第30話:星に帰った魔法使い。
ルフィアがこの星に来ていなかったら・・・ 陸はすでにこの世に存在して
いなかったかもしれない。
陸にとってルフィアは命の恩人、運命の人だった。
陸が完治してからメガネはまた頻繁に陸の家に遊びに来るようになった。
ルフィアも陸のところに来なかったら、他の星へ伴侶を探しに行くことになって
いただろう。
ルフィアがもし、いい伴侶が見つからなかったら、もしルフィアの星の女性たちが
誰も結婚しなかったらそれは種族の絶滅を意味するわけで、銀河を超えてでも伴侶を探さなくちゃいけない。
その点、ルフィアは運が良かったのかもしれない。
子供の頃から運命は決まっていたんだから・・・。
そうじゃないと当てのない旅を永遠につづけることになっていたかもしれないん
だから・・・。
いくら魔法使いだからって、自分の旦那さんは出せませんからね。
さて・・・メガネが陸の家にやって来た時、ちょうど陸が庭で車を洗車していた。
生まれた赤ちゃんヤギ、アリエラも元気で野っ原を駆け回っていた。
メガネは自転車で陸の家に来るのが面倒なので、バイクに乗ってやってきた。
「おお、メガネ・・・」
「陸、もうすっかり元気だな・・・ 」
「ああ、ルフィアがいなかったら、ヤバかったけどな」
「ルフィアは?」
「帰ったよ・・・自分の星に・・・」
「そうか・・・帰ったのか・・・」
「え?、うそ!!」
「まじで?」
「なんで?、どうして?・・・」
「帰ったって?・・・」
「なんで帰したんだよ?」
「ってか、ルフィアが帰ったって言うのに、なんでおまえそんな呑気に車なんか
洗ってるんだよ?」
「待てよ・・・もしかしておまえら、もう夫婦喧嘩か?」
「あのな、まだ結婚もしてないのに、そんなことあるわけないだろ」
「じゃあ喧嘩以外何があるってんだよ」
何も知らずに、あたふたしてるメガネを見て陸はおかしかった。
「あのな・・ルフィアは、もろもろの中間報告に一時、里帰りしただけだよ」
「お母さんに、私たちうまくいってるよって報告に帰ったんだ」
「中間?・・・報告???」
「・・・なんだよ、一時帰郷かよ・・・戻ってくるのか・・・あ〜びっくりした」
「なんで、お前が驚くんだよ、関係ないくせに・・・」
「関係なくはないだろ、いろんな危機をかいくぐってきたぜ、俺たち」
「まあな、病気になった時は心配かけたな・・・感謝してるよ」
「まあ、俺は見てただけだけどな・・・ルフィアが全部頑張ったことだし・・・」
「そうだな、ルフィアがいなかったら俺はここにいなかったからな」
「さあて、ルフィアが帰ってきたら、本格的になるな・・」
「え?、なにが本格的になるって?」
つづく。
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