Day7「ラブレター」

福留ふくとめさん、今なんと?」

「だから書かないのかなあと。ラブレター。村雨君に」

「で、今度は何のドラマに感化されたので?」


 わが上司の福留さんはおちゃめである。見た目は村雨さんと同じくシュッと背の高いおじ様で、面倒見のいい、声はやや低めでまあまあ、仕事は何かと積んでくるけど、仕事なので仕方ないとして。


 発言が何故か時々変である。


「分かる? 妻と昔のドラマの再放送見てたら、古風な告白ってのを生で見たくなってね」

「部下にその役押し付けないでくださいよ。お子さんにお勧めくだせえ」

「うちの子にはまだ早い!」


 わたしは逆にもう遅いですよと。


「それに、慌てる村雨君を見てみたいってのもある」


 はて、慌てるかなあ、村雨さん。

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