第3話 刃の復讐

儀式が終わり、静けさが戻った山下家。しかし、三田村義隆の胸中にはまだ不安が渦巻いていた。彼は刀を見つめながら、呪いが本当に解けたのか、疑念を拭い去ることができなかった。


その翌日、三田村は警察署からの呼び出しを受けた。署に到着すると、刑事の佐藤遼一が彼を迎えた。佐藤は、三田村に最新の事件について話し始めた。


「三田村さん、昨夜、新たな殺人事件が発生しました。被害者は武器商人の田中次郎です。奇妙なことに、彼の家でも天影丸が発見されました。」


三田村は驚愕した。あの刀が再び持ち主を変え、呪いを続けているというのか。彼は急ぎ田中次郎の家に向かった。


田中次郎の家は豪華で、数多くの武器コレクションが並べられていた。しかし、その中で一際異様な存在感を放っていたのが、天影丸だった。三田村は刀を手に取り、その冷たい刃を見つめた。


「この刀は一体何を求めているのか…。」


三田村は再び古い文献を調べ始めた。彼は、刀の真の力とその呪いを解くためのさらなる手がかりを見つける必要があった。文献には、刀が最後に切った人物の魂を鎮めるだけでは不十分であることが記されていた。


「刀の真の力を封じるためには、刀が最初に切った人物の魂を鎮めなければならない…。」


その情報を得た三田村は、天影丸が最初に使われた戦場について調査を始めた。戦国時代、天影丸は多くの戦士の命を奪ってきたが、その中でも最も重要な人物が存在した。


「天影丸が最初に切ったのは、伝説的な武将・佐々木義之(ささき よしゆき)だ。」


三田村は佐々木義之の墓がある場所を突き止め、そこに向かう決意を固めた。


夜、三田村は一人で山中の古い墓地に向かった。闇が深くなる中、彼は佐々木義之の墓にたどり着いた。そこには、苔むした石碑が立っており、その周囲には古い供物が捧げられていた。


三田村は天影丸を墓前に捧げ、再び経文を唱え始めた。風が吹き抜け、周囲の木々がざわめく中、彼の声が響いた。


「佐々木義之の魂よ、この刀があなたを苦しめ続けることを終わらせます。どうか、安らかに眠ってください。」


その瞬間、刀が再び光を放ち、激しく揺れ始めた。三田村は必死に刀を押さえつけ、経文を唱え続けた。しかし、刀の力はますます強まり、彼の体を引き裂くかのようだった。


「このままでは…。」


三田村は自分の命が危険にさらされていることを感じた。しかし、彼は決して諦めなかった。全ての力を振り絞り、最後の一言を唱えた。


「天影丸、呪いを解け!」


その瞬間、刀が激しく光を放ち、そして静かに消え去った。三田村は息を切らしながら、刀を見つめた。刀は静かに輝きを失い、まるで普通の刃物に戻ったかのようだった。


彼は立ち上がり、刀を鞘に収めた。呪いは解けたのか?それとも、まだ何かが残っているのか?


**次回予告:** 三田村は刀の呪いが解けたと信じ、安堵の中で日常に戻る。しかし、新たな事件が彼を待ち受ける。天影丸の真の力とは何なのか?そして、三田村に襲いかかる新たな恐怖とは?次回、「影の再来」、お楽しみに。

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