられそうになった時は、なりふり構わず全力で逃げた。もはや失われて久しいのだが、そこまで野生味を捨てたくはない。それ以来忌み嫌っている、細くて長いやつ。それまではちょうど良いおもちゃになるから気に入っていたのに。
「とらちゃんがまたストローにらんでる。何かイヤな思い出でもあるの?ほらほら〜」
などと、吾輩にトラウマを植えつけた本人が言っている。もう覚えていないのだろうか?実に勝手なことだ。使い終えた細長いのをどれだけ左右に振っても靡くことはない。ユラユラしてフワフワしていたら話は別だが。
「あれれ、しっぽがソワソワしてきているよ?なぁんだ、気になっていただけなのね。ほらほら〜」
……吾輩の意思としっぽは別。とはいえ、じっと見続けていたら、だんだんと良い感じのおもちゃに思えてきた。後は飛びかかるタイミングをはかるだけ。あと少し。
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