第2話少女は夢を見る
舞台は変わって変わって、日国日郡。
日国を影から守る結族が守る土地では、日、国全土で、生まれた時、すぐに親から国に引き取られる子供たちがいる。
尽力と呼ばれるその力を持つものはその声でそれぞれの持つ力を発揮する。
皆、生まれ落ちたときの泣き声で、その場から姿を消したり、獣たちと話すことができたり、また触らずともものを動かせるなど、常人とは違うことが判明し、すぐ様国、そして国からこの日郡結族の土地の長の下、長の指名した家族に引き取られ、育てられながら自らの力をコントロールできるようになり、そして力を生かして、日国全土の影の守り手として国の指示にて職に就く。
これは能を持つものを偏見から守り、普通の仕事にはつきにくい彼らに仕事を確保することで、彼らの生活を守り、また国は国で貴重な兵力の確保として、この国では何千年と続いてきた。他国には決して漏れないよう、存在も所在地も尽力についても、国家機密。
実の家族には別れたら、最後、一生会えない。
そんな場所で少女が1人、いつも居所なくいた。なぜなら、彼女は生まれ落ちた初声を最後に尽力が、発揮されず。
能力者ばかりの集落で、1人一体何の力を持っているのか、どうしたらそれが発揮されるのか、条件も内容もわからぬまま、だからこそ、人の輪にあまり加わることなく、いつも畑仕事をし、家仕事をし雑用し、時々力が出ないことに関して後ろ指を刺されたりしながら。
同じように尽力があるのに使えぬと言う立場の女性のもとに養子に入った。力が発揮できたなら、その力似た力を持つ人と縁組をするのだが、いつそれが判明するかもわからないし、一生しないのかもしれない。
だとしても。
生まれ落ちた村を出たものに戻る術はない。
淡淡と暮らしている、彼女の名前は——ニチカ。
このまま。
皆役立たずと言われるまま、毎日を過ごすのだろうかと考えながら今日も明日も生きていくのだろうと信じて疑わなかった。
だけれども。
まただ、とニチカは思った。
基本的に尽力は、声によって発現するのでほとんど誰にも言っていないのだが。
コレがみんなが持つ能力出ないのは知っていて、かと言って無視できないのは君が悪いほど当たる、不思議。
夢で知らないはずのことを知ることがある。
それは特に自分に対して良くないことのことが多く日郡に来てしばらく誰か子になるか、尽力能力の種類を探りつつ行き先待ちをして、滞在した長の家で。ある朝方地震が起きることを当てて、この力を知るものは、長と土地を守る要の、姫様と呼ばれる美女、と彼らの側近数名、そして引き取って養子にしてくれた女性、名はカスガ、だけ。
そして、今回。
前と同じように、胸の鼓動が激しく痛い位な中で。
見たこともない格好をした男が2人、1人はとても派手で、一見偉い人のようで。またもう1人はその偉い人に何かを話しかけていて。
その話しかけていたはずの男と何故か目があった。男の口が何か形作る前にニチカは耳を塞いで、逃げなくてはと叫ぶところで。
わあぁぁっ!
自分の叫び声とともに目が覚めた。
大丈夫かと、春日さんが目を覚まし慌ててよって来て。そして、ニチカが話すとすぐに。
姫様のところ行きな。
そんな、大した事じゃないかもしれないしと渋り夜中だと足が引けるニチカを連れ、一緒に行くと言うと手を繋ぎ、揃いの羽織を掛け家を出る。
2人が急いで姫様の住まいまでたどり着くと丑三つ時なのに、何やら騒がしい。
今来た所といった部屋着姿の長と長の側近が門前いて、他にも何人か力を持つ大人たちがいて。皆が眠っている時間なのに惜しげなく明るく戸を照らし。辺りの空気がざわざわしている。
話しかけるのを、ためらっていると。
「ニチカとカスガか?」
長が話しかけてくれた。
事情を知っている者だからこそ、端的にただ、夢を見たと伝える。
「会えるように、取り計らうがしばし案内のものについて部屋で待っていて欲しい。」
そう言って、姫様と似た服を来た人を呼び止め2人を部屋に案内するように指示をする。
「このものは、姫様付き神官だ。
ついて案内された場所でしばし待たれよ。」
長は姫様のところへゆくと、廊下を曲がりニチカたちは、案内されるまま奥へ奥へ。
こちらで。
茶器と、茶葉、白湯はこちらに。
そう言われて取り残されるように入った部屋は真っ白く落ち着かない。器は模様が細かく触るのが怖いほど。
何かあったみたいねとカスガ。
こんな最中大事に懐から出した煙管に火をつけ燻らし始めた。
「あんたが、大した事無い事にしたい、それはやはり大事な事の様だ」
まさか、こんな場所に
尽力が無い無能の私が付き添いとは言え入る日がくるなんてと、その目は好奇心で輝いていたが。
嫌な予感があたるばかりのニチカ自身は、人に話すたびに何か後戻りできない場所へ無理やりにも押されているような、今日と明日が同じではなくなる、予感となれない場所、夢の気持ち悪さに胸が痛い。
カスガの軽口にも何の声も出せずただ黙り込むばかり。
最初は話しかけて気を楽にしてやろうとしたカスガも、直ぐに諦めて。
煙草をふかしでは、煙を吐きながら目を瞑る。
何せまだ夜。
緊張さえなければ自ずと、眠気が戻り来る。
備えつけてあった寝台に2人で上がり。
うつらうつらしながら待つ。
ニチカにとって。
幸いこの夜夢を再度見る事は無かった
代わりに一睡も出来なかったが。
人生二度目の姫様との謁見。
ただ、何事もないように願い見慣れぬ部屋の天井や寝具を見たり触りながら。
長い夜を過ごしていると。
やがて。陽が刺す。
窓を覗くと。いつも居る場所より高いこの屋敷から。集落が明るく染まるその景色。
「綺麗」
そう、朝は来るのだ。
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