第12話 拡張
(前書き)
プロローグを第一章に組み込み第1話に変更、話をひとつずつずらしました。
本作に関する変更点・修正点は近況ノートにまとめて掲載してあります。
また、本作の問題点・修正したほうがいい点についてコメントで教えていただけるとありがたいです。
↓ここから本編です。
◇
翌日。
まだ早朝と呼べる時間だが、アネモネを鍛え始める。何故朝早くからなのかというとアネモネに起こされたから。そんなにさっさと復讐したいか。
ともかく、起こされたのはしょうがない。俺はアネモネを連れ『転移』を使った。場所はサネル近くの森。そう遠くはないが少し騒いだとしても誰も来ないだろう。
「さて、それじゃアネモネ。お前には戦闘能力を身につけてもらう。最初に言っておくが、これからお前に施すのは洗脳であり改造だ。」
「それは私の復讐に必要なもの?私はアイツを殺せればいい。あなたに守ってもらって殺すのはダメなの?」
「別に復讐自体はそれでもいい。だが、その後は俺の駒として戦ってもらうから戦闘能力は必須だし、復讐中俺が別件で手が放せないうちに介入されないとも限らない。」
「分かった。でも洗脳って?改造はまだ分からなくもない。」
「洗脳はまぁはっきり言って駒にするために、何をしようが何も感じなくさせるって感じだ。最も、効果は俺の命令限定にするつもりだが。んで、お前が思ってる改造はたぶん的外れだろう。」
おそらくアネモネは自分が物理的に改造されるとでも思っていたのだろう。キョトンとしてるし。
「改造はすぐに終わる。改造するのはお前自身じゃなくて奴隷の魔法のほうだ。」
今回俺が使おうとしているのは『創造』の能力だ。前に立ち眩みがして使えなかったやつな。あのとき使えなかった原因は魔力不足か容量不足のどちらかだと思っている。魔力不足は無いんじゃないかとは思うが。実はこの前の図書館の本に個人差はあるが魔力は使えば使うほど最大値が上昇すると書いてあった。普段かなりの数魔法を使っている俺はどうなんだろうか。まぁそもそも魔法を使うとき、魔力が減ってる感覚はない。『飛翔』や『転移』でさえ消費量は少量だ。そんな俺の魔力を一瞬で空にするほど『創造』の消費量が多いとは思えない。ならば容量不足だろう。あのときの俺は何もないところから物を生み出そうとした。空気しかない空間を紙、俺のイメージを絵の具とするなら、A4の白紙に2Lのバケツいっぱいの粘度の低い絵の具を思いっきりぶつけようとした。これなら筋が通る。『創造』などの能力系も魔力と同じで成長してくれることを願うばかりだ。
ともかく、容量不足を確認するためにもアネモネには実験台になってもらう。何もないところでダメなら、元から完成されたものを使えばいい。奴隷の魔法が込められたら首輪を。首輪をよくみて、魔法の術式?らしきものの位置は把握している。なら余白に『創造』でチョロッと書き足しても問題ないはずだ。
この世界に来てただ粛々と依頼をこなしていただけではない。俺なりに思いついた魔法や魔力の使い方とかを試していた。これもそのひとつで、魔力を目に込めることで魔法の術式っぽいものが見えたり、魔力そのものが見えたりするようになった。少量でも効果があるため今では常時込めている。量が多ければ効果が大きくなるため状況によって量を増やしたりできる訳だ。
無駄話はこれくらいにして俺は首輪に文字を書き込み始める。残念ながら術式の詳しい部分は分からないため、『創造』で効果を持たせながら。
だいたい5分くらいで書き終わった。容量不足は正解だったらしい。魔力半分持ってかれたが、立ち眩みが起こることはなかった。今回書き込んだのは
『レイの命令に対して意見できず、この奴隷契約は主人と奴隷以外の第3者によって解除されない。』
というものだ。普通に書けば10秒ぐらいで書けるだろうが、なぜ5分もかかったのかというと、『創造』を使うときに成功するって分かるときがあって、そこまで辿り着くのに時間がかかったのだ。単純に今の俺じゃイメージ力不足ってことだろう。
刻んだことをアネモネに説明すると、不思議そうな顔をされた。
「なんでそんな事を?奴隷契約があるのだから意味のない改造だった?」
「いや、普通の奴隷契約だと逆らう意思がなければ意見できるんだろう。だが、俺とお前の契約は駒だ。意見は必要ない。とはいえ、そこまで命令を使うつもりはない。解除されないっていうのはいつの間にか解除されていて裏切ってましたってのを防ぐためだな。裏切りの心配までするのは面倒極まりない。」
「そう。改造は強くなれるのじゃあないの。」
「残念ながらそう言ったものは持ってないな。」
アネモネにはそういった特殊な魔法が使えるということしか教えておらず、名称や詳しい能力は教えないつもりだ。例の契約がある以上バラされないと思うが、念のため。
「さて、この森に来たもう一つの目的を果たすとしますか。」
「?まだ何かあるの?」
「洗脳のほう忘れてるぞ。さっきのは洗脳っぽいが想定しているものじゃないからな。ほら、タイミングよくきたぞ。」
指をさした方向をアネモネが向くと、ゴブリンが3体いた。俺は懐から取り出すように見せて『収納』から取り出した短剣を渡す。
「じゃ、殺してこい。」
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