第10話 散った
『僕は猫である。名前は3つある。』
庭の木に登る。この前は獲物を追いかけるためだったけど、今は大勢の人から逃げるために。急に人が増えて、僕の居場所がなくなったのだ。二回目ともなれば、何が起こったかはいちいち説明されなくてもわかる。……あの人もいなくなってしまったのだ。もう誰も僕のことを寅三郎とは呼んでくれない。
いつもは下から見上げている朝顔を今日は上から見下ろしている。毎朝咲いていて、この時間には萎んでしまうのは知っている。それでも無性に寂しくなってしまって、僕は『にゃん』と泣いた。
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