第13話 定規

『私は猫である。名前は3つある。』


 目を覚ますと家には誰もいなかった。どうやら出かけてしまったらしい。外は暑くて出かける気にもならないので探検してみる。この家ではあっという間に色んなものが増えるので、飽きることがない。

 棚の上には重そうな壺。その下には何やら細長い棒?のようなもの。棚に登って近づいて、前足で引っ掻いているうちに少しずつ動き出した。、薄っぺらくて長い何かの正体を見てみたくなったので、無心で頑張る。もう少しというところで待ちきれなくなって、その上に乗ってみた。すると、しなって高く飛び上がってしまった。

 体幹を駆使して、見事に着地。私、すごい。そうして無事に飛び降りた床には、砕け散った薄くて長い何か、バラバラになった壺、その他にも色んなものが散らばっていた。

 ……私、ただの猫。何も知らない、話せない。そんな気持ちで『にゃん』とだけ鳴いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る