第6話 予想外

「な、何...!?」


 俺は目の前の光景を見て驚いていた。確かにあの襲撃者たちは南から、夜の10:30分ごろだと言っていたはずだ。しかし、まだ12:15分だ。しかも、北側から領民たちを巻き込んでいる。そして、さらに驚いたことに、__当たり前かもしれないのだが__領民の一部は襲撃者たちに味方していた。


「まずいぞ...」


 俺の原作時代の心が悲鳴を上げる。なぜかって、原作では、領民たちの勝率が

 1 0 0 % だ か ら だ 。

 それに、領主の死亡率も同じく100%なのだ。つまりは、ラジェールは殺される確率がかなり高いということだ。俺は一刻も早くアンバー家の屋敷に着くように走った。


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「ラジェール様!!賊が屋敷の目の前まで迫っています!!」


 はぁ。私の命もここまでですか...

 私__ラジェール・アンバー__はもっと領のために動けばよかったと思いました。もし、もう一度やり直せるなら、、、そんな希望を持った瞬間、大きく屋敷が揺れました。族が屋敷に侵入してきたのでしょう。領民たちは、賊に味方する人と私に味方する人で約半分に分かれているらしいですが、私に味方する人たちは、圧倒的に押されています。賊のほうが強いのでしょう。私は、賊が侵入してきたら、賊に降伏して領民たちを殺さないようお願いするつもりです。私に味方してくれた人たちに最後くらいは恩を返したいのです。そう思って、目を瞑りました。


 ドアが開けられる音がしました。族が侵入してきたのでしょう。


「ラジェールさん!侵入していた暗殺者たちは気絶させましたよ。」


「え?」


 それは、思っていたような荒っぽい声とは違いました。私の部下ではない、誰か知らない人。でも、私に味方してくれているようです。私は必死になって目を開けました。なぜでしょうか。死ぬ覚悟を決めていたのに、生きる道にしがみつくなんて。


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 タイムリミットまで本当にギリギリだった。ラジェールの護衛たちが気絶していくの中暗殺者数名を気絶させラジェールの部屋までたどり着いたというわけだ。とりあえず、俺は困惑しているラジェールを屋敷から連れ出そうとする。


「ラジェールさん?とりあえずこの屋敷から出ません?危険ですよ?」


「は、はい。そうしましょう、というよりあなたは?」


「俺...僕はランド・レイヤーです。あの、レイヤー家の次男の」


 レイヤー家の次男といえば親父が不要なことを漏らしているせいで悪い印象がある。そのせいで随分と焦らされた。そのお陰か、彼女は少し驚いた表情を見せながら言う。


「そうなんですか。先ほどは、助けていただきありがとうございました」


 彼女はそういうと、外へ続く出口へと向かう。


「屋敷の中の賊は、倒してくれたんですか?」


「は、はい。気絶させただけですが。恐らく3時間は持つと思います」


 しばらく沈黙が続く。敬語の話って、続けにくい気がする。特に子供は。すると、考えを呼んだように彼女が言ってきた。


「あの、...お互いに敬語使うのやめません?同い年ですし」


「あ、ああ。そうさせてもらおう」


「雰囲気変わりましたね!こっちのほうが好きです」


 急に明るくなるラジェール。俺もこっちのほうが良いよ。


「そんなことを言われるとは嬉しくなるな」


 そういえば、ラジェールは鞘に剣を入れている。ラジェールは魔法使いのイメージがあったが、ラジェールが戦うシーンは原作でも見たことが無かったから勝手な決めつけだったのだろう。それにしても、こうやって話していると悪役という感じが全くしない。主人公パーティーにいてもおかしくない性格に感じる。余計に荷が重くなった気がするな...


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 森の奥深く。ランドの兄、ブレイドと黒ずくめの男が話をしていた。話題はランドとラジェールについてらしい。


「おい、グレガー!お前の部下が出来損ないに負けたと聞いたが?」


「大変申し訳ございません、ブレイド様。お詫びに私自ら目標を殺害しますので」


 グレガーと呼ばれた男はナイフをくるくると回す。


「ふん。俺が自ら殺す予定だったが」


 ブレイドは横にあったマネキンを自分の剣で切り裂いた。


「まぁいい、グレガー。貴様が行ってこい。負けるなよ?」


「親父が喜ぶだろうよ」と言い放つブレイド。グレガーはにやりと不敵な笑みを浮かべる。


「すぐに行かせてもらいますよ」


 そういうと、グレガーは屋敷の近くへと足を運んだ。


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どうも、底辺作者の、るのんです。


次回から戦闘が始まります。第一章ももうすぐ終わると思いますので、良ければ♡、★3で応援よろしくお願いします。

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昔ハマっていたゲーム世界の悪役貴族に転生したので、前世からの夢を叶えたいと思います。 るのん @Runo1222

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