Day6「呼吸」
一時期、呼吸するのも億劫な時があった。昔の話だ。
結婚指輪の準備まで済ませていた相手に振られて、同僚たちからの同情とも憐憫とも取れる視線に耐えられなかった。
自暴自棄になり、でも性分からか仕事で手を抜くこともできず、職場ではいつも通りを装い、代わりに私生活が荒れに荒れた。仕事で現実逃避をしていた分、その反動が休日の自分へと押し寄せたのだ。
家事は勿論、呼吸も生きていることすら面倒で、部屋も精神も草臥れて……
今となっては、あの頃の自分は若くて青かったと笑えるのだが。
そう思うようになれたのは、海外転勤を言い渡してくれた元上司のお陰だ。未だに頭は上がらない。
そして何の因果か、今里さんの現上司をされている。
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