第29話:地球のマナ(愛)。
ルフィアの力がどれほどのものだったかは誰にも分からないが、その後の精密検査で
陸の体からガンは綺麗になくなっていて少なくとも医者を驚かせたことには違いなかった。
再度の精密検査の結果、やはりどこにも異常なしと出た。
こんな馬鹿な、あるいは奇跡のような出来事があるものかと医者の頭を大いに
悩ませた。
ルフィアの魔法は陸を救ったのだ。
数日後、陸は何事もなかったように退院した。
もちろん真由美さんとメガネ、それに、すでに元気になったルフィアが迎えに来た。
魔法を使ったルフィアは地球の※マナを少しだけ分けてもらって自分の体力を
回復していた。
自分を迎えに来たルフィアに陸が言った。
「ルフィア、ありがとう」
「病気になる前より、今のほうが元気かも・・・君のおかげだよ」
同じ、ありがとうでも陸にとっては感謝の心が篭ったありがとうだった。
「元気になってよかった・・・」
「もし私の力でも治すことができなかったらどうしようかって、不安でしかた
なかったけど・・・本当によかった」
ルフィアは真由美さんからも改めてお礼を言われ た。
メガネからも・・・メガネから、なんでお礼を言われるのかルフィアには
分からなかったけど、それでも嬉しか った。
メガネの場合は、たぶん親友を救ってくれたことへ のお礼だろう。
「俺、ルフィアの放つ光をいっぱい浴びたから、 どこか悪いとこ治ってるかも」
「あ〜性格と水虫は治ってるかもな・・・」
「おまえはデリカシーのなさと腐った根性は治ってないな・・・」
メガネは皮肉たっぷりに陸に返した。
その夜は、みんなで陸の退院祝いをした。
メガネは食い過ぎとオレンジジュースの飲み過ぎで腹がタプタプ状態でゲブゲブ
言いながらソファにダウンして、ぐ〜すか 寝てしまった。
真由美さんは陸とルフィアに気を利かせてくれてキッチンに引っ込んでいった。
陸とルフィアは陸の部屋に上がっていった。
「それにしてもこんなことってあるんだな・・・奇跡だよ・・・」
「ほんとによかった・・・私、陸の役に立てて」
「魔法がほんとに使えてよかった・・・」
「君のおかげだね」
陸とルフィアは、この間のように窓ごしに満天の星空を見あげた。
このあたりは特に空気が澄んでいて星がよく見えた。
ずっと見ていると吸い込まれそうな星空。
ルフィアは空を見上げて、改めてこの地球に感謝した。
(地球さん、あなたのおかげで陸を救うことができたよ・・・マナ「愛」を
ありがとう)
つづく。
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