第28話:全身全霊。

ルフィアは地球の生命エネルギー「マナ」を借りて 陸を癒した。

ルフィアは赤ちゃんヤギを救っていたので治癒系の魔法は、はじめてじゃなかった。


あの時の経験が今に活かされていた。


ルフィアの手や体からオーラがあふれ出た。


部屋中が癒しのオーラでいっぱいに満たされて、小さな粒子がキラキラ光っていた。


「わ〜綺麗だ・・・」


メガネはイルミネーションの世界にでもいるように部屋の中を見渡した。

その光はまぶしいくらい輝いた。

おそらくその時間、外に出ていた人はメガネが見たものと同じ空に漂う光の粒子、

地球のマナを見ただろう。


それは外で待っている真弓さんにも見えていた。


ルフィアはここまで強力な魔法を使ったのは初めてだった。

今まで、そんなピンチに見舞われたことなどなかったからだ。

陸を救う自信はなかった。

でも何もしなければ陸は助からないかもしれない。

彼女は自分の命と引き換えに陸を助ける覚悟だ った。


ルフィアの治療は夜明けまで続いた。


だがいつまでも病室にいるわけにはいかない・・・。


早く陸の病気を治してあげないと・・・そう思ってるうちにルフィアも力尽き

て倒れてしまった。


どのくらいの時間が経っただろう。

病室の入り口でメガネも疲れて寝むっていた。


朝が白んできて、やがて窓に差し込む日差しで陸は目覚めた。


そしてふと自分の横になにかの気配を感じて体を少しだけ起こして見た。

ベッドのすぐ下の床に誰かがいることに気づいた。

さらに体を起こしてよく確かめた。

するとそこにルフィアが横たわっていた。


「ルフィア・・・・」

「ルフィア・・・こんなところで何してる?」


その声でメガネが目を覚ました。


「あ〜知らない間に寝てた」


「お前ら、ここで何してるんだ」


「お前を助けるためにルフィアが一晩中、魔法で治療してたんだよ」

「気分どうだ?」


「ああ、気持ちいいくらい快適・・・元気だよ」


「ルフイアは・・・僕のために一晩中がんばってくれてたのか」


「病室中すごかったんだぜ・・・光の粒子がキラキラ輝いて・・・」

「まるで、空から星が降ってきたみたいでさ、クリスマスのイルミネーション

みたいだったよ」


メガネは床に横たわってるルフィアに声をかけた。


「ルフィア大丈夫?」

「生きてるんだよな・・・まさか死んじゃったりしてないよな」


でも、ルフィアは死んだようにピクリとも動かなか った。


メガネはルフィアの顔に自分の顔を近づけた。

温もりはあったし、かすかに呼吸もしていた。


「うん暖かいし・・・息もしてる」


「よかった、生きてるよ・・・ルフィア生きてる」


つづく。


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