第21話 自由研究

『吾輩は猫である。名前は3つある。』


「あ、とらちゃん、みーつけた」

 隠れるのは得意な方なのだが、この子にはすぐに見つかってしまう。逃げようと思ったのだが、この前みたいに3つのしっぽごと引っ張られるのはゴメンだ。しぶしぶとベッドの下から抜け出す。

「夏休みって知ってる?今年も宿題が出てケンキューしなきゃいけないんだよね。何か良い案なーい?」

『去年は何したんじゃ?』

「朝顔のかんさつ日記。あたしはもうお姉さんだから今年はチョーセンしてみたいなって」

 それなら一人で考えた方が良いだろうに、と思ったが口には出さずにいると、とびっきりの笑顔で怖いことを言われた。

「おしゃべりなとらちゃんのかんさつ日記でも良いんだけど?」

 慌てて思いつく限りを伝えてみる。

「うーん、なんだか地味なのばっかり。でも、ケンキューって、そんなもんよね」

 気に入ったものがあったのかなんとかなったようだ。『にゃん』と一鳴きしてからベッドの下に戻る。晩ごはんまでもう一眠り。

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