第23話:的中したルフィアの予感。

家に帰って来た陸を見た真由美さんが


「あれ、陸・・・学校は?」

「どうしたの体の具合でも悪いの?」


「ルフィアが・・・嫌な予感がするんだって」

「俺の身に何か起きるかもって・・・」


陸はまだ半信半疑だった。


「ルフィア、陸に何か起きるってそれ本当なの?」


陸が帰ってきたので真由美さんは何かあったのかと驚いた。


「なにが起きるかまでは私にも分かりません」

「でも、この予感は確実に当たります」


ノストラダムスの予言は当たらなかった「古い」けどルフィアの予感は

無視できないのだ。


「だから今日も俺は自宅警備員だな」


「そう、ルフィアが言うなら用心に越したことはないわね・・・」

「ルフィア、それって今日なの?、今日何かが起きるの」


「そう思います・・・」


「もう起きてるかもしれません・・・」


「起きてるって・・・」

「俺、何もなってないよ、元気だよ、ほら」


陸は自分が無事だってことを両手を広げてアピールした。


陸になにもない以上、ルフィアの予感は外れたってことになる。

この事態を、どう対処すべきか陸も真由美さんもとまどっていた。


ちょうど、その時メガネから真由美さんのスマホに電話がかかってきた。


「おばさん、陸は?」

「陸は無事ですか?」

「陸に連絡がつかないから・・・」


メガネの連絡が陸につながらなかったのは、たまたま今日に限って 陸がスマホを

自分の部屋に置き忘れていたからだった。


「陸ならここにいるけど・・・」

「東高円寺くん・・・どうしたの慌てて」


「え?、知らないんですか?」

「テレビ・・・テレビつけてください」


メガネの言うままにテレビをつけるとニュース番組の中で


「今朝の8時15分頃、新宮山の麓で崩落事故が起きました」 とキャスターが

がなり散らしていた。


台風による豪雨のせいで地盤が緩んで地崩れが起きたらしい。

その現場がテレビに映った時、陸とルフィアは顔を見合わせた。

見覚えがある場所。


そこは、毎日陸が通っている山道だったからだ。

たまたま畑の様子を見に行くために近くを軽四で通りかかった お百姓さんが

スマホで動画を撮ったと言うことで、その映像が流れていた。


映像は乱れていたが、たしかに陸が毎日通ってる場所に違いなかった。

道路は寸断されて大きく陥没していた。

崩れた時刻が8時15分ごろと言えば、陸がちょうど通る時間帯。


もしその時間に陸が通っていたら・・・ 崩落事故に巻き込まれていた・・・

その確率はかなり高かった。


もし、あの時ルフィアが陸を止めていなかったら・・・万が一にも事故を

免れていたとしてもゾッとする話だった。


どちらにしてもルフィアは陸の命を救ったことになる。


ルフィアは陸の身に何もなかったことに胸を撫で下ろした。

それは真由美さんも同じ気持ちだった。


この崩落事故以来、陸はルフィアに全面的信頼を置くようになった。

ルフィアの言うことはなんでも聞いたし、信じた。


この子がついていて命を落とすなら、それは避けられない運命なのかもって

陸は思った。


つづく。


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