第6話 呼吸
『僕は猫である。名前は3つある。』
お日様の動きからそろそろ夕ご飯の時間だと思っているのに、匂いはもちろん探す声も聞こえない。縁側の下から抜け出して、部屋の中を歩き回って探してみる。畳の上で横になっているのを見かけたので、ご飯の時間だからと近づいて起こそうとする。しかし、どうやら様子がおかしい。いつものおっとりした穏やかな表情ではなく、しかめ面だし呼吸が激しいし。慌てて周りを見るも、この家にはもうこの人一人だけしかいないことを思い出す。いつも話に聞く友達がどこにいるかもわからないし、この時ほど猫であることを恨んだことはなかった。
言いつけを破り、一人で表通りに飛び出した僕は大きな声で何回も『にゃん』と叫んだ。誰でもいいから助けて!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。