第51話 ラム=ソルディアの「スキル:???EX」判明――!
ハークの実家であるランダム生成ダンジョンに発生した、大きな事件を解決した日――時間にすれば昼過ぎ頃、ハーク達が訪れた場所は。
五階層の、以前はクロエが住んでいた部屋……ここも三階層のセーフティールームと同様に、固定されたセーフティールームではあるが。
今は空室のはずの部屋に、異変は確かに起こっていたと、クロエが呟く。
「……うわぁ、これ……なんで、階段が? ここもセーフティールームで、ランダム生成の影響、及ばないはずなのにぃ……てか、五階層より奥があるなんて、このランダム生成ダンジョン
本来あり得ないはずの階段、下向きのそれを見つめつつ、クロエは仲間達に――特に事情に疎いだろうラムに説明する。
「そもそもわたしが、以前までここに住んでて……引っ越してからは〝異次元の魔神〟を置いてたのも、例えれば
「そ、そうなんですか? でも、それって……アタシがご実家にお邪魔して、ハーク師匠のセーフティールームで同居し始めちゃったのが、キッカケですよね? アタシのせいでクロエちゃんが引っ越してきて、それで色々と不具合が起こって、こんなことに……」
「え、いや、それは……わ、わたしだって、
互いにかばい合う姿は、なかなか友達らしくなってきた、が。
ハークは二人の様子を
「……いいや、もしかすると〝逆〟なんじゃないか?」
「「………えっ?」」
弟子と義妹から同時に見つめられ、ハークは堂々と見解を打ち明けた。
「ランダム生成ダンジョン一階層の入り口が固定されてたコトといい、〝異次元の魔神〟に想定外の行動原理が入り込んだコトといい――これらが偶然だとは、ちょっと思えない。ふと〝最悪なコトは何か〟って考えたんだ。それは……《異次元の魔女》とか呼ばれてるクロエが、〝異次元の魔神〟のように別の意思に乗っ取られて、敵になってしまうコトじゃないかって」
「? ……ッ!? は、ハーク師匠、それって――!」
「ああ、ラム。最悪の場合……あのままクロエが五階層で一人暮らしを続けていたら、クロエが〝異次元の魔神〟のようになっていたかもしれない。
ラムのせいじゃなく、逆に――ラムのおかげで助かったのかもしれないぞ?」
その言葉に、ハッ、と顔を上げたラムの頬に赤みが差すと、ハークは続けて補足する。
「もちろん俺の想像に過ぎないし、希望的観測も入ってるかもしれない。でも一年前にダンジョンの入り口が固定されたなら、それは〝何かの意思が地上世界へ侵攻するための準備〟とも思える。あり得ないとは、決して言い切れないさ」
「う、うへぇ……ハーク兄さんの推測どおりなら、わたし、危なかったんだぁ……ラムちゃん、ありがとねぇ……」
「え……い、いえいえクロエちゃん! 実際にそうなのかも、仮にクロエちゃんも魔神さんみたいに乗っ取られたかも、わかりませんし……そもそもハーク師匠の言う通りでも、アタシにしてみれば全部、偶然って気もしますし……」
「いや、それもどうかな――ラム、キミが〝女神の聖剣〟と〝女神のドレスアーマー〟を装備してから、鑑定で判明したコトがあるんだけど」
「ふ、え? あ、あのあの、それって……あっ、まさかっ」
ラムにも心当たりがあるのか、ハークが明かした鑑定結果とは――
――――★鑑定結果★――――
『ラム=ソルディア』の判明ピックアップ鑑定
職業:少女剣士・冒険者(新米)→女神剣士・冒険者(新米)
スキル:???EX→女神の導きEX
(New!)ツッコミA
――――★鑑定終了★――――
「! ……アタシのよく分からなかったスキルって、コレ……〝女神の導き〟っていうんですか? コレって、一体……(……くっ、新スキルが気になって集中できません、何なんですかツッコミって……)」
「詳細は、俺にも分からない。けど分かる範囲でなら……ラムのLUKは、このスキルのおかげで〝+200〟もの補正がかかってる。あるいは、この世界の女神だかが導いてくれたから、世界滅亡を避けられたのかもな」
「そ、そうなんですか? なるほど、アタシの妙なLUKの高さは、そういう……きっとそのスキルが無かったら、本当はもっと低いんですよね?(ツッコミ……ああもう、ほんと何なんですかツッコミ、意味わかんない……)」
「いや、補正分を外して鑑定してみたけど、ラムの素のLUKも255以上で正確な数値は分からなかったよ」
「アタシのLUKなんなんですか、逆に怖いんですけど(あ、こういうことか、ツッコミ……)」
会話も思考も大忙しのラムだが、詳細はいまだ不明とはいえ――少なくとも彼女の持つ謎のスキルは、名前だけとはいえ判明した。
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