第19話:陸の反応。
夕方、下校時間に間に合うようにルフィアは家を出た。
もちろん陸を迎えにいくために・・・。
裏門から次から次へと授業を終えた生徒が出てくる中、ルフィアは陸とメガネを
見つけた。
手櫛で髪を整えてドキドキしながら、ふたりを待っていた。
門柱の上に街灯が立っているので、その場所だけ浮いたように明るかったから
陸とメガネは待ってるルフィアがすぐ分かった。
先に彼女を見つけたのはメガネだった。
メガネはルフィアに手を振りながら言った。
「え、もしかしてルフィア・・・髪、切った?・・・」
それを聞いて陸もルフィアを見た・・・
「え、もしかしてルフィア・・・髪、切った?」
「まんまじゃねえか、違うこと言えよ・・・綺麗とかさ、可愛いとか・・・」
「見違えた・・・ルフィア」
「陸、お帰り・・・・あ、メガネさんもね」
「俺なんか眼中にないみたいだ・・・」
「そんなことないですよ、メ〜ガ〜ネ〜さん」
「ルフィア・・・びっくりした・・・とってもよく似合ってるよ、その髪型・・・
可愛 い」
陸はまるっきり正直に思ったことを口にした。
「そうだよ、その言葉が欲しいんだよ」
「おまえは余計なこと言わなくていいから・・・」
「ほんと、いい、めちゃいい」
「よかった、陸が気に入ってくれて」
「え〜って言われたらどうしようかと思って・・・」
「いやいや、最高だよ」
「それって俺のアドバイスだぜ」
「もちろん、メガネさんにお礼しなくちゃね」
「じゃ〜ここにチューして」
メガネは自分のほほを、ゆび指した。
「おい、待てよ・・・俺だってまだだぞ・・・おまえな〜」
「なんだよ、口にしてって言ってんじゃないだろ」
「これでも遠慮してるんだぞ、人の彼女だからさ」
「言うな!!やめろよ、そんなことしたら・・・ぜっこう・・・」
「うそ・・・陸・やきもち焼いてるの?」
ルフィアが焦ってる陸を見て言った。
「なわけ、ないだろう、余裕だよ」
余裕でもない陸を見て、ルフィアとメガネは笑った。
「おまえら、笑うな・・・もう、帰るぞ」
陸はメガネの腕を掴んで自分に引き寄せて言った。
「メガネ・・・おまえの入れ知恵だったんだな」
「髪切って正解だったろ?」
「・・・まあな・・・」
陸はルフィアのショートが大いに気に入ったようだった。
あこがれの栞ちゃんと同じ髪型のルフィアに・・・。
いやいや栞ちゃん以上だと陸は内心思った。
イメチェンしたルフィアに気持ちが確実に傾いてた陸だった。
案外、人なんてビジュアルに弱いもんだ。
って言うか・・・本当は陸は最初っからルフィアに一目惚れしていたんだ。
その気持ちをどう伝えたらいいか分からなくて、それを悟られたくなくて、
平静を装ってるだけなのだ。
「好きだ」
って言うきっかけを見つけられずにいるだけだった。
「陸、あのね・・・今日、ずっと学校にいた?」
「うん・・・いたけど・・・なんで?」
「うう〜ん・・・いいの、聞いてみただけ」
「へんなルフィア」
「さ、帰ろ」
「メガネ・・・じゃ〜な、バイ」
「おう・・・また明日・・・ルフィアまたね」
「はい、メガネさんありがとう・・・またね」
「今夜、頑張ってね、ルフィア」
「おまえは、なに言ってんだよ」
メガネは舌をペロッと出して、さっさとふたりを残して帰って行った。
つづく。
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