第25話 ケンカ自慢のイベントが広場で開かれていた。

俺も人混みを掻き分けてアリーナを追って、人混みに混ざってアリーナをやっと見つけると、アリーナが目を輝かせて俺を見てきた。


 

「ユウヤなら、あの人に勝てるんじゃない?」


「は?」


 

あぁ~ケンカ自慢って感じのイベントか……


うわ。デカくてゴツイな……前世の世界じゃ勝てる気はしないけど、ここなら余裕だろうけどさ。アリーナの俺へのイメージがおかしいんじゃないのか?こういうのは魔法禁止だぞ?多分……


 

「なぁ……多分、魔法は禁止だぞ?」


「そうなの?じゃあ……ユウヤじゃダメだね……でも勝てたら金貨10枚だって!」


「で、参加費は?」


「えっと……銀貨40枚だって~」


 

参加費が1万円で賞金が250万円かぁ。まぁ……こういうのに勝ってもホントに支払われるのか?ゲームなら支払われると思うけど。それに、この世界だと……賞金が支払われた後に襲われそうだよな。


 

それに普通のヤツが勝てない様なヤツを雇ってるんだって。一回勝てば参加料を二人で山分けして銀貨20枚で良い仕事だけど……若いうちだけだな。山分けは無いか……司会が10枚でゴツイヤツが30枚か?


 

「ユウヤ参加するの?」


「しないって」


「まぁ……ユウヤは魔法がメインだもんね~っ」


 

ニヤッ!と笑い俺を見つめてきた……。ん?……なに?・・・そんな挑発には乗らないっての。


 

「金貨10枚だよっ!じゃあ、それに……わたしのキスも付けてあげる!」


「嫌だって……俺が殺されたらどうするんだよ?」


「あ、それは困る。それにケガをされても困るなぁ……じゃあ帰ろっ♪」


 

戦っても武道家の職業もマックスだし、多分大丈夫だろ……戦わないけど。


 

「そんなに報酬が欲しいのか?」


「うぅ~ん……別に……」


「ホントか?」


 

アリーナをジト目で見つめた。


 

「ほ、ホントだってばぁ~!ユウヤと一緒に居ればお金は使わないし、かなり貯まってるよ♪」


「そっか~なら良かった」


「うん♪」


 

アリーナが俺の服を掴んで、その後ろにお付きの人の達が付いてきて、その周りを護衛が警戒をしている。

 

この護衛たちの服装と装備は上級の護衛だったよな……俺に付けて良いのか?まぁ……王には近衛が付いてるから大丈夫か。


 

「そうだ。俺の護衛よりコイツをメインに護ってくれ、頼むぞ」


 

アリーナの頭を撫でてお付きの偉そうな人に言った。


 

「それは出来ません!」


「いや。俺のお願いじゃなくて命令だぞ?俺が攻撃を受けても許してやるが、コイツにケガをさせたら許さないぞ?」


 

キツめな顔で、お付きの偉そうな人に言うと俯き了承した。


 

「かしこまりました……」


「え?わたしは大丈夫だって……ユウヤを護衛してよ」


「俺がケガをすると思ってる?」


「そりゃ攻撃されればケガはするでしょ?もぉ~自信過剰すぎだってばぁ〜っ!」


「どう考えてもアリーナの方が拐いやすいだろ?それに実際に拐われてるしな」


「うっ……それは……はい。返す言葉も無いです」


「だろ。じゃあ城に帰ったら女性の護衛を数人用意して交代でアリーナに付けてくれ」


「かしこまりました」


 

お城に着くと門兵のチェックも無しに入れた。


 

「チェックも無しに入れたな?」


「え?あ、それは当然でございます」


「そうなの?まあ……こんなに城の護衛を連れてれば当たり前か」


「だね~♪ なんだか偉くなった気分~」


「そのうちに姫って呼ばれるんじゃないの?」


「あっはっは~まさか~ありえないってっ」


「もっとお淑やかにしてれば姫に見えなくもないぞ?」


「そんな事を大きな声で言ったら捕まっちゃうって!」


 

俺が後ろを振り返ると皆が目を逸らした。


 

「大丈夫そうだったぞ?皆、警戒してて聞いて無さそうだぞ」


 

アリーナも振り返り安心した様で、姫と言われてご機嫌そうになった。


 

「さっそく女性の護衛を一人と、女性のお付きをアリーナに付けてくれお付きは出来れば、ある程度の権限のある人が良いな」


「問題ありません」


「えぇ……っと、そんな人が必要なの?」


 

アリーナが不思議そうな表情で首を傾げていた。


 

「必要だろ?またバカな少し権力のある貴族とか兵士に連れ去られても知らないぞ?」


「うわっ。有り得そうで恐い……」


「そうならないような権力、権限のある人を頼むな」


 

アリーナの為に用意をされた部屋に案内をされると……なんだ?ここってミーシャの部屋じゃないのか?良いのか勝手に使っちゃって?


 

「勝手に使っちゃって良いのか?」


「はい。国王様と王妃様の許可は得てあります」


「そっか。お礼を言っておいてくれ」


「何この部屋……お姫様の部屋みたい~可愛くて豪華だね~使っちゃって良いの?」


「ああ、問題ないみたいだぞ」


「なんで、こんなに高待遇なの?」


「お前を拐ったのが王国軍の兵士だったから、そのお詫びだろ」


「そっか~優しい国王様だね」


 

部屋にお付きの少女と護衛の女性が入ってきた。ん?この少女も普通のお付きじゃないな……どこかの貴族の娘か?いや……貴族の少女がお付きをするか?プライドが高くて怒り出すだろうな。聞いても教えてはくれないだろうな……って事でステータスを見せてもらうか。

 

 

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