Day28「ヘッドフォン」
「村雨先輩、ヘッドフォンなんかして、オンライン会議でしたっけ?」
不思議そうな鳥生君に気にするなと手を振り、何の音もしないヘッドフォンを外さないままデータ整理に集中する。
自分でも気付いていた。まだ耳から火照りが引かないことに。
今日は本当に偶然だった。偶然、今里さんの背中を見つけて、昨日の今日だし、一応声を掛けようかと口を開きかけて、隣に例の事務の子がいたので遠慮しようとして。
「声が好きなのは当然ですが、わたしは村雨さんというお人が好きなのです。ちゃんとわたしを見てくれて、気付いてくれる村雨さんだから好きなんです」
隣へ力説する彼女の声に僕は思わず逃げ出していた。
何てことを公言しているんだ、彼女は!
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