第16話 窓越しの
『私は猫である。名前は3つある。』
ここにやってきて初めて家から追い出された。どうやら病にかかってしまったようだ。私ではなく彼女の方が。窓越しではお互いの『声』は聞こえないが、長いこと家猫をやってきたから、身振り手振りだけでもなんとなく言わんとしていることはわかる。
庭にやってきた獲物を取ったり、いつの間にか出されていた食事を食べたり。日々の生活には困らないが、物足りない思いがするのは否めない。当たり前に思えていたあの日々は、やっぱり夢のようなものだったのかもしれない。おしゃべりができなかった昔を思い出してしまう。少し寂しくなってしまって、『にゃん』と鳴いた。彼女に伝わるはずもないけれど。
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