第15話 岬

『私は猫である。名前は3つある。』


 部屋に飾られた新しい一枚の絵。どこかで見たことがあるような気がして、じっと見ている。この大きな青色は例の魚がたくさん泳いでいるところのように思える。

「なんだ、ただの風景画が気に入ったのか。よくある灯台、崖、それと海なのじゃが。まさか行ったことがあるとか、海の中の方が気になるとか?……そうか。海を知っているとは、タイガーは物知りなんだな。博識な猫だったとは知らなかったぞ。」

 このとんがり帽子は何を言っているのだろうか。私の方が長生きしているのだから、より多くを知っているのは当たり前だろうに。すぐにそっぽを向いて、2つのしっぽをパタパタさせながら『にゃん』と鳴いた。

「なんじゃ、その態度は。師匠の歳を超えたこの吾輩よりも長生きとでも言うつもりか?あり得ないわけでは無いが、もしそうだとしたら少し悔しいの。こればかりは追い抜けないからの。」

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