第26話:骨髄性白血病。
例の崩落事故以来、パンの出産以来、目立ったアクシデントはなかった。
メガネも生まれたばかりの子ヤギを見に来た。
そして、このままなにごともなく陸とルフィアは仲良く愛を育んでいくはずだった。
と言うのも崩落事故から陸を救ったルフィアだったが・・・それでもまだ陸に
対して嫌な予感は消えずにいた。
(なにか、まだある・・・でも今は分からない)
だけど日ごとに胸騒ぎが大きくなっていった。
でもそれはルフィアの思い過ごしだったのかもしれなかった。
それからも陸には何もおきなかった。
休みの日はルフィアを連れて街へ買い物にいったり、メガネを誘って釣りに行ったり
そして、いつものようにルフィアが夕方、陸を迎えに行こうとしていた時だった。
真由美さんのスマホの着信が鳴った。
電話に出た真由美さんの様子で、ただごとではないとルフィアは思った。
電話を切った真由美さんが血相を変えてルフィアに言った。
「陸が・・・陸が学校で倒れたって・・・ 今、東高円寺君から 連絡が入って
救急車で病院へ運ばれたって・・・」
ルフィアの胸騒ぎはこれだったのだ。
「私、今から病院へ行くから、ルフィアも 一緒に来て」
今回は陸が学校に出かけていてルフィアがそばにいなかったため、陸の危機を
いち早く予測できなかった。
いや予測できたとしても救えなかったかもしれない事態だった。
ルフィアと真由美さんはジムニーに乗って急いで山をくだっていった。
病院につくと、学校の担任とメガネと、あと女の子がふたりが待合室の
椅子に座っていた。
真由美さんを見た担任は軽く会釈をした。
「あ、おばさん・・・・ルフィア も・・・」
「東高円寺君」
「おばさん・・」
女の子ふたりが同時にしゃべった。
「朋ちゃんと美っちゃんも、来てくれたの?、ありがとうね」
「陸が倒れたって?・・・原因は?」
「今、検査に入ってます・・」 担任の先生がそう言った。
ルフィアは気が気でなかった・・・。
何か取り返しのつかないことが起きてる・・・そう感じた。
陸が倒れたって?・・・もし重い病気だったら・・・。
こういう時は悪いことだけ考えてしまう。
ルフィアは陸の無事を確かめて早く安心したかった。
結局、陸の病名は「急性骨髄性白血病」
白血病とは骨髄中にある、血球をつくる造 血幹細胞が悪性腫瘍(ガン)化し、
正常な血液を作ることができなくなる病気。
急性骨髄性白血病の寛解率は60-80%。
化学療法のみでの5年生存率は約40%。
化学療法では完治する可能性は少ない。
つづく。
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