第18話:陸の昔の彼女。
家に帰ると、ルフィアの新しい髪型は真由美さんに大好評だった。
それは嬉しかった。
でも、それよりルフィアの頭の中は、駅で見た陸と陸のそばにいた女の子のことで
いっぱいだった。
駅で見たことは誰にも言わずに黙っておこうと思った。
でも、黙っていたら妄想ばかりが膨らんでを余計苦しくなるだけだった。
それでどうしても黙っていられなくてそのことを真由美さんに話した。
「え?、陸が駅にいたって?」
「その時間なら陸は学校でしょ・・・駅にいるはずないじゃない?」
「しかも女の子と一緒って・・・ありえないよ」
「それで、その女の子、ルフィアに向かってお辞儀したって・・・」
「それが、その女の子、陸の写真立ての女の子と同じ人だったと思います」
「え?そうなの?」
真由美さんは何かを思い出したように言いはじめた。
「陸とそ女の子、駅にいたのよね」
「もしかしたら、その子、陸が昔お付き合いしてた「
「あなたの見た駅での出来事は、本当ならありえない話なんだけどね・・・」
「陸って彼女いたんですか?」
「高一の時ね・・・中学生からの同級生の子」
「陸の口から、このことを言うのはきっと辛いと思うから、私が言うね」
「その
「で、その子の描いた絵が大賞を取ったとかで表彰しますから来てくださいって、
コンクールの主催者側からご招待されてね」
「それで、あなたが陸を見たっていう駅から電車に乗ったの」
「でも、その子の乗った電車が踏切事故で脱線してね、大事故には至らなかった
ったんだけど、その時の事故が原因で、
「
「でも、あなたが見た陸のそばにいた子・・・間違いなく
「あなたに向かって、お辞儀をしたんでしょ」
「それはね、きっとあなたに陸のことよろしくねって言いたかったんじゃないかな」
「それなら、その不思議な話の説明がつくでしょ」
「そんなこと、あるんでしょうか?」
「なくなった女の子が、私に会いに来るなんてこと」
「彼女もきっと陸のことが心配だったのよ」
「きっとルフィアになら陸を任せられるって思ったんだと思うわ」
さすがに童話作家・・・想像力が豊かだ。
でも真由美さんの言った通り、それは幻なんかじゃなく真実だったのかもしれない。
「陸には話さない方がいいと思うよ・・・」
「あの子も思い出したくないだろうからね」
「でも、未だにその子との写真を大事に持ってるんだから忘れられないのかもね」
「これはあなただけの胸の中にしまっておいて・・・もう終わったことだから」
考えてみたら、陸に会うまでの間、陸の過去のこと何も知らないんだって
ルフィアは思った。
そしてルフィアは駅で見たことは決して陸には話さずにおこうと思った。
つづく。
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