第19話 トマト
『私は猫である。名前は3つある。』
「それ、またお隣さんから貰ってきたぞ。こんな血の色みたいなものがそんなにも美味しいかね?吾輩の口には合わんから、そなたにやる。」
そうやって差し出されたものを口に含む。ちゃんと冷やしてあって、喉越しも心地よいし、ちょうど甘みもあって大変よろしい。とんがり帽子のくせに好き嫌いがあるとは軟弱な。その分、こうやって私に回ってくるのだから文句は言うまい。気がつくとまた帽子をかぶっている。さっきまでなかったから、ひょっとして家の外では外しているのだろうか?暑いのに。
「ん?この帽子か?魔女とバレたら狩られるからの。それは昔も今も同じことよ。気をつけないとそなたが一人になってしまうからの。」
……私知ってる。そう言う言葉はフラグって言うんだ。そう言う気持ちをグッと堪えて隠して、『にゃん』とだけ鳴いた。
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