Day27「鉱物」

 村雨さんの前では、何をどう取り繕っても無駄だとしみじみ思う。

 不意打ちだと腰が抜けるし、優しくされようものなら涙が出ちゃう。何度泣き顔晒しちゃっただろう。


 村雨さんはツンデレな優しさをお持ちの人だ。泣いたら、より心配させてしまうではないか。


 何たる失態!

 鋼鉄のごとき硬さを、ダイヤモンドのごとき心の強さを持ちたい。


 でも、神なる声の前では全てが無駄になる。


 以下エンドレスループ。


「本当に村雨さんの声が好きなんだね、あんた」


 隣で呆れ顔の志保さんがツッコミを入れてくる。


「ノンノン、志保さん。そこは声『も』好きと訂正を」


 きっかけは、確かに声。


 でも、わたしはツンデレで優しい「村雨さん」のことをお慕いしているのだ。

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