第20話 摩天楼
『私は猫である。名前は3つある。』
地面が見えないほど高い建物の屋上に立っている。でも、登った覚えはないから、これはきっと夢だ。いつものとんがり帽子だけでなく、マントまで身につけた魔女が横に立っている。
「夢の中とはいえ、わざわざ来てもらって悪いの。今際の時に師匠が使った術を私が使うということは、ついにその時がきたのじゃ。そなたには及ばないかもしれないけれど、これでも長生きしてきた方でな。こうやって隠れるのは、しきたりというか生き様みたいなもの。もうしばらくはその家にいて良いが、そのうちちゃんと新しい家を探すんじゃよ。吾輩の最後のお願い。聞いてくれるな、タイガー?」
また置いていかれると言うことがわかった私は、抗議の声をあげながら爪を立てようとした。夢の中なのに触れることもできず、なぜか『声』だってあげれない。ただ、『にゃん』と泣くしかできなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。