第15話:学校でのうわさ。

陸は空を飛ぶ以外、ルフィアの魔法を初めてみた。

朝、目覚めて昨夜の出来事考えると、まるで夢でも見てるようだった。


それからルフィアは毎日夕方陸を迎えに行くのが日課になった。


雨の日は朝も陸を学校に送って行った。

ルフィアが地球へ来た時に使った卵型のカプセル「ペンダント」に陸とふたりで

乗り込んで雨に濡れることもなく学校へ行った。


これにも陸は目を丸くした。


そしてルフィアの毎日の陸へのお迎えは学校中のウワサになった。


まあ、年頃の女の子が学校の校門のところに立ってたら、変なウワサが

立っても不思議じゃなかった。


ウワサは学校中に広まって職員室にまで知れることになった。


陸は先生から呼ばれて事情を聞かれたが、 本当のことを言っても、信んじて

もらえないと分かっていたので・・・


あの子は自分のイトコで、ずっと海外に留学してたんだけど、最近日本に帰って

きたばかりで、今は自分の家に居候してて学校にも時々見学に来てるんだと

言って誤魔化した。


それが信じてもらえたかどうかは分からないが、先生は陸の家に電話をした

みたいだが、そこは真由美さん抜かりなく返答してくれたみたいだった。


まあ親戚ならよかろうと言うことで、ルフィアのお迎えはスルーされた。

ゆるい学校で幸いだった。


学校であらぬウワサを立てられたのは陸も閉口したが、ルフィアにもう迎えは

いいからってことは言えなかった。

ルフィアが悲しむことが分かっていたからだ。


自分が傷つくのはいいがルフィアを傷つけるようなことはしたくなかった。


生徒の中には心ないウワサをする人もいたが、人の噂も75日とはよく言ったもので

そのうち、そう言う人たちさえ徐々に興味を示さなくなった。


結局、陸は学校で、ウワサがあったことをルフィアには話さなかった。


そんなことも知らないルフィアは朝食を食べながら、今日も夕方陸を迎えに

行くことを楽しみにしていた。


で、ひとつ気になることと言えば、メガネが言ってたこと。


「その、おさげ切ったほうがいいと思うよ」

「いいこと教えてあげるよ、陸はショートが好きなんだ」


(陸はショートが好き・・・)


でもルフィアは少しためらっていた。


いつも母親から、綺麗な髪ねって言われて、おさげにしてもらっていた。


(この髪を切っちゃうの?・・・)


ショートカットってワードは自分の中にはなかっただけに・・・。

しかも今まで一度もルフィアはショートにしたことがなかった。


髪を切ってしまうことは自分ではどうしても決めかねた。


そこで真由美さんに聞いてみることにした。


「メガネさんが髪を切った方が、よくなるって言うんですけど・・・」

「切ろうかどうか迷ってるんです」


「・・・そうね・・・綺麗な髪だもんね」

「切っちゃうの、もったいないかもね〜・・・でも」


「でも、東高円寺君の言ってることも分かるな・・・」


つづく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る