第26話 アリーナのお付に選ばれた人とは……

あ、やっぱりステータスに、ミーニャ王女って……王女をお付きにするとはね……。良く考えれば女性で権力、権限があると言えば王妃、王女、上級貴族の夫人、上級貴族の娘だよな。女性が役職に就く事はないし、あるとすれば軍に入っていて小、中隊長くらいかな……


 

「確か……お前はミーニャだったか?」


 

普段は、名前で呼ばれる事が無いのか、名前を呼ばれてビクッ!と反応して驚いた表情をして、慌てて俯き跪き返事をした。


 

「は、はい……そうでございます」


「お前の忠誠に感謝するぞ」


「有難う御座います……」


「そんなに緊張をする事はないって」


「はい……」


「アリーナと友達感覚で接し、仲良くして貰えると助かる」


「え?この……子がお付きの子なの?貴族の子じゃ?」


 

アリーナも驚いた表情をしてミーニャを見て、俺に質問をしてきた。


 

「だから……権力と権限のある、お付きだって言っただろ?だからミーニャは、ホントのお付じゃなくて。お城に出入りをするバカな貴族や役職のあるお偉いさんから、アリーナを守る為に側に居てもらうだけで、雑用はホントのお付きの方に頼んでな?その子は一緒に居てくれるだけのお友達だからな」


「はぁ~い♪」


「ミーニャも雑用は他の者に任せて自分でするなよ?」


「は、はい。かしこまりました」


「はい。やり直し。普通に話してくれ」


「え?」


「そこは……うん。って答えるんだよ……わたしも直されたし」


 

アリーナが得意げにミーニャに教えて、ミーニャが顔を赤くして俯きながら答えた。


 

「……うん。分かった……」


「よし」


 

次は、女性の護衛か……服装、装備から見て上級の護衛で間違いは無さそうだな。


 

「じゃあ二人でお茶を飲んで、おやつを食べて話をしててくれるか?」


「はぁ~い♪ やったぁ~♪」


「俺は、ちょっと軍の様子を見てくるな~」


「はぁい♪」


 

王女様が一緒なら問題ないだろ。王城の敷地内に軍の施設もあり、そこへ向かっていた。


 

「軍に何のご用なのでしょうか?」


「あぁ~えっと格闘技が得意な兵はいるか?」


「はい。勿論でございます」


「会ってみたいな」


「はい。かしこまりました」


 

部下の人が走って先に施設に向かった。良く走ってくれるなぁ……普段は人を使う立場の人達だろうに。


軍の施設に入るとゴツイ軍人が5人並んでいた。


 

「こいつらは、さっき広場に居た奴と戦ったら、どっちが勝つと思う?」


「間違いなく軍人である、この5人です」


「そうか……では俺に稽古を付けてくれ。というか練習試合を頼む」


「そ、それは……無理です。御身にケガをされては……」


「じゃあ軽く頼むよ。運動不足で体を動かしたいんだよ」


 

いや~便利になってるな、いちいち職業を変更をしなくても全職業が使えるようになっていて剣を持てば剣士だけど魔法も使えるし武道も使える……最強じゃん。


 

「さて……まずは先頭の人、頼むよ」


「は、はい……お願いします」


 

当然、俺から攻撃を仕掛けなければ何もしてこない……


 

「そっちからも攻撃をしてくれないと練習にならないぞ?ホントに強いのか?」


 

少しだけ挑発して殴ってきたのを避けずに思いっきり顔面で受けると周りが凍りついた。


 

「へ、陛下……おケガは?お、お前は、やり過ぎだぞ!陛下に何かあったらどうするつもりだ!貴様の命だけじゃすまんぞ!」


 

お偉いさんが血相を変えて殴った軍人を怒っていた。


 

「そんな攻撃じゃケガもしないぞ?安心して攻撃をしてくれ。まさか攻撃してきたお前がダメージを受けてたりしないよな?」


「だ、大丈夫です」


「今のが全力じゃないよな?ガッカリさせないでくれよ」


 

お偉いさんが心配そうな表情で口を出してくる。


 

「ですが……おケガをされては困ります」


「今ので分かっただろ?ケガもしてないしダメージもないぞ」


 

うるさいな~格闘家を試してみたかったんだけど……ここじゃ無理そうだなぁ……相手が本気を出せないなら意味がないし。じゃあ魔物か盗賊で試してみるしか無いか。


 

「分かったよ、やめとくか」


 

そう言うと皆が安心した表情になった。


ここに居ても邪魔者っぽいしアリーナの居る部屋に帰るか……


 

「訓練の邪魔をして悪かったな」


 

一応、謝罪をして移動をして部屋の前に着くと楽しげなアリーナとミーニャが仲良く話をしている声が聞こえてきた。


 

うぅ~ん……ここに居ても女子トークの邪魔者っぽいな。


 

「他に部屋は無いか?少し休みたいんだけどな……」


「客室になりますが……大丈夫でしょうか?」


「どんな部屋だって問題無いって。気にするなよ」


 

部屋に案内をされると休むことを伝え、起こすなと念を押しておいた。さて、広場に行って力試しでもしてみるか……


ニヤッ!と笑って平民の服装に着替えて3階の窓から逃げ出して王城の城壁を軽く飛び越えて広場に向かった。

 

お。ラッキーまだ挑戦者待ちじゃん。


 

「はい!はい!俺に挑戦をさせてくれよ」


「お前がか?正気か?ケガをしても文句を言うなよ?念の為に同意書を書いてもらうけどな」


「はいはい……これで良いだろ。これ参加費用な」

 

 

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